推し活クロニクル 2004年|mixiと『電車男』、プロ野球再編でファンの声が動く、「着うたフル」で一曲まるごと携帯へ
2004年、日記や趣味の話題を友人と共有するSNS「mixi(ミクシィ)」と「GREE(グリー)」が誕生しました。招待制のネットワークの中で、同じアーティストや作品を応援するコミュニティに入り、ファン同士で語り合う文化が広がります。
地上波では韓国ドラマ『冬のソナタ』が放送されて「ヨン様」ブームが沸き起こりました。映画では『世界の中心で、愛をさけぶ』や『ハウルの動く城』が大ヒットします。プロ野球では球団合併をめぐる再編問題が起き、選手会のストライキとファンの署名活動が12球団2リーグ制を守り抜きました。年末には一曲を丸ごと携帯電話で聴ける「着うたフル」が始まり、「ニンテンドーDS」と「PSP」の2大携帯ゲーム機も発売されています。

mixiとGREEが始動。招待制SNSのコミュニティで同じ推しの仲間と出会う
2月22日にプレオープンし、3月3日に正式オープンしたのがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「mixi」です。開始当初は、すでに登録している友人からの招待メールがなければ参加できない「招待制」を採っていました。自分のページに日記を書いて「マイミク(友人)」とコメントを交わせます。自分のページを誰が訪れたかが分かる「あしあと」機能も特徴でした。mixi公式年表
推し活の場として大きな役割を果たしたのが「コミュニティ」機能です。好きなバンド・俳優・アニメ・声優・球団ごとに無数のコミュニティが作られました。参加しておけば自分のプロフィール欄にアイコンが並びます。これまで匿名掲示板や個人サイトに分散していたファンが、共通の趣味を入り口につながりました。ライブ会場でのオフ会や同行者探しもmixi上で盛んに行われ、登録者数は11月に20万人を突破しています。mixi公式年表
- 2月〜3月mixi(ミクシィ)開始
- 2月22日プレオープン、3月3日正式オープン。招待制と「マイミク」「コミュニティ」「あしあと」機能で広がり、11月に20万人を超えた。
- 2月・12月GREE(グリー)公開と法人化
- 田中良和が2月に個人サイトとして公開。10万人規模へ急成長し、12月にグリー株式会社を設立した。
同じ2月には、楽天の社員だった田中良和が個人の趣味として開発したSNS「GREE」を公開しました。口コミで利用者が10万人規模へと急増し、個人でのサーバー維持が難しくなります。そのため12月にグリー株式会社を設立し、会社として運営を引き継ぎました。グリーホールディングスの沿革
『電車男』の書籍化。匿名掲示板の応援スレッドが100万部ベストセラーへ
3月、巨大匿名掲示板「2ちゃんねる」の「独身男性板」に書き込まれた恋愛相談が、『電車男』としてネット中を駆け巡りました。秋葉原帰りの電車内で酔っ払いに絡まれていた女性(通称・エルメス)を、1人のオタク青年が助けます。後日届いたお礼のティーカップをきっかけに、青年が勇気を出してデートへ誘う実録風のやり取りでした。デイリー新潮
髪型や服選びからレストランの予約に至るまで、スレッドの住民たちが親身に助言しました。デートの結果報告をアスキーアート(AA)付きで見守る応援風景が、大きな感動を呼びます。10月22日には新潮社が「中野独人」名義で掲示板の書き込みをまとめた書籍『電車男』を発売しました。たちまち100万部を超えるベストセラーとなり、翌2005年には映画・ドラマ・舞台・漫画へと展開されます。新潮社
プロ野球球界再編と史上初のストライキ。署名活動と楽天イーグルス誕生
6月13日、大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併構想が明らかになり、プロ野球界は激震に見舞われました。さらなる球団統合でパ・リーグを消滅させ、1リーグ制へ移行しようとする動きも浮上します。これに対し、古田敦也選手会長を中心とする日本プロ野球選手会と全国の野球ファンが強く反発しました。日本プロ野球選手会
球場では他球団の応援団も垣根を越えて近鉄・オリックスの応援歌を合唱します。街頭やネット上では、2リーグ12球団の維持を求める署名活動が全国へ広がりました。選手会による当時の記録
- 6月
近鉄とオリックスの合併計画が判明
1リーグ化構想に対し、選手会と12球団のファンによる反対署名が広がりました。
- 9月18・19日
プロ野球史上初のストライキ実施
2日間の全12試合が中止となり、9月23日に新規参入を認める合意が成立しました。
- 11月2日
東北楽天ゴールデンイーグルスの新規参入承認
仙台を本拠地とする50年ぶりの新球団が誕生し、2リーグ12球団制が守られました。
9月18・19日の2日間、選手会は日本プロ野球史上初となるストライキを決行しました。世論の圧倒的な支持を背景に9月23日の交渉で12球団維持と新規参入審査の合意が結ばれ、ライブドアと楽天が名乗りを上げます。11月2日のオーナー会議で宮城県仙台市を本拠地とする「東北楽天ゴールデンイーグルス」の参入が承認され、翌年も2リーグ12球団の体制が守られました。球界再編の経過・西日本スポーツ/楽天球団
『セカチュー』『ハウルの動く城』と、「マツケンサンバII」の国民的ブーム
映画館では、片山恭一の小説を行定勲監督が映画化した『世界の中心で、愛をさけぶ』(5月8日公開)が社会現象となりました。大沢たかお・柴咲コウ・森山未來・長澤まさみが出演しています。白血病で亡くなった高校時代の恋人・亜紀との記憶を、カセットテープとともにたどる物語でした。興行収入は85億円を記録し、「セカチュー」の略称で親しまれます。平井堅が歌う主題歌「瞳をとじて」(4月28日発売)も年間シングルランキング1位に輝きました。7月からは山田孝之・綾瀬はるか主演のTBS系テレビドラマ版も放送されています。ソニー・ミュージック/日本映画製作者連盟
11月20日には宮崎駿監督のアニメ映画『ハウルの動く城』が公開されました。木村拓哉が魔法使いハウルの声を演じ、興行収入196億円の大ヒットを記録します。中村獅童と竹内結子が夫婦役を演じた『いま、会いにゆきます』(興収48億円)も涙を誘う純愛映画として支持を集めました。テレビドラマでは木村拓哉がアイスホッケー選手を演じた月9『プライド』や、中居正広主演の『砂の器』が高視聴率を挙げています。日本映画製作者連盟
音楽とバラエティの垣根を越えて日本中を席巻したのが、俳優・松平健の「マツケンサンバII」です。もともとは舞台公演のフィナーレで歌われていた楽曲でした。宮川彬良の華やかな編曲と真島茂樹の振り付け、金色の着物姿が評判を呼び、7月7日にCDが全国発売されます。オリコン週間ランキング3位に入る異例のヒットとなり、年末の紅白歌合戦にも出場しました。第46回日本レコード大賞では、Mr.Childrenの「Sign」(ドラマ『オレンジデイズ』主題歌)が大賞を受賞します。「さくらんぼ」がヒットした大塚愛が最優秀新人賞に選ばれました。日本作曲家協会
「着うたフル」開始と、「ニンテンドーDS」「PSP」2大携帯ゲーム機の激突
11月19日、auが第3世代携帯電話(CDMA 1X WIN)向けに「着うたフル」の配信を開始しました。2002年末に始まった「着うた」は、曲のサビなどを30秒ほど切り出した音源でした。これに対して「着うたフル」は、CDと同じく一曲を最初から最後まで丸ごとダウンロード購入できるサービスです。ORANGE RANGEの「花」などが初期のヒット曲となり、携帯電話が音楽プレーヤーの役割も兼ねる時代が始まりました。KDDI/KDDIの当時の発表
- 11月19日au「着うたフル」開始
- 一曲を丸ごと携帯電話へダウンロードして聴けるようになり、2007年2月には累計1億曲を突破した。
- 12月2日任天堂「ニンテンドーDS」発売
- 2つの液晶画面とタッチパネル・マイク・ワイヤレス通信を備え、普段ゲームをしない層へも広がった。
- 12月12日ソニー「PSP」発売
- 4.3インチの大型ワイド液晶とUMDディスクを搭載し、美しい3D映像や動画・音楽を外出先で楽しめた。
12月には、携帯型ゲーム機の歴史を塗り替える2機種が10日違いで発売されました。12月2日には任天堂が「ニンテンドーDS」を発売します。折り畳み式の本体に上下2つの液晶画面を備え、下画面をタッチペンで直接触って操作する仕組みを取り入れました。10日後の12月12日には、ソニー・コンピュータエンタテインメントが「プレイステーション・ポータブル(PSP)」を発売します。美しいワイド液晶画面で据置機に迫る3Dゲームや音楽・動画再生を実現し、年末商戦のゲーム売り場を二分する熱気を生みました。任天堂・DS/ソニー・インタラクティブエンタテインメント
『冬ソナ』地上波放送とヨン様来日。『ふたりはプリキュア』も放送開始
前年にNHK BS2で放送された韓国ドラマ『冬のソナタ』が、4月から8月にかけて地上波のNHK総合で放送されました。土曜午後11時10分枠での放送ながら、最終話は関東で20.6%・関西で23.8%の高視聴率を記録します。4月3日に主演のペ・ヨンジュン(「ヨン様」)が初来日した際には、羽田空港の到着ロビーに約5,000人のファンが詰めかけました。優しい微笑みとマフラー姿に熱い歓声が送られます。韓国語の講座に通ったり、春川(チュンチョン)などのロケ地へツアーで出かけたりする韓流推し活が中高年女性を中心に定着しました。婦人公論.jp
2月1日には、ABC・テレビ朝日系の日曜朝8時30分枠でアニメ『ふたりはプリキュア』の放送が始まりました。運動神経抜群の美墨なぎさ(キュアブラック)と、成績優秀な雪城ほのか(キュアホワイト)の中学生二人が主人公です。二人が手をつないで変身し、肉弾戦も交えて敵に立ち向かう姿が新鮮な魅力を放ちました。カードコミューンなどの変身玩具が女児層に爆発的な人気を呼び、現在まで20年以上続く『プリキュア』シリーズの原点となっています。東映アニメーション/東映アニメーションの事業報告
8月のコミックマーケット66には3日間で延べ51万人が来場し、夏コミとして初めて50万人の大台を超えました。12月のコミックマーケット67(2日間開催)には延べ37万人が参加しています。コミックマーケット準備会
この年の主な出来事

この年の新語・流行語大賞

年間大賞は、アテネオリンピックの競泳男子100メートル・200メートル平泳ぎで2冠を達成した北島康介の「チョー気持ちいい」でした。アテネ五輪では女子マラソンの野口みずき・柔道の谷亮子と野村忠宏(3連覇)・体操男子団体などが活躍します。ゆずの「栄光の架橋」がNHK中継テーマ曲として流れるなか、日本勢は金メダル16個を含む計37個のメダルを獲得しました。自由国民社/日本オリンピック委員会
トップテンには、作品の略称「セカチュー」・「冬ソナ」や球界再編の「新規参入」が入りました。お笑い芸人の波田陽区が着物姿でギターを弾きながら芸能人を斬るネタ「残念!!(ギター侍)」も選ばれています。自由国民社
次の2005年では、愛・地球博が開催され、秋葉原にAKB48劇場がオープンします。動画共有サイトYouTubeやiPod nanoも登場し、推しを見る窓口がさらに広がっていきました。
よくある質問
mixiとGREEはいつ始まりましたか?
mixiは2004年2月22日にプレオープンし、3月3日に正式オープンしました。GREEは同年2月、田中良和が個人サイトとして公開し、12月に運営会社が設立されています。
「着うたフル」は何が新しかったのですか?
2004年11月19日に始まったauのサービスです。「着うた」は曲の一部を配信するサービスでした。「着うたフル」では、一曲を丸ごと購入し、対応する携帯電話に保存して聴けました。
『電車男』はどんな本ですか?
ネットの掲示板「2ちゃんねる」の書き込みをもとにした本です。恋愛について相談する投稿者と、助言しながら進展を見守る人々のやり取りが収められています。新潮社が2004年10月22日に発売しました。
2004年のプロ野球再編問題では何が起きましたか?
近鉄とオリックスの合併計画をきっかけに、球団の削減や1リーグ化が議論されました。9月18・19日には、選手会がストライキを行いました。近鉄とオリックスは合併しましたが、楽天の新規参入によって、翌年も12球団・2リーグの体制が続いています。
初代のプリキュアは誰ですか?
2004年2月1日放送開始の『ふたりはプリキュア』では、美墨なぎさがキュアブラック、雪城ほのかがキュアホワイトに変身します。二人は翌年の『Max Heart』でも引き続き主人公を務めました。



