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東宝×グッドスマイルが​新会社設立を​発表/呪術廻戦が​TikTokトレンド大賞に​【週刊推し活ニュース 2025年12月12日号】

2025年12月5日〜12月11日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。

今週のハイライト

今週はIPを所有する企業同士が手を組んだ週でした。

東宝は12月9日、グッドスマイルカンパニーとの合弁会社「To-Smile」の設立を発表しました。グッドスマイルカンパニーは、フィギュア・玩具の製造から販売までを一貫して手掛ける企業です。出資比率は東宝60%、グッドスマイルカンパニー40%。資本金等は5億円(資本準備金を含む)です。ANYCOLORも2026年4月期第2四半期決算を発表しました。売上高は105億58百万円(前年同期比6.6%増)で、同社は配当予想も1株70円から75円に上方修正しました。

SNS側でも数字が動いていました。TikTokは12月5日、「TikTokトレンド大賞2025」の大賞にアニメ『呪術廻戦』を選出。関連ハッシュタグの動画は累計160万件超、総再生回数は67億回以上にのぼりました。カバーは、2026年1月9日から東京駅一番街でホロライブのポップアップショップを開催すると発表しました。

東宝とにじさんじが、IP事業の実績を数字にした

東宝×グッドスマイルカンパニー — 合弁会社「To-Smile」でIP・アニメ事業を強化

東宝は12月9日、グッドスマイルカンパニーとの合弁会社「To-Smile株式会社」を12月15日付で設立すると発表しました。出資比率は東宝60%、グッドスマイルカンパニー40%で、資本金等は5億円(資本準備金2億5,000万円を含む)。代表取締役社長には東宝エンタテインメントユニットIP・アニメ本部ゴジラ部長兼ライツ事業部長の堀田秀彦氏が就任しました。両社は、東宝のIPプロデュース力と劇場流通網に、グッドスマイルカンパニーの製造ノウハウとグローバル販売網を組み合わせます。TOHO animation作品やゴジラ等のオリジナル玩具・フィギュア・グッズを、北米・アジア中心の世界市場へ展開する方針でした(ORICON NEWS)。

東宝は今年4月公表の「中期経営計画2028」で、IP及びアニメ関連ビジネスを独立したセグメントに位置づけていました。

研究所メモ: 東宝はグッドスマイルカンパニーという既存パートナーとの関係を、資本を伴う新会社という形に格上げしました。単発のライセンス契約にとどめず、出資比率まで決めたことは重い判断です。IPを持つ企業が海外市場を狙うときは、製造・物流に強い相手と組むほうが、自社で機能を抱え込むより速く動けます。

ANYCOLOR — にじさんじの通期の業績予想と配当を上方修正

ANYCOLORは2026年4月期第2四半期決算を発表しました。売上高は105億58百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益40億69百万円、四半期純利益28億38百万円。同社は第2四半期までの実績を受け、通期の売上高・営業利益見通しを引き上げました。配当予想も、1株70円から75円(中間35円、期末40円)に修正しました。上方修正の主因は、コマース・イベント事業の伸びです。「にじさんじオフィシャルストア」5周年企画や、「にじさんじ WORLD TOUR 2025」のネットチケットが好調でした。2027年新春には、タカラトミーと共同企画したカードゲームの発売も控えています。横浜ビブレ6階には、初の常設店「にじさんじ ぬいストア」もオープンしました(Mogura VR)。

研究所メモ: 上方修正を支えたのが、既存のグッズ販売とライブチケットの積み上げだった点に注目しました。5周年企画やワールドツアーという、すでにファンが知っているコンテンツを再び売り出しただけで、数字が伸びています。ファンビジネスでは新規施策を増やすより、過去の資産を定期的に掘り起こすほうが収益に直結しやすいことを示す事例です。

VTuber企業が、街や塔でファンと向き合う施策を発表

ホロライブ — 東京駅の一番街で11名参加のポップアップ

カバーは、VTuberグループ「ホロライブプロダクション」のポップアップショップを開催すると発表しました。期間は2026年1月9日から1月22日まで、会場は東京駅一番街「いちばんプラザ」です。参加タレントはホロライブ0期生、ホロライブインドネシア1期生、ホロライブEnglish「Myth」からときのそら、ロボ子、AZKi、さくらみこ、星街すいせい、アユンダ・リス、ムーナ・ホシノヴァ、アイラニ・イオフィフティーン、森カリオペ、小鳥遊キアラ、一伊那尓栖の11名。グッズはTシャツ各4,400円(税込)、ラバーマット3,850円(税込)など幅広くそろいました。来場者がタレントへのメッセージをその場で書いて貼れる企画もありました(eeo)。

研究所メモ: 参加タレントを11名そろえたことで、東京駅という乗降客数の多い場所への出店が成り立っています。1人のタレントでは足りない集客力を、所属タレントの人数で補う発想です。VTuber事務所の常設店はまだ少ないため、複数タレントの同時起用は施設側にとって最も効きやすい提案材料になります。

しぐれうい×東京タワー — 5都市を巡回するコラボイベント

イラストレーター兼VTuberの「しぐれうい」と東京タワーのコラボレーション「しぐれうい in 東京タワー」が開催されました。会場は東京タワー フットタウン2階「Co・Lab-TOKYO-」で、期間は2025年12月17日から2026年1月14日まででした。タワー内のパネルを探す「謎解きラリー」のほか、描き下ろしグッズやコラボメニューを展開。コラボは東京開催後、札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡にも順次巡回すると発表されました。開催地ごとに、ご当地アクリルキーホルダーも登場すると発表されました(インサイド)。

研究所メモ: 東京だけで終わらせず、5都市を巡回させ、開催地ごとにご当地グッズを用意している点が要点です。同じコラボでも、地方の会場に行かなければ買えないアイテムを作ることで、ファンの遠征需要を作り出しています。1つの企画を1回で終わらせず、都市ごとに改めて盛り上げる設計は、観光施設側にとっても継続的な集客につながります。

ファンが投稿した動画の量が、賞レースの数字になった

TikTokトレンド大賞2025『呪術廻戦』 — タグ動画160万件、再生67億回

TikTokは12月5日、「TikTokトレンド大賞2025」の授賞式を開催し、大賞にアニメ『呪術廻戦』を選出しました。2025年11月時点で、ハッシュタグ「#呪術廻戦」「#jujutsukaisen」を付けた動画は累計160万件を超えました。総再生回数は、日本語・英語ハッシュタグ合算で67億回以上にのぼります。同作は劇場版が公開され、2026年1月8日からはTVアニメ第3期の放送も始まりました(AdverTimes.)。

研究所メモ: 160万件・67億回という数字は、ファンが投稿した動画を集計した結果です。作品側もTikTokとのコラボや投稿キャンペーンを実施しており、公式の仕掛けとファンの投稿が重なって広がりました。ファンが投稿できる余地を残すことが、結果として最大のプロモーションになり得ることを示す事例です。

USEN MUSIC AWARD 2025 — Mrs. GREEN APPLEが史上初の4冠

USENは12月11日、店舗BGMのオンエア実績とリスナーのリクエストを基に集計した「USEN MUSIC AWARD 2025」を発表しました。Mrs. GREEN APPLEが「J-POP部門」「SNS部門」「アニメ部門」「J-POP/洋楽部門」の4部門で1位を獲得し、USEN史上初の4冠を達成。アニメ部門では1位が『忘却バッテリー』OPテーマ「ライラック」、2位が『薬屋のひとりごと』OPテーマ「クスシキ」で、Mrs. GREEN APPLEが1・2位を独占しました。3位は『鬼滅の刃 無限城編』主題歌、Aimerの「太陽が昇らない世界」です(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 店舗BGMのオンエア実績という、SNSとは別の指標で1位を取った点が示唆的です。SNSで話題になる曲と、実店舗で流れ続ける曲は必ずしも一致しません。Mrs. GREEN APPLEが両方で結果を出したことは、「アニメ主題歌としての定着力」を裏づけています。タイアップの成果を測るとき、SNSの反応だけでなく実店舗での再生実績まで追う視点が参考になります。

タレントが日常で使う姿が、起用の決め手になった

Oisix×佐藤勝利 — 「前から使っていた」を軸にしたアンバサダー起用

オイシックス・ラ・大地は12月4日、食品宅配サービス「Oisix」のブランドアンバサダーに佐藤勝利さん(timelesz)を起用したCMを公開しました。「Oisix」の会員数は36万人(2025年9月末時点)でした。ミールキット「Kit Oisix」のシリーズ累計出荷数は、2億食を突破しました(2024年8月時点)。佐藤さんはファンの間で「料理好き」として知られていました。以前からプライベートで「Oisix」を利用していたことが、起用のきっかけになりました。CMは3本立てで、12月4日からWeb・SNSで、6日からは広島地域でテレビCMとして放映されました。12月4日から2026年3月5日まで、お試しセットを提供するキャンペーンも実施していました(TVガイドWeb)。

研究所メモ: 「じつは前から使っていて」という一言が、タレントに商品を持たせただけのCMと一線を画しています。会員36万人、Kit Oisix累計2億食という実績があるからこそ、この一言に説得力が生まれます。アンバサダーを選ぶ基準を、知名度だけでなく実際の利用歴に置く企業が増えていることを示す事例です。

ファミマ×BE:FIRST — クリスマスCMがSNSで高反響

ファミリーマートは12月9日、クリスマスアンバサダーに起用した「BE:FIRST」出演の新CM「ファミマ×BE:FIRST クリスマスチキン」の放映を開始しました。CMでは、メンバーがファミリーマートのチキンでクリスマスパーティーを楽しむ様子を描いていました。タイアップソングには、12月8日配信の新曲「街灯」を採用しました。公式アカウントの投稿には「幸せすぎる!」といった声が寄せられ、8日時点で表示回数は110万を超えました。同社は9月にBE:FIRSTをアンバサダーに起用し、9月29日からはソックスやハンカチなどのコラボアイテム「コンビニエンスウェア」も発売していました(AdverTimes.)。

研究所メモ: 9月のアンバサダー就任から、アパレル発売、CM公開までを一連の流れとして設計している点が要点です。数か月かけてタッチポイントを積み重ねてきたからこそ、12月8日時点で、公式投稿の表示回数は110万を超えていました。タレント起用では、1本のCMで終わらせず、継続的な接点として組み立てる発想が求められます。

小売の売り場に、キャラクターが日用品として並んだ

ユニクロ×たまごっち、しまむら×ドラクエ — 定番キャラクターを日用品に落とし込む

ユニクロは「たまごっち」のUTコレクションを12月19日に発売しました。初代たまごっちのピクセルアートから着想し、「まめっち」「くちぱっち」などをデザインしました。価格は各1,990円(税込)、オリジナルたまごっちは2,990円(税込)です(インサイド)。しまむらは12月13日、全国店舗とオンラインストアで『ドラゴンクエスト』のヘアアクセサリーを発売しました。スライムやはぐれメタル、ロトの兜をモチーフにしたヘアバンドのほか、ハンドミラーやヘアブラシなど生活雑貨まで幅広く展開しました(インサイド)。

研究所メモ: 各1,990円のTシャツと、ヘアバンドやハンドミラーといった雑貨。どちらも「グッズ売り場」ではなく、ふだんの衣料品・雑貨売り場の価格帯に収まっています。ファンではない客の目にも普通の商品として映るため、キャラクターを知らない人でも手に取りやすくなります。認知拡大を狙うなら、専門店より生活動線上の売り場に置くほうが接触人数を稼げます。

サンリオ×カシオ、サンリオ×ドトール — 文具と喫茶店を推し活の窓口にする

カシオ計算機は、スマホアプリでラベルを作れる「NAME LAND i-ma」のサンリオコラボモデル「KL-SP10-SA2」と専用テープ6種を12月4日に発売しました。「バレエコア」をコンセプトに、ハローキティやマイメロディはチュチュ風、シナモロールやポムポムプリンはジャケット衣装で描かれていました。専用アプリには、絵文字94種類・フレーム36種類が用意されていました(アニメ!アニメ!)。ドトールコーヒーは12月20日から25日まで、サンリオのポチャッコとのクリスマス企画を実施すると発表しました。店舗でピースケーキを購入するとオリジナルピックが、持ち帰りで3個以上購入するとコースターがもらえました。コースター表面の二次元コードからは、ARフォトフレームも使えました(超!アニメディア)。

研究所メモ: ラベルプリンターとケーキの購入特典は、どちらも既存の商品・サービスに推し活の要素を足したものです。カシオは文具に、ドトールは飲食に、それぞれ本業を変えずキャラクターを添えています。自社の主力商品を変更せずに済むぶん、導入のハードルが低く、他業種でも真似しやすい設計です。

ハローキティ×Cath Kidston — 英国ブランドが「赤」のリボンに着目

サンリオのハローキティと英国のライフスタイルブランド「Cath Kidston」のコラボレーションが12月12日より展開されていました。Cath Kidstonのクリエイティブチームは、1974年デビュー当時のハローキティのリボンに使われた「赤」に着目。チームは、創業から30年近くブランドの象徴としてきた赤を軸に、「シーン」「プロヴァンス」「パッチワーク」の3つのアートデザインを制作しました。パジャマやトートバッグ、タオルハンカチなど、幅広いアイテムを展開していました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: Cath Kidston側が着目したのは、ハローキティ本体ではなく「リボンの赤」という要素の一部でした。自社が30年守ってきた色との共通点だけを、コラボの接点にしています。海外ブランドが日本のIPと組むとき、キャラクターをそのまま使うより、自社の資産と重なる一点に絞るほうが違和感のないコラボになります。

ゲームの中の体験が、リアル店舗の接点へつながった

ドンキ×ヤクルト — Fortnite上のコラボが店舗クーポンにつながる

ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスとヤクルト本社は12月9日、期間限定コラボを実施すると発表しました。コラボは、オンラインゲーム『Fortnite』上のドン・キホーテ公式ゲーム『ドン・キホーテかくれんぼ』内で行います。『Fortnite』は世界で5億人以上がプレイしていました。『ドン・キホーテかくれんぼ』は、2025年3月の公開以降、累計約40万プレイを記録しました。ゲーム内にはヤクルトモチーフのアイテムが登場すると発表されました。公式アプリ「majica」と連動したキャンペーンでは、店舗クーポンを獲得できると発表しました(AdverTimes.)。

研究所メモ: 自社ゲームの累計40万プレイという実績があったからこそ、ヤクルトとのコラボが成立しています。ゲーム内の販促だけで終わらせず、アプリ連動のクーポンで店舗購買まで導線を引いた点が要点です。ゲーム内での接触を実店舗の売上まで結びつける設計が、この施策の核心です。

Virtual Sanrio Puroland — VRChatのテーマパークが常設化

サンリオは12月11日、VRChat上のテーマパーク「Virtual Sanrio Puroland」を常設型としてオープンしました。これまでイベント「Sanrio Virtual Festival」の期間中しか訪れられなかった空間に、24時間いつでもアクセスできるようになりました。複数のアトラクションとバーチャルパレードを、毎日楽しめました。グランドオープンにあわせて、バーチャルアーティスト・KizunaAIとのコラボワールド「KizunaAI Dream Garden」など4つの新ワールドも追加されました(Mogura VR)。

研究所メモ: これまで期間限定イベントでしか行けなかった場所を、常設の観光地に変えた判断です。一度きりの体験は話題を作れても、次に行く理由を作れません。24時間アクセスできる場所にしたことで、ファンが友人を誘って何度も訪れる「連れて行く場所」に変わります。XR施設を作る企業にとって、常設化はイベント疲れを防ぐ選択肢になります。

今週の所感

今週は企業がファンとの関係を「制度」にした週でした。

東宝とグッドスマイルカンパニーは既存の協業関係を深める合弁会社の設立を発表し、ANYCOLORは決算という数字で、それぞれ既存の関係を目に見える形にしました。ホロライブやしぐれういのポップアップも、複数タレント・複数都市という「数の設計」を伴っています。一方でTikTokやUSENの賞の数字は、ファンの行動が積み上がって表れたものでした。

ユニクロやしまむら、サンリオのコラボ商品は、小売の現場で非日常のグッズ売り場ではなく日常の棚に並びます。ドンキ×ヤクルトのFortniteキャンペーンとサンリオのVRChat常設化も、一時的な体験を継続的な接点に変える試みです。ファン施策を単発のキャンペーンで終わらせず、どう制度・数字・日常の導線に落とし込むか。推し活マーケティングの設計原則やファンマーケティングの実践事例とあわせて、今週の動きを見てみてください。


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