推し活で健康診断の数値改善を実感した人も/楽天とWOWOWが新IP開発に着手【週刊推し活ニュース 2026年5月8日号】

2026年5月1日〜5月7日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週は推し活が「本業」の領域にまで広がった一週間でした。
健康総合企業のタニタは、推しがいる15歳〜69歳の男女1,000人を対象に調査を行いました。77.5%が推し活を始めてから「生きることが楽しくなった」と回答し、20.8%は「健康診断の数値が改善した」と答えました。数値と体調管理という、これまでファンビジネスとは縁遠かった領域にまで、推し活の影響が及んでいることが分かります。
コンテンツを「作る側」に回る動きも目立ちました。楽天グループとWOWOWは、縦スクロールコミックとドラマを連動させる新規IP開発プロジェクト「ALIUS」を始めました。韓国発コスメの祭典「OLIVE YOUNG FESTA」は、幕張メッセで海外初開催を迎えました。Robloxは第1四半期の決算で、米国の18〜34歳ユーザー層の急成長を報告しました。今週は調査や決算の数字が示す規模の変化と、企業が打ち出す個別施策の両方がそろいました。
推し活の熱量が、健康指標と街の音楽イベントを動かした
タニタ — 推し活で「生きることが楽しくなった」77.5%、健康診断の数値改善を実感した人も
健康総合企業のタニタは、推し活が健康に与える影響について意識・実態調査を実施しました。対象は、推しがいる全国の15歳〜69歳の男女1,000人でした。推し活を始めて以降の変化として、77.5%が「生きることが楽しくなった」と答え、精神面での変化を実感していました。また49.3%が「身だしなみに気を付けるようになった」、47.4%が「外出する機会が増えた」と回答しています。身体面でも25.6%が「痩せてからだが引き締まった」、20.8%が「健康診断の数値が改善した」と答えました。推しのジャンルはアイドルが突出して多く、次いでミュージシャン、アニメキャラ・漫画キャラの順でした(AdverTimes.)。
一方、「健康を意識するようになった」と感じる割合には、推しのジャンルによって差がありました。アイドル推しでは51.7%に上ったのに対し、ゲームキャラ推しは37.7%、スポーツ選手推しは35.5%にとどまりました。
研究所メモ: 回答者の20.8%が「健康診断の数値が改善した」と答えた点が重要です。推し活の影響は気分にとどまらず、生活習慣そのものにまで及んでいます。健康・保険・食品業界は、推し活を広告出稿先として見るより、行動変容プログラムを設計するためのデータとして扱えます。数値で示せるため、他業界を説得する材料にもなります。
J-WAVE×森ビル — 六本木ヒルズで18年続く無料ライブが街のブランドを作る
J-WAVEと、六本木ヒルズを運営する森ビルは、5月2日と3日にフリーライブイベント「TOKYO M.A.P.S」を共催しました。同イベントは2008年に始まり、J-WAVEが六本木ヒルズアリーナで行っていたフリーライブ「LIVING IN TOKYO」を前身としていました。以来18年にわたり、無料での開催を続けていました。J-WAVEコンテンツデザイン局の塩田真人氏によると、有料イベントでは音楽ファンが中心になりやすいといいます。一方で無料にすると、買い物や観光など別の目的で街を訪れた人が偶然音楽に触れる機会が生まれると説明しています(AdverTimes.)。
会場での体験は、オンエアやSNSとも連動していたといいます。来場者が放送で再体験したり、SNS経由で新しいアーティストに触れたりする流れが生まれていたそうです。
研究所メモ: 18年続く無料開催は、「収益化しないこと」自体を目的にしている点が特徴的です。このイベントはファンを囲い込むより、まだファンでない通行人に偶然の接点を提供し続けています。商業施設が音楽イベントを持つ意味は、集客数よりも「知らない人がファンになる確率」を上げることにあります。街の恒例行事として定着させるほうが、単年の集客を追うより効果が大きくなります。
メディア企業が、コンテンツを作る側とつなぐ側に回った
楽天×WOWOW — 縦スクロールコミックとドラマを連動させる新規IP開発
楽天グループとWOWOWは4月23日、新規IPを開発する「ALIUSプロジェクト」の開始を発表しました。同プロジェクトは、楽天のコンテンツレーベル「Rakuten Content Central」とWOWOWが初めて共同開発したコンテンツです。まず6月14日に、縦スクロール型デジタルコミック「異能復讐者ALIUS」を配信しました。配信先は、楽天が提供するデジタルコミック配信サービス「R-TOON」とLINEマンガです。ほぼ同時期の7月からは、WOWOWの30分ドラマ放送枠「連続ドラマW-30」で「ALIUS -特定事象捜査ファイル-」を製作・放送しました。両社は、コミック版の主人公をドラマの重要キャラクターとして登場させるなど、作品間の連携を図るとしていました(マイナビニュース)。
研究所メモ: 既存IPとのコラボと違い、原作の段階から複数メディアでの展開を前提にIPを新規開発している点が異色です。ファンはコミックとドラマの両方を追うことで、物語の全体像に近づける設計になっています。この事例は、IPを持たない企業にも、他社の版権を借りる以外に自らIPを育てる選択肢があることを示しています。
ソニーミュージック×「左ききのエレン」— タイアップ史とライブな製作委員会の舞台裏
テレビ東京系のアニメ「左ききのエレン」は、4月7日に放送を始めました。ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は製作委員会に参加せず、主題歌タイアップの立場でこの作品に関わっていました。同社コーポレートビジネスマーケティンググループの田坂健太氏は、アニメ主題歌の形式の変遷を説明していました。製作委員会自身が楽曲を制作・販売する「商品化」から、外部アーティストが楽曲を提供する「タイアップ」へと変わってきたと話しました。初期の事例として「シティーハンター」、90年代には「名探偵コナン」、「るろうに剣心」ではJUDY AND MARYやSIAM SHADEが主題歌を担当した歴史を挙げていました(AdverTimes.)。
放送日に向けて、製作委員会では制作を担うProduction I.Gが汎用ミニキャラ版権を提出しました。この版権は、公式Xのフォロワー1万人達成を記念したSNSアイコン配布キャンペーンに活用されていました。海外では、大手プラットフォーム「クランチロール」が北米をはじめ全世界(一部地域除く)で独占配信することが決まりました。韓国・香港・マカオ・台湾ともディールが成立していました。国内ではAmazonプライム・ビデオでの先行配信に加え、U-NEXT、dアニメストア、ABEMAでの配信も決まりました(AdverTimes.)。
研究所メモ: タイアップの主導権が「楽曲を提供する側」から「配信・SNS展開まで含めて作品価値を最大化する側」へ広がっています。主題歌を出す企業の役割は、広告枠を買うことから、作品のグローバル展開そのものを一緒に設計することへ移っています。音楽以外の企業がIPと組む際も、単発のコラボで終わらせず、配信・SNS・グッズまで一体で提案できるかどうかで差がつきます。
美容ブランドが、グローバル進出とAI活用でファン層の拡張に動いた
OLIVE YOUNG — Kビューティーの祭典を幕張メッセで海外初開催
韓国のKビューティー専門店「OLIVE YOUNG(オリーブヤング)」は、体験型フェスティバル「OLIVE YOUNG FESTA」を幕張メッセで開催しました。会期は5月8日〜10日でした。同社が韓国以外でこのイベントを開催するのは初めてです。1999年設立の同社は、2025年時点で韓国国内に1,400以上の店舗を持っています。取扱高は2021年の2,583億円(同社公示ベース、2026年4月30日時点のレート換算)から2025年には5,732億円まで急成長しました。2026年5月にはカリフォルニア州に米国1号店を開きました。世界的ビューティーショップのセフォラとの協業も計画していました。イベントでは2025年「韓国国内オリーブヤングアワード」に基づく合計36商品を展示し、オンラインストアでは人気商品を定価の最大63%オフで提供すると発表しました(AdverTimes.)。
研究所メモ: この4年で事業規模を大きく伸ばした企業が、最初の海外イベントを「店舗のない国」で開く選択は興味深いものです。同社は、個人輸入や越境ECですでにファンがついている市場に、正式なリアルの接点を設けました。ブランドが海外進出を検討する際は、現地に店を出す前に「すでにファンがいる場所」でイベントを開く順番が参考になります。
ウテナ「モイスチャー」— AI生成アニメで若年層に接近、既存作品との類似性で謝罪へ
ロングセラースキンケアブランド「ウテナ モイスチャー」は5月1日、全編AIで制作した変身ヒロイン風アニメーション「潤い戦士 モイスチャー」を公式YouTubeで公開しました。交通広告も、4月27日からJR山手線28駅、5月1日からOsaka Metro4駅で掲出しました。同ブランドは1983年発売で43周年を迎え、愛用者の中心は60代〜70代です。若年層との接点づくりが長年の課題でした。動画制作ではCrestLabのアニメーションDXサービスを導入しました。通常半年〜1年かかる1分間のアニメ制作を、AIの活用で数時間〜半日程度で試行・検証できるようにしていました(AdverTimes.)。
しかし5月6日、ウテナは「お詫びとご報告」を発表しました。生成AIを用いた広告制作や、特定の既存作品との類似性について、多くの意見が寄せられたためです。ウテナは「既存作品を愛するファンの皆様の心情への配慮が不足していた」として、公式YouTube動画とSNS投稿を削除しました。掲出中の交通広告も順次撤去すると発表しました。今後は外部専門家の指導を受けながら、表現チェック体制を全面的に見直す方針を示しました。
研究所メモ: AI活用による制作時間の短縮という成果と、既存ファン文化への配慮不足という失敗が、同じ施策の中で起きた事例です。43年続くブランドが「昭和レトロ」を打ち出して若年層へ近づこうとした挑戦自体は、理にかなっていました。ただ、狙った若年層の多くが別作品のファンでもあるという想定が抜けていました。IPに似せた表現を作るときは、AI活用の速さを優先する前に、そのIPのファンダムへの敬意を確認する必要があります。
アパレル・雑貨企業が、人気IPを店頭の主役に据えた
アダストリア×名探偵コナン — 6ブランド・全44アイテムの大型コラボ
アダストリアは、TVアニメ『名探偵コナン』とコラボレーションした最新コレクションを5月9日に発売すると発表しました。参加するのは「GLOBAL WORK」「LOWRYS FARM」「RAGEBLUE」「JEANASIS」「PAGEBOY」「PBLIM」の6ブランドです。「自分だけの真実-ファッション-を解き明かせ」をテーマに、アパレルや雑貨など全44アイテムを展開すると発表しました。原作『名探偵コナン』は全世界累計発行部数2億7,000万部を突破しており、「第46回小学館漫画賞」少年部門も受賞しています。TVアニメは1996年1月の放送開始から、2026年で放送30周年という節目を迎えていました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 1つのIPで6ブランドを同時に動かすのは、社内に複数の顧客層を抱える企業にしか取れない戦略です。ブランドごとに客層が違うため、同じIPでも客層に合わせて「刺さり方」を変えた商品を出せます。単一ブランドの企業がIPコラボをする際も、商品ラインを1種類に絞らず、客層別に見せ方を分けられないか検討する価値があります。
Zoff×進撃の巨人 — メガネブランド初コラボで“眼球を捧げよ”
メガネブランド「Zoff(ゾフ)」は、TVアニメ『進撃の巨人』との初コラボレーションによるアイウェアコレクション「Zoff|進撃の巨人」の受注予約を4月30日に開始しました。公式オンラインストアでは、WEB予約を受け付けていました。デザインには、エレン、ジャン、リヴァイ、ハンジら各キャラクターの特徴や作中モチーフを取り入れました。全国のZoff5店舗には試着コーナーを設けていました。コラボ限定のトレーディングメガネ拭きも用意していました。原作は諫山創による「別冊少年マガジン」連載マンガで、TVシリーズは2023年秋に完結しました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: Zoffは、メガネという「毎日身につけるが目立たせにくい」商材で、あえてキャラクター性の強いデザインを出しました。全店ではなく5店舗に試着コーナーを絞ることで、聖地となる店舗を意図的に作っています。実店舗網を持つ企業がIPコラボをするとき、全店展開よりも一部店舗への集中のほうが、ファンの来店動機を作りやすいことを示しています。
外食とホテルが、店舗をIPの世界に丸ごと作り変えた
ヒルトン大阪×ムーミン、ハウステンボス×エヴァ、ジョイフル×呪術廻戦 — 期間で選べる体験を作った3社
ヒルトン大阪2階の「Folk Kitchen」は、6月4日から8月30日まで「サマースイーツビュッフェ ~ムーミンのトロピカル・バカンス~」を開催すると発表しました。『ムーミン』とのコラボレーションの第2弾です。ビュッフェは、「ムーミン一家となかまたちがムーミン谷から南の島を訪れ、ビーチでバカンスを過ごす」というコミックスのストーリーをテーマにしています。『ムーミン』はフィンランドのトーベ・ヤンソンが1945年に発表した作品で、日本国内でも幅広い層に愛されています(アニメ!アニメ!)。
長崎県のテーマパーク「ハウステンボス」は『エヴァンゲリオン』とコラボレーションし、新ライドアトラクション「エヴァンゲリオン・ザ・ライド - 8K -」を導入しました。『エヴァンゲリオン』としては初めて8K映像を使用したアトラクションです。来場者は「NERV佐世保支部」の職員として出迎えられ、葛城ミサトからの音声メッセージで任務を受けるという設定です。ハウステンボスは、スタンプラリーやグルメ・グッズも展開していました(インサイド)。
ファミリーレストラン「ジョイフル」は5月12日15時から、TVアニメ『呪術廻戦』とのコラボレーション企画第2弾を開始すると発表しました。第2弾で新たに加わる限定メニューは、「熱を愛した秤金次のスープ旨辛スンドゥブチゲ定食」「星綺羅羅のビーフペッパーガーリックライス」など3種です。4月14日に始まった第1弾のメニュー4種と合わせ、期間中は全7種のコラボメニューを同時に提供します。限定ノベルティ「オリジナルアクリル箸置きキーホルダー」も注文特典として先着配布すると発表しました。『呪術廻戦』はコミックスのシリーズ累計発行部数がデジタル版含め1億5,000万部を突破していました(にじめん)。
研究所メモ: 3社はいずれも、コラボを「単発の出店」で終わらせず、「期間中ずっと選べるメニュー・体験」として設計しています。ジョイフルは全期間販売の4品を継続し、第2弾限定の3品を加えた計7品を5月12日から提供します。ヒルトン大阪は前年に続く第2弾で継続性を作り、ハウステンボスは常設のライドとして導入しています。外食・宿泊業にとって、IPコラボの価値は初日の話題性より、リピート来店を生む「通い続ける理由」の設計にあります。
交通・食品・地域が、推し活のパワーで人を動かした
JR東海×五等分の花嫁、不二家×西武ライオンズ、九州産交×夏目友人帳 — 人を動かす企画を発表した3社
JR東海「推し旅」とTVスペシャルアニメ『五等分の花嫁*』のコラボを記念し、MAGES.が新作グッズを発売しました。グッズには描き下ろしイラストを使い、5月1日より順次開催のPOP UP STOREで扱っていました。企画名は「中野家の五つ子による上杉風太郎おもてなし大作戦2026」です。『五等分の花嫁』は春場ねぎ原作のラブコメディで、映画は2022年に公開されました(アニメ!アニメ!、超!アニメディア)。
不二家のロングセラーキャンディ「ミルキー」が発売75周年を迎えたことを記念し、特別コラボレーションイベント「ペコちゃんmilkyマザーズデー」が5月9日、プロ野球・埼玉西武ライオンズのホームゲーム(対東北楽天ゴールデンイーグルス戦、ベルーナドーム、14時開始)で開催されました。不二家はこの試合のゲームスポンサーを務めると発表しました。「ミルキーはママの味」というキャッチコピーにちなみ、母の日前日のデーゲーム開催を「マザーズデー」と称していました(アニメ!アニメ!)。
九州産交グループは、TVアニメ『夏目友人帳』とのコラボレーションプロジェクト「夏目友人帳in Kumamoto 2026~人吉・球磨~」を2026年7月に実施すると発表しました。地域貢献事業の一環として、アニメのモデル地となった熊本県人吉・球磨地方を巡る特別ツアーなどを企画していました。コラボ限定の描き下ろしイラストも公開しました。原作は緑川ゆきによるマンガで、累計発行部数1,800万部を突破していました(PR TIMES)。
研究所メモ: 3社とも、IPを「その場限りのグッズ」で終わらせず、「人を実際に動かす装置」として使っています。JR東海は移動そのものに、不二家は特定の1試合に、九州産交は熊本という土地に、ファンの行動を紐づけています。交通・地域企業にとって、IPコラボの本質は商品化よりも、いつ・どこへ人を動かすかという行程表の設計にあります。九州産交のような地域貢献型の企画は、単発のグッズ展開より再現性が高いと考えられます。
VTuberとコミュニティが、守りと数字で存在感を示した
カバー株式会社 — 誹謗中傷への法的措置149件、削除対応1,411件
VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバー株式会社は、2025年度(2025年4月1日〜2026年3月31日)の誹謗中傷等の権利侵害行為への対応を報告しました。法的対応件数は149件(訴訟・刑事事件を含む)、X・YouTube・TikTokでの削除対応件数は1,411件にのぼります。同社は発信者情報開示請求のほか、国外の管轄裁判所での訴訟提起も複数実施しました。誹謗中傷を転載・拡散するまとめサイトについては、管理者を特定した上で閉鎖させる措置を複数件完了しました。金銭目的の不当利用事案では警察と連携し、複数の加害者の逮捕につなげました(Mogura VR、スポニチ Sponichi Annex、インサイド)。
研究所メモ: 149件・1,411件という数字を毎年公表し続けること自体が、タレントを守る仕組みの一部になっています。ファンビジネスでは、ファンの応援が熱心になるほど、誹謗中傷のリスクも比例して大きくなります。VTuberに限らず、ファンを抱える企業は法的対応の実績を定期開示することで、悪意ある行為の抑止とタレント本人の安心を両立できます。
VRChat×Roblox — 日本ユーザー3.9倍とZ世代シフトが同時進行
ソーシャルVR「VRChat」の公式発表によると、同時接続者数は過去最高の15万8,192人を記録し、日次平均同時接続者数も10万人に達しました。日本市場のユーザー数は3.9倍に増えていました。VRChatは、収益の50%をクリエイターに還元する仕組みを業界最高水準と位置づけて運用していました(Mogura VR)。一方、Robloxは2026年第1四半期の決算を発表しました。デイリーアクティブユーザー数(DAU)は前年同期比35%増の1億3,200万人でした。売上高は同39%増の14億4,200万ドル(約2,264億円)でした。同社は18歳以上向けのクリエイター報酬レートを42%引き上げ、米国の18〜34歳層のDAUが前年同期比50%以上増えているとしていました(Mogura VR)。
研究所メモ: VRChatの日本ユーザー3.9倍と、Robloxの米国18〜34歳層のDAUの急成長は、同じ傾向を示しています。XRプラットフォームのファン層は、子ども・ティーン中心から成人へと広がっています。企業がXR上で推し活施策を検討する際は、若年層だけでなく成人ユーザーも客層として想定する必要があります。可処分所得を持つ成人に合わせた価格設計も求められます。
ホロライブ×いきなりステーキ — 猫又おかゆ発の再コラボが4人ユニットに拡大
「いきなりステーキ」は、VTuberグループ「ホロライブ」とのコラボレーションを予告しました。このコラボは、猫又おかゆのチャンネル登録者数100万人記念企画として2022年に始まりました。今回は2024年のホロライブゲーマーズ以来の開催でした。今年は常闇トワ・大神ミオ・猫又おかゆ・大空スバルの4人からなるユニット「常MOS」とコラボしました。詳細は5月7日に公開すると発表しました(インサイド)。
研究所メモ: 1人のVTuberのファンに向けた企画が、開始から4年余りでユニット規模のコラボに育っています。猫又おかゆの記念企画から始まった取り組みを、事務所全体・複数タレントの企画へと段階的に広げてきました。この進め方は、企業がインフルエンサー1人との単発コラボを継続案件へ育てる際の順序として参考になります。毎年の恒例にすれば、開催そのものがファンの楽しみになっていきます。
RX Japan×リトルリーグ — 「ファンコミュニティ」自体を商品にする動き
RX Japanは、2026年6月17日〜19日に東京ビッグサイトで「コンテンツ東京2026」を開催すると発表しました。その中の「第1回ファンコミュニティマーケティングEXPO」で、特別企画「Community park」を初めて開くと発表しました。企画は、ファン・コミュニティとブランドの関係づくりについて、セミナーでの「学び」、交流ラウンジでの「交流」、自社施策への「実践」という3ステップで構成するとしていました。(一社)コミュニティマーケティング推進協会代表理事の小島英揮氏らが登壇するとしていました(PR TIMES)。同じ週、株式会社リトルリーグは、複数のライフスタイルブランドを一堂に集めるポップアップストア「Playful Life」の開催を発表しました。5月13日から銀座三越、5月27日から阪急うめだ本店で開くとしていました。Frank&EileenやBAREFOOT DREAMSなど既存4ブランドに加え、新たにSTATE OF ESCAPEなど3ブランドが参加するとしていました(PR TIMES)。
研究所メモ: RX Japanは「ファンコミュニティの作り方」自体をカンファレンスのテーマにしました。リトルリーグは特定のIPを持たないまま、複数ブランドを束ねて「推せる場」を作っています。どちらの事例も、ファンが応援する対象はキャラクターに限らず、企業が選び抜いたブランドの集合体にもなり得ることを示しています。ファンコミュニティの設計は、IPの有無に関わらず取り組める経営テーマになってきました。
今週の所感
今週は推し活という言葉が指す範囲が、企業の想定より広かったことがはっきりした週でした。
タニタの調査では、健康診断の数値が改善したという回答が出ました。この結果は、推し活を「趣味の消費行動」ではなく「生活習慣そのものを変える行動」として扱える可能性を示しています。一方で、ウテナはAIアニメ施策を既存作品との類似性を理由に撤回しました。この件は、若年層に近づこうとする企業が、その若年層がすでに別の作品のファンであるという前提を見落としがちなことを示しています。規模を追う施策と、既存のファン文化への敬意は、両方が揃って初めて機能します。
もう一つの軸は、IPを「借りる」だけでなく「作る」「守る」「場として提供する」という動きが同時に進んだことです。楽天とWOWOWの新規IP開発、カバー株式会社の権利保護、RX Japanのファンコミュニティマーケティング EXPOがその例です。いずれも、コラボ商品を出すより一段上流への投資にあたります。自社にとって推し活マーケティングが単発の販促なのか、それとも中長期の関係構築なのか。推し活の市場規模やファンマーケティングの基本とあわせて、自社の立ち位置を見直す材料にしてみてください。
週刊推し活ニュースは、推し活×ビジネスの1週間を毎週まとめてお届けします。過去の号は推し活×ニュースカテゴリからどうぞ。



