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メルカリが​ハッピーセット転売を​封殺/テレ朝HDが​上場来最高益​【週刊推し活ニュース 2026年5月22日号】

2026年5月15日〜5月21日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。

今週のハイライト

今週はファンとの向き合い方が企業の信頼を左右した一週間でした。

メルカリは、日本マクドナルドのハッピーセット「ちいかわ」の出品を一定期間禁止しました。発売初日には、出品がほぼ確認されませんでした。商品名を変えた「抜け道」出品も数分で削除され、SNSでは「あっぱれ」と好意的な反応が広がっていました。マイナンバーカードは、保有枚数率が81.2%に達しました。制度開始当初の批判を、アイドルグループ・=LOVEのCM起用などキャラクターと広報の積み重ねで乗り越えてきた経緯も、報道で改めて振り返られました。

VTuber業界では、資金と経営方針の動きが重なりました。VTuberアプリ「Avvy」を運営するAnotherBallは、金融4社から総額25億円を調達しました。累計調達額は47億円に達していました。グリーホールディングスのVTuber事業は、四半期売上高が過去最高を更新し、営業利益は前四半期比62%増となりました。一方でカバー株式会社は「選択と集中」を掲げ、バーチャル空間プロジェクト「ホロアース」のサービス終了を発表しました。

テレビ朝日ホールディングスは2026年3月期に、売上高3,394億8,700万円・営業利益261億8,100万円で上場来最高益を記録しました。アニメIP展開数を2倍にする中期経営計画も打ち出しました。

VTuberビジネスの資金調達と経営再編が同じ週に重なった

Anotherball「Avvy」— 4つの金融機関から25億円を調達

VTuberプラットフォーム「Avvy」を運営するAnotherBallは、商工組合中央金庫、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行から総額25億円のデットファイナンスを実施したと発表しました。累計調達額は47億円に達していました。同社は調達資金を、Avvyの海外展開と採用拡大に充てると発表しました。体験版の公開時点で、すでにユーザーの過半数が海外ユーザーでした。体験版はリリースからわずか10日で20万登録を突破していました(Mogura VR、電ファミニコゲーマー)。

代表取締役CEOの大湯俊介氏は、日本の金融機関から「オールジャパン体制」の支援を受けたとコメントしました。

研究所メモ: AnotherBallは高品質なアバター作成を無料で完結させ、10日で20万登録という初速を作ったうえで大型調達をしました。この事例は、技術的・経済的なハードルを下げることが、先行者になる条件であることを示しています。新しい推し活プラットフォームを検討する企業にとっては、利用者の参入障壁を下げる設計そのものが、最大の強みになり得ます。

グリー — VTuber事業の四半期売上高が過去最高を更新

グリーホールディングスは2026年5月13日、2026年6月期第3四半期の決算を発表しました。連結売上高は384億4,400万円、営業利益は24億2,000万円でした。VTuber事業全体は売上高22億9,000万円(前年同期比6%増)、営業利益3億3,000万円(同8%増)でした。プラットフォーム「REALITY」は、利益率27.9%の高水準を維持しました。プロダクション事業は売上高5億4,000万円で、前年同期比43%増と大きく伸びました。同四半期中には、メンズアイドル大手のRINDO Entertainmentとの事業提携も実施しました(Mogura VR)。

研究所メモ: グリーはプラットフォーム事業とプロダクション事業を分けて開示し、プロダクション事業の伸び率を前面に出しています。売上規模はまだ小さくても、成長率を先に示すことで、投資家とファンの両方の期待を集めています。ファンビジネスの新規事業は、絶対額より伸び率を先に語る方が説得力を持つ場合があります。

カバー株式会社 — 「選択と集中」でホロアース終了、タレントファーストへ

ホロライブプロダクションを運営するカバー株式会社は2026年5月14日、メディア向け決算説明会を開催しました。代表取締役CEOの谷郷元昭氏は、事業拡大への焦りが「負の影響」を与えたと述べました。そのうえで、経営資源の投下先を明確に絞る「選択と集中」を最重要課題に位置づけました。同社はバーチャル空間プロジェクト「ホロアース」のサービスを終了し、その技術を自宅配信を強化するアプリの開発に転用すると発表しました。タレントの負荷軽減や制作プロセスの改善にも取り組む方針を示しました(インサイド)。

研究所メモ: 拡大の反省を経営トップ自身の言葉で語った点が異例です。カバーは、多角化した事業のうち機能しなかった分野を止め、技術資産だけを別の用途に転用しています。ファンの不信感を「猛省」という言葉で正面から受け止めたことが、撤退そのものより重い意味を持ちます。事業を畳む判断は、続ける判断と同じくらい丁寧な説明を必要とします。

国がキャラクター起用を重ね、普及率8割に届かせた

マイナンバーカード — サンリオとアイドルを起用した広報の蓄積で保有率81.2%

自民党がマイナンバーカード取得の義務化を政府に提言する方針が報じられ、SNS上で賛否が広がっていました。マイナンバーカードの保有枚数は1億枚を突破し、人口に対する保有枚数率は81.2%に到達しました。2021年3月時点の交付枚数率は26.3%で、5年経っても3割に届いていませんでした。普及の背景には、ポイント付与やCM、キャラクター、アイドル起用、自治体キャンペーンなど長年の広報施策の積み重ねがありました。2014年公表の広報用キャラクター「マイナちゃん」や、アイドルグループ・=LOVEを起用したCMも活用されてきました(AdverTimes.)。

研究所メモ: 交付率が20%台から8割まで伸びるのに、約5年かかりました。この事実から、キャラクターや起用タレントだけでは普及が進まないことが分かります。ポイント付与という実利、CM、キャラクター、自治体キャンペーンが積み重なって初めて数字が動きました。単発の起用に即効性を求める前に、実利と広報を何年も並行して続ける覚悟があるかが問われます。

小売とスポーツ球団が、コラボグッズで品薄を作った

横浜DeNAベイスターズ×ポケモン — 観戦グッズ第2弾が5月22日発売

横浜DeNAベイスターズは「ポケモンベースボールフェスタ2026」の関連グッズ第2弾を、BAYSTORE各店で5月22日11時より発売すると発表しました。5月23日・24日の対東京ヤクルトスワローズ戦にあわせた展開でした。デザインには、ユニフォーム姿の「ピカチュウ」や、チームロゴと並ぶ「マリル」を使っていました。フラットバイザーキャップ6,400円、I☆YOKOHAMAタオルマフラー2,200円など、観戦時に使うアイテムを中心にそろえていました(インサイド)。

研究所メモ: プロ野球球団が、観戦用品にキャラクターのデザインを取り入れた事例です。タオルマフラーやチェアパッドなど、そのままスタジアムで使う実用品にデザインを加えています。グッズを観戦の当日に使う前提で設計すると、単価の高いアイテムでも購入理由が成り立ちます。

ZOZOTOWN×ウマ娘 — 15人の描き起こしで受注販売

ZOZOTOWNはゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』とのコラボレーション企画「ウマ娘 プリティーダービー in ZOZOTOWN」の受注販売を実施しました。「アーモンドアイ」「オルフェーヴル」など15人のウマ娘を、3人のイラストレーターが描き起こしました。商品はZOZOTOWN限定グッズ7型に加え、「417 EDIFICE」「HARE」「FREAK’S STORE」の3ブランドとのアパレル13型です。ビッグアクリルスタンドが2,200円、Reversible MA1が26,400円と、価格帯にも幅がありました(インサイド)。

研究所メモ: 2,200円のアクリルスタンドと26,400円のジャケットが同じコラボの中に並んでいます。低価格の記念グッズと高単価のアパレルを同時に用意することで、ライトなファンとコアなファンの両方から売上を取りに行く設計です。EC限定の受注販売という形式なら、在庫リスクを抑えながら、熱心なファンに商品を届けられます。

タカラトミー — 「BEYBLADE X」が想定超える反響で品薄・増産へ

タカラトミーは、「BEYBLADE X」の一部商品で想定を大きく上回る反響があり、品薄・欠品が起きていると公式に発表しました。国内・海外の販売分を含め、より多くの顧客に商品を届けるため、生産体制の強化と増産対応を進めていたと説明していました。同社は具体的な増産規模や供給再開時期を明らかにしていませんでしたが、継続的な改善に取り組む方針でした(電撃オンライン)。

研究所メモ: タカラトミーは、品薄という状況そのものを公式にアナウンスしました。おわびと増産方針をセットで伝えることで、転売や不満の拡大を抑えつつ、人気の高さを示す効果もあります。需要を読み違えたことを隠さず伝える姿勢が、次回の予約や供給への信頼につながります。

外食チェーンが、アニメと声優の力で来店を作った

呪術廻戦×名古屋めし — JR名古屋駅の限定メニューが5月22日開始

TVアニメ『呪術廻戦』と「推し旅」のコラボ企画第3弾「じゅじゅ探訪 in 名古屋」が、JR名古屋駅・名古屋うまいもん通りで5月22日から始まりました。企画にはジェイアール東海フードサービスが参加していました。「驛釜きしめん 太閤通り」では、主人公・虎杖悠仁の好物“麺類”にちなんだ担々きしめん「橙(だいだい)」を1,650円で販売すると発表しました。「キッチンなごや 太閤通り」のコラボメニューは海老フライ丼でした。コラボメニュー注文者にはオリジナルステッカーを配布すると発表しました。原作は世界累計発行部数1.5億部を突破していました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 主人公の好物というキャラクター設定を、地元名物のきしめんと海老フライに結びつけています。新幹線利用者向けの特典も用意し、来店動機を「アニメが好き」だけでなく「移動のついで」にも広げています。ご当地グルメを持つ外食企業の場合、原作の細部から接点を探す手間をかけるほど、コラボの説得力が増します。

サントリー×ポケモン — 「BOSS」で御三家モチーフのジャケットが当たる

サントリービバレッジ&フードは、飲料ブランド「BOSS」と「ポケモン30周年」のタイアップキャンペーンを6月1日から開催しました。抽選の景品は、「フシギダネ」「ヒトカゲ」「ゼニガメ」からインスパイアされた「ボスジャン」全3種でした。対象商品での応募向けに、「BOSSオリジナルQUOカード」(3,000名)なども用意していました。これに先駆けて、5月19日には「ポケモン30周年記念オリジナルチャーム」付きの「割るだけクラフトボスカフェ 2本パック」を発売しました(インサイド)。

研究所メモ: 30周年という節目に、初代御三家という古参ファンが反応する題材を選んだ点が的確です。ジャケットという実用品に光る・水鉄砲付きといった遊び心を足すことで、キャンペーン参加のハードルを下げています。周年施策を検討する飲料メーカーの場合、記念という言葉だけでなく、体験できる仕掛けを用意すると購買につながります。

スシロー×リュウジ・安元洋貴 — おたマヨ使用メニューを含む6商品を展開

回転寿司チェーンのスシローは、料理研究家のリュウジさんと声優の安元洋貴さん監修の商品を展開すると発表しました。商品は、総フォロワー数1,130万人のリュウジさんが監修したすし5商品と、サイドメニュー1商品の計6商品でした。「おたマヨ(R)」を使った商品も含まれていました。コラボは2024年12月にリュウジさんのYouTubeチャンネルに投稿された動画がきっかけで始まりました。告知の公式Xには「もう行くしかないじゃん」「絶対通う」と期待の声が寄せられていました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: スシローは、声優本人が持つファン層と、料理研究家が持つ別のファン層を掛け合わせています。2人を1つの商品に組み合わせることで、来店のきっかけを持つ人の数を増やしています。既存のタレント起用に伸び悩む外食企業にとって、掛け合わせの発想は参考になります。

放送局と金融グループが、IP事業に生態系を描いた

テレ朝HD — 上場来最高益、アニメIP展開数を2倍にする計画

テレビ朝日ホールディングスは2026年3月期の連結決算で、売上高3,394億8,700万円(前期比4.8%増)、営業利益261億8,100万円(同32.9%増)と、いずれも上場来最高となりました。個人・世帯視聴率では3冠を達成しました。2月に発表した「経営計画2026-2029」では、東京・有明の新拠点「東京ドリームパーク」をテレ朝IPの“聖地”と位置づけました。アニメ、マンガ、ドラマ、アイドルを横断的に活用する方針も示しました。中期経営計画では、アニメIP展開数を2倍、アニメ事業収支を1.5倍にする目標を掲げました。「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」に加え、「しろたん」「コウペンちゃん」やインド版「おぼっちゃまくん」など、北米・インドを含む海外IP展開を強化するとしていました(AdverTimes.)。

研究所メモ: 最高益という結果よりも、有明の新拠点を「IPの聖地」と位置づけた発想が重要です。放送で稼いだ収益を配信やIP事業に再投資する循環を、地理的な拠点として固定した形になります。テレビ局に限らず、コンテンツを持つ企業が二次利用収入を伸ばすには、ファンが実際に足を運べる場所を持つかどうかが分岐点になります。

SBI — ライブドア・マイナビ・IP企業群で「メディア生態系」構築

SBIホールディングスは5月19日、メディア事業を統括する中間持株会社SBIネオメディアホールディングスの戦略構想を記者向けに説明しました。北尾吉孝会長兼社長は「金融とメディアとITが融合する」構想を示しました。単なる広告出稿にとどまらず、メディア・IP・イベント・テクノロジーを含む「生態系」を自ら作る考えを強調しました。同日には、VTuber・eスポーツ・リアルイベント・地方創生プロジェクトでの連携に向け、Brave groupとの戦略的提携協議を始めることも発表しました。「ネオメディア生態系」の構成企業は23社にのぼっていました(ITmedia、オタク総研、KAI-YOU)。

研究所メモ: 金融グループのSBIが、広告出稿にとどまらず、IPとイベントとテクノロジーを自社で持つ「生態系」を目指している点が特徴です。共感や熱狂が消費行動を動かすという認識のもと、23社規模の連携をすでに築いています。異業種から推し活市場に参入する企業にとって、単発のスポンサーシップで終わらせない設計が問われる事例です。

TOWグループ — IP・音楽・スポーツを束ねる新部門を7月設立

統合プロモーション企画制作会社のテー・オー・ダブリュー(TOW)は、グループ5社横断の新部門「リアルエンタメユニット」を2026年7月1日に設立しました。重点テーマは、ゲーム・アニメ・お笑い・YouTuber・VTuberを含む「IPコンテンツ」、音楽ライブ、プロスポーツ、フードフェス、都市・商業施設の5分野でした。同社はIPコンテンツについて、ステージ・物販を楽しめるファンイベントとの相性が高いとしていました。そのうえで、生活者の能動的な参加と消費を牽引する最大の成長分野と位置づけていました(PR TIMES)。

研究所メモ: IPコンテンツを「最大の成長分野」と名指しした点が示唆的です。広告会社が持つ体験デザイン力を、ファンイベントの企画運営そのものに投じる動きが本格化しています。IPを持つ企業は、プロモーションの外注先が興行のパートナーへと役割を広げつつあることを把握しておく必要があります。

企業がファンとの向き合い方で、信頼を積み上げた

ゼクシィ — “架空の結婚式”で没入体験、定員150人に応募殺到

結婚情報サービス「ゼクシィ」(リクルート)は、没入型体験イベント「誰も知らない結婚式」を開催しました。架空の新郎新婦の結婚式に、ゲストとして参列する内容でした。参加無料・ドレスコードなしで、1日3スケジュール(各回定員50人)の構成でした。計150人の定員を大幅に上回る応募がありました。新郎新婦役はプロのキャストが務めており、受付では「新婦の幼馴染」などの役職カードを配布しました。招待状や実名入りのなれそめムービーなど、CRAZY WEDDINGの監修で徹底した没入の仕掛けを用意していました。担当者は「20代の約半数が参列経験を持たない」ことを企画の背景に挙げました(AdverTimes.)。

研究所メモ: 結婚式を挙げない選択が広がる中で、リクルートは「体験したことがないものは選ばれにくい」という前提に立っています。実名やなれそめムービーまで作り込んだ没入設計は、推し活イベントで培われてきた“その場に没入させる”手法そのものです。認知不足より体験の不足を課題と捉える企業にとって、参考になる事例です。

メルカリ — ハッピーセット「ちいかわ」転売を初日ほぼ封殺

メルカリは、日本マクドナルドのハッピーセット「ちいかわ」の玩具付録について、発売前から一定期間の出品禁止を告知していました。5月15日の発売後にAdverTimes.が確認したところ、該当商品とみられる出品はほとんどありませんでした。商品名を変えた「抜け道」出品も、数分で削除されたといいます。メルカリは「AIによる自動検知だけでなく、人の目での監視も含めて網羅的かつ高頻度で監視している」と説明しました。SNS上では「あっぱれ」「やるやん!」と好意的な反応が広がりました(AdverTimes.)。

研究所メモ: かつて転売の温床と批判されてきたメルカリが、対策を公表し、「あっぱれ」と評価されるようになりました。文言を変えた出品まで削除する運用を明言することで、企業側の本気度がファンに伝わっています。転売問題を抱えるIPホルダーにとっては、プラットフォーム側の監視体制そのものが、信頼を築く材料になります。

ちふれ — Snow Man向井康二を起用、“ファンに向き合う姿勢”も評価軸に

ちふれ化粧品は5月13日、Snow Manの向井康二を起用した「ちふれ 美白 TAシリーズ」の新WebCM「美白に、まっすぐ。」篇を公開しました。同社は2024年8月から向井を起用しており、今回で4本目のWebCMとなりました。担当者は起用理由について「向井さんの親しみやすいお人柄と、日常やくらしを大事にする姿勢がブランドイメージと合致している」と説明していました。これまで接点が薄かった若い世代を中心に、ブランドスローガン「くらしと、ともに。」への支持が広がっていたといっていました(Emo!miu)。

研究所メモ: ちふれが2年近く同じタレントを起用し続けていることが、成果につながっています。CMをシリーズとして積み重ねることで、「ファンに向き合う姿勢」という評価そのものが企業の資産になっていきます。起用タレントを頻繁に入れ替える前に、続けることで得られる信頼を計算に入れる価値があります。

ホビー企業が、公式アプリでファンの熱量を可視化した

バンダイスピリッツ — ガンプラ公式アプリ「ビルダーズノート」が再販を投票制に

バンダイナムコホールディングス傘下のBANDAI SPIRITSは5月12日、「ガンプラ」ファン向けコミュニティアプリ「ビルダーズノート」の提供を開始しました。アプリは無料で、iOSとAndroidに対応していました。従来はWeb版として3年ほど運営していましたが、製作記録の保存機能などを拡充してアプリにしました。ガンプラは誕生から40年超のロングセラーでした。2020年5月時点の累計出荷数は7億個、海外売上高比率は約50%に達していました。目玉機能の「ガンプラ再販会議」では、アプリ内での製作記録の投稿など、活動量に応じて投票権が付与されていました。投票行動は、抽選販売の当選確率に直結していました(AdverTimes.)。

研究所メモ: 「投票したのに買えない」というファンの不満を、当選確率という形で解消した設計が的確です。熱心に製作記録を投稿するファンほど推しキットを手に入れやすくなり、企業側もコアファンの実データから需要予測ができるようになります。ファンコミュニティを交流の場にとどめず、需要予測と優遇の両方に使うアプリ設計は、他のホビー・コレクター向け企業にも応用できます。

今週の所感

今週は企業がファンとどう向き合うかが、そのまま信頼の差になって表れた週でした。

メルカリの転売封殺、ちふれの2年越しの起用継続、マイナンバーカードの10年がかりの普及には、短期の反応で判断を変えなかったという共通点があります。テレ朝HD、SBI、TOWグループがそれぞれ描いた「IPの生態系」構想も、拠点や部門という形で継続の仕組みを作る動きでした。ファンの熱意は、施策を積み重ねる中でしか高まりません。

一方でカバー株式会社は、拡大を急いだことへの反省から「選択と集中」へ方針を転換しました。バンダイスピリッツのガンプラアプリも、交流より製作という個人のペースを尊重する設計になっています。規模を追う戦略と、ファン一人ひとりの熱意に向き合う戦略が、同じ週に並んだことが印象的でした。

自社のファンに何を積み重ねてもらうのか。推し活マーケティングの設計原則やファンマーケティングの基本とあわせて、今週の動きを見てみてください。


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