KFCとローソンが同時に「ウマ娘」と組んだ理由/自治体がRobloxで観光PRに動いた週【週刊推し活ニュース 2026年7月31日号】

2026年7月24日〜7月30日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週のキーワードはリアルとバーチャル、両方で推し活の接点が増えたでした。
外食・小売チェーンでは、ケンタッキーとローソンが8月からそれぞれ『ウマ娘 プリティーダービー』とコラボしました。スシローも、「ハローキティ」との2段階展開のキャンペーンを始めました。栃木県は、ホロライブ所属のラプラス・ダークネスさんを起用した動画とスタンプラリーで、13か所の「聖地」を巡ってもらう取り組みを始めると発表しました。横須賀市と大阪府は、それぞれRoblox内に公認アイテムやアバターを用意しました。
テクノロジー面では、ロッテが「ビックリマンAIグッズメーカー」で、生成AIを使って顔写真をキャラクターにするサービスを始めました。大谷デザイン研究所は、ハンドトラッキングで推しを「なでなで」できる「ぶいなで!」を、108万円から企業向けに提供すると発表しました。数字の面でも目立つ発表がありました。『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は、3日間で興行収入22億4,033万3,500円を記録しました。Hamaru Strategyの調査では、ランダムグッズに1回でかけた最大金額の平均が2万256円という結果も出ていました。
外食・小売チェーンが、人気IPで来店動機を作った週
ケンタッキー×ウマ娘 — ゲーム内実装とセット商品を両輪に
日本ケンタッキー・フライド・チキンは8月12日から9月30日まで、全国のケンタッキーフライドチキンで「ウマ娘のウマウマ!ケンタッキー!」を実施すると発表しました。『ウマ娘 プリティーダービー』とのコラボ企画です。第1弾「ウマ娘のウマウマ!コブマヨディップセット」は8月12日からで、購入特典としてトレーディングカード(全18種)をランダムで1枚進呈しました。第2弾「にんじんオッチャホイセット」は9月9日からで、特典は缶バッジ(全8種)でした。各セットにはゲーム内で使えるシリアルコードが付き、限定サポートカード「SSR[ガブッと、笑顔に]レッドディザイア」を入手できました。ゲーム内ではコラボ記念楽曲「ガブッと!」が追加され、ゴールドシップの「KFC親善大使ゴルシ」衣装を獲得できるミッションも登場すると発表しました(インサイド)。
研究所メモ: ケンタッキーが、グッズ特典だけでなく、ゲーム内のログイン報酬やキャラクター衣装まで用意している点が目を引きます。店舗での購買とアプリの中の体験を同じキャンペーンでつなぎ、ファンがアプリを開くたびに来店を思い出すように設計しています。単発のコラボ商品より、ファンの行動をどこから始めてもらうかで接触頻度が変わると示す事例だと思います。
ローソン×ウマ娘 — 141種類の「のぼり」で店舗をジャック
ローソンは8月18日から31日まで『ウマ娘』とのコラボキャンペーンを開催しました。キービジュアルに登場していたのは、「エピファネイア」「ロゴタイプ」「ルーラーシップ」「ヴィクトワールピサ」「アーモンドアイ」「キセキ」「デアリングタクト」です。私服姿で、からあげクンやソフトクリームを食べる様子が描かれていました。オリジナル商品として果汁グミ、大きなカントリーマアム、ちょいパクラスク(はちみつ味)、座りぬいぐるみを販売すると発表しました。最大の特徴は、総勢141人のウマ娘の「のぼり」を都内近郊のローソン店舗に掲出したことです。卓上サイズの「ミニのぼり」も販売すると発表しました(インサイド)。
研究所メモ: ローソンは、141人という数の多さで店頭での存在感を出しています。1人のキャラクターを大きく掲出するより、多くのキャラクターを店頭に並べる方が、推しているウマ娘が異なるファンをそれぞれ呼び込めます。多数のキャラクターを抱えるIPだからこそできる、数を生かした掲出方法です。
スシロー×ハローキティ — 2段階展開で回転寿司に非日常を
スシローは「ハローキティ」とのコラボ「KAWAUMA HELLO KITTY」を7月29日の第1弾、8月19日の第2弾に分けて展開しました。特典は、第1弾がピック・ステッカー・ファスナーポーチ、第2弾がクリアピック・シール・ミニチャームでした。両方の期間で、マスコット付き商品も販売しました。ステッカーとシールの裏面には、スシロー5%OFFクーポンが付きました。公式アプリやSNSキャンペーンでは、特大バスタオルやデジタルお食事券(1万円分)が抽選で当たると発表されました。大型タッチディスプレイ「デジロー」では、「ハローキティモード」を体験できると発表されました。東京・神奈川・愛知・大阪・福岡の5店舗には、スペシャルコラボ店舗も設けると発表しました(インサイド)。
研究所メモ: スシローが、グッズと割引クーポンを同じステッカーやシールにまとめている点は実利的です。コラボ目当てで来店した人が、そのまま5%OFFで会計できる流れになっています。キャラクターに興味がある客も価格を重視する客も、同じキャンペーンで呼び込めます。ファン向け施策と販促施策を分けずに設計する発想は、他の外食チェーンにも応用できそうです。
自治体がRobloxとVTuberで観光PRに挑んだ週
栃木県×ラプラス・ダークネス — VTuber公式大使が「聖地」を設計
栃木県は7月31日、ホロライブ所属のラプラス・ダークネスさんを起用した動画連動型プロモーションを開始しました。「推し活」と「聖地巡礼」を組み合わせ、県の認知度向上と県内周遊を狙う取り組みです。ラプラス・ダークネスさんは2026年5月に、VTuberとして初めて「とちぎ未来大使」に委嘱されました。動画シリーズ「刮目せよ!ラプラス・ダークネスのとちぎ征服旅!!」は全5本・各約5分で、計13か所を「聖地」として紹介します。第1弾「in 那須」は、7月31日に栃木県公式YouTube「15Tube」で公開されました。以降11月まで、「日光」「県央」「県東」「県南」が順次配信されると発表されました。同日に始まったLINEデジタルスタンプラリーは、動画の13か所に周辺スポットを加えた計25か所が対象で、期間は2027年1月31日までです。スタンプ数に応じて全員にデジタルクーポンを配布するほか、抽選で栃木県特産品やラプラス・ダークネスさんの直筆メッセージ付きグッズが当たります(Mogura VR)。
研究所メモ: 栃木県は、スタンプラリーの対象を、動画で紹介する13か所から25か所へ意図的に広げています。動画で見た場所を目当てに訪れた人に、近くの周辺スポットにも立ち寄ってもらう設計です。VTuberという「案内人」がいるため、ファンは観光情報を、ラプラス・ダークネスさんが歩いたルートとしてたどれます。自治体の周遊施策における人選の重要さがよく分かる事例です。
横須賀市 — Robloxで公認スカジャンを無料配布
イグニサス株式会社と横須賀市は7月27日、Roblox内で「横須賀市公認スカジャン」の無料配布を始めました。配布数は合計300個で、「ラベンダー」と「ブルー」の2種類を各150個、先着順で用意しました。Roblox内の「Cozy Life」に設置されたブースで取得でき、なくなり次第終了としていました。スカジャンは横須賀発祥のジャンパーで、刺繍を特徴とするファッション文化です。今回のアイテムでは、刺繍やサテン地の質感を3Dの服装アイテムとして再現しました。この配布は、都市の魅力を発信する「メタバースヨコスカ」プロジェクトの一環です。国内外のユーザーやZ世代に、横須賀の歴史・文化に触れる機会を提供する狙いがあります(Mogura VR)。
研究所メモ: 数量を300個に限ったことで、Roblox上のアイテムでも先着を争う状況になっています。無料のアイテムなので「なくなり次第終了」という制約がよく効き、行政広報にありがちな告知だけで終わらない仕掛けになりました。地域文化をデジタルアイテムにする場合も、量を絞ればリアルの限定品と同じ効果が得られると分かります。
大阪府「もずやん」— Robloxとリアルキャラバンを連動
大阪府の公式キャラクター「もずやん」が、Meta Osaka Co., Ltd.制作のRobloxオリジナルワールド「NAMBA PLAY PARK」に登場しました。プレイヤーはもずやんのアバターを操作し、大阪・難波の街を舞台にしたアスレチックゲームに挑戦できます(1プレイ約3〜4分)。このコンテンツは、「もずやんの大阪推し活!全国キャラバン」イベントで体験できます。キャラバンは8月2日のららぽーと門真を皮切りに、サンシャインシティ(東京)、ららぽーと福岡、Global Gate(愛知)、イオンモール四条畷(大阪)の全国5会場を11月1日まで巡回します。各会場のゲーミングPCで体験でき、参加には大阪府公式LINEアカウントのフォローが必要だと発表しました(Mogura VR)。
研究所メモ: 大阪府は、バーチャル体験を先に作り、それを持って全国5会場を回ります。この順番が特徴的です。体験の場を各地に移すことで、大阪に来られない人にも「もずやんと遊んだ」という接点を作っています。ご当地キャラクターの認知拡大を、現地誘客と切り離して設計できることを示す例です。
AI名刺とハンドトラッキングが、推し活の体験を広げた週
ロッテ「ビックリマンAIグッズメーカー」— 生成AIで自分だけのキャラクターに
ロッテは7月29日、「ビックリマンAIグッズメーカー」の提供を始めました。顔写真から自分だけのビックリマン風キャラクターを生成し、名刺やTシャツなどを注文できるサービスです。2025年12月に期間限定で展開した「ビックリマンAI名刺メーカー」の第2弾で、開発とシステム運営支援はWebサービス企画会社「アル」が担います。前回は40周年企画「悪魔VS天使シリーズ」として、2025年12月16日から40日間限定で展開し、名刺を100枚4,400円から販売しました。1日400セットの販売枠は連日完売し、平均4〜5分で売り切れていました。第2弾では名刺(200枚7,700円〜)に加え、Tシャツやアクリルキーホルダーなど商品ラインナップを拡大しました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 前回の「連日完売」という実績が、第2弾で商品数を増やす判断につながっています。名刺という交換文化のあるアイテムを起点に選んだのも巧みで、ビジネスや趣味のコミュニティで自然に人から人へ広がる設計です。ファン参加型のAIグッズでは、まず供給を絞って需要を確かめ、その後に商品を増やす順序が有効だと分かる事例です。
「ぶいなで!」— ハンドトラッキングで推しを撫でる体験
大谷デザイン研究所は7月30日、体験型コンテンツ「ぶいなで!」の本格提供を始めました。ハンドトラッキングセンサーで、画面内のキャラクターを「なでなで」できるコンテンツです。専用コントローラーや手袋、タッチパネルは不要で、センサーに手をかざすだけで操作できました。VTuber向けでは、ユーザーがなでている位置を配信者もリアルタイムで把握でき、双方向のコミュニケーションに対応していました。アニメ・ゲームキャラクター向けでは、なでる動きに合わせて表情やボイスが変化しました。既存のLive2D・3Dモデルやボイス素材をそのまま活用でき、新規制作が不要な点も特徴でした。買い切りプランの料金は通常148万円からで、キャンペーン中は108万円からでした(Mogura VR)。
研究所メモ: 既存の素材を使い回せる設計にしたことで、導入コストではなく企画の手間を減らしている点が本質的です。新しいイラストやモーションを描き下ろす必要がなければ、単発イベントでも導入を検討しやすくなります。「触れ合いたい」という欲求に応える市場を、コンテンツそのものより導入のしやすさで広げようとしていることが分かります。
店舗や接点をどう作るか、複数の企業が夏に動いた週
LUUP×ガリガリ君 — 都内150台のラッピングと無料配布
電動キックボードサービス「LUUP」を手掛けるLuupは7月27日、赤城乳業の「ガリガリ君」とコラボした夏季キャンペーンを開始しました。「食べる涼」のガリガリ君と「走る涼」のLUUPを組み合わせ、暑い中でもLUUPで移動してもらう狙いでした。7月27日から8月23日まで五反田駅前ポートをガリガリ君仕様に装飾し、都内では専用デザインの電動キックボード・電動アシスト自転車を合計150台導入を予定していました。SNS投稿キャンペーンでは抽選300人に限定LINEスタンプを、ライド完了者向け企画では抽選200人にオリジナルエコバッグを進呈すると発表していました。さらに複数のポートを「クーリングステーション」に設定し、18時以降にガリガリ君を無料配布する日程も発表していました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 「涼しさ」という体感を、食べ物と移動手段の両方で同時に訴求している構成が効いています。暑さ対策という生活の課題を中心に据えたため、ガリガリ君を知らない人にもLUUPを使う理由が生まれます。異業種コラボは共通のキャラクターより、共通の生活シーンを探す方が接点を作りやすいと示す例です。
サンリオ×マッキー — 50周年POP UPで文具とキャラクターを結ぶ
ゼブラの公式キャラクター「Hi! Mckee(ハイマッキー)」とサンリオキャラクターズのコラボ商品が発売されました。販売の場は、8月24日から渋谷RAYARD MIYASHITA PARKで開催されたPOP UPイベントでした。「Hi! Mckee」は油性マーカー「ハイマッキー」の特徴的なフォルムを生かして2024年に誕生したキャラクターです。今回はサンリオキャラクターズとの初共演で、限定ハイマッキー(1本220円、全8色)やエコバッグ、シールなどを「Hi! Mckee Town」をテーマに展開しました。マッキー50周年記念のPOP UPイベントの会期は8月24日から30日まででした。限定品販売のほか、世界に一つのハイマッキーを作れたコーナーやキャラクターグリーティングタイムも用意されました(超!アニメディア)。
研究所メモ: ゼブラは、自社キャラクターが外部の巨大IPと初めて組む機会に、周年記念を重ねました。単独のPOP UPでは集客が読みにくい自社キャラクターも、集客力のあるIPのサンリオと組めば、実店舗での体験の魅力を高められます。自社キャラクターを持つ企業にとって、外部IPとの共演は認知拡大の近道になり得ます。
セガ 北京公式ストア — 3店舗目でリアル展開を加速
セガは7月18日、常設のオフィシャルストア「SEGA STORE BEIJING」を北京の大型モール「北京朝阳大悦城」にオープンしました。セガの常設オフィシャルストアは、これで世界3店舗目です。同社は2025年5月に中国・上海で「SEGA STORE SHANGHAI」を、2025年7月に日本初の旗艦店「SEGA STORE TOKYO」(東京・渋谷)を開店していました。北京店は上海店と同じラインナップに加え、北京限定アイテムも扱っていました。セガ/アトラスIPのオリジナルグッズ販売やゲーム体験コーナーの設置など、店舗ならではの体験を提供するとしていました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 上海・東京・北京という出店順からは、セガが市場の大きさより、手応えを確認できた場所から広げている印象を受けます。セガは65年分のIPを、ゲームだけでなくリアル店舗での体験にも広げています。この動きは、コンテンツ企業が自社の資産を収益に変える一つの型を示しています。
数字が語った、今週の推し活とファンの支出データ
「映画ちいかわ」興収22.4億円 — 3日間の公開初速
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は、7月24日から26日までの3日間で観客動員数150万8,538人、興行収入22億4,033万3,500円を記録しました。週末動員ランキングでも1位となり、好調なスタートでした。全国447館(IMAX65館含む)で公開されており、原作者のナガノが完全監修していました。映画レビューサイト「Filmarks」では★4.2を獲得していました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 公開3日間という短い期間で興収が確定値として出ると、関連企業はそれを次のグッズ展開や地域コラボの投資判断に使えます。原作ファンの支持が興収として数字に表れるIPでは、映画化のタイミングで関連企業が動きやすくなります。実際、この週は「映画ちいかわ」関連の店舗施策も各地で同時に行われていました。
推し活層が選ぶ好きなライブ会場 — 東京ドームが支持される理由
推し活応援メディア「Oshicoco」は、アンケートをもとにした「好きなライブ会場」ランキングを発表しました。投票の対象は全国56会場で、1位は東京ドーム(東京都)でした。東京ドームは「立地の良さ」と「圧倒的なスケール感」を両立しており、駅からのアクセスの良さや周辺施設の充実が支持されていました。2位は大阪城ホール(大阪府)で、駅から近くハズレ席が少ない実利的な魅力が評価されました。3位は横浜アリーナとぴあアリーナMM(ともに神奈川県)で、見やすさと音響、利便性が支持理由に挙がっていました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 上位に共通するのは、演出の派手さではなく「駅からのアクセス」と「どの席でも見やすい」という実利的な条件です。会場を持つ施設側から見ると、集客力はライブそのものの内容だけでなく、駅から会場までの人の流れの設計で決まる部分も大きいと分かります。会場運営や周辺施設の企業にとって、遠征するファンの移動経路を整えることは具体的な投資対象になり得ます。
Hamaru Strategy調査 — ランダムグッズ、89.7%が「選んで買いたい」
株式会社Hamaru Strategyは7月31日、「ランダムグッズに関する消費者意識調査2026」の最終報告を特設サイトで公開しました。総回答数は35,866件、自由記述欄の総文字数は約269万字です。ランダムグッズ関連企業計18社へのヒアリング結果も反映していました。「単価は上がるが、選んで買える」施策を求める回答が89.7%で最多でした。ランダムグッズに1回で消費した最大金額は平均2万256円、中央値1万5,000円でした。一方でぬいぐるみ(0.6%)やフィギュア・マスコット(1.8%)はランダム販売への許容度が特に低く、「命を感じる」ことが理由に挙がっています。製造・販売に携わる回答者でも84.3%が「嫌い」と回答しました(PR TIMES)。
研究所メモ: 作り手・売り手側の84.3%が「嫌い」と答えている点が重要です。売る側も違和感を持ちながら続けている施策だとすれば、それは需要に応えているのではなく、在庫消化や販売効率の都合が優先されている可能性があります。「選んで買える」を求める声が9割近いという事実は、確定販売への切り替えが売上を落とすとは限らないことを示唆しています。
新市場を作る提携と、企業のオウンドメディア戦略
ロボットスタート×BEAMING — 「推し活×ポッドキャスト広告」の新市場
ロボットスタート株式会社は7月29日、株式会社BEAMINGと提携し、「推し活×ポッドキャスト広告」の新たな取り組みを始めました。BEAMINGは、ファンダム運営プラットフォーム「STAN」を展開しています。ロボットスタートは、国内最大級のポッドキャスト広告ネットワークを運営する企業です。この仕組みでは、ファンの投票やイベント参加、グッズ購入、SNSでのアクションといった応援行動を”トリガー”に設定します。行動量に応じて、“推し”からのお礼メッセージやイベント告知などがポッドキャスト広告枠を通じて配信される仕組みでした。第一弾はBEAMING社「STAN」の投票企画と連携します。ファンが”推し”に贈る「ハート」応援行動をトリガーに、上位入賞者の誕生日にお祝いメッセージを配信すると発表しました(PR TIMES)。
研究所メモ: 「広告枠」を「情報の発信場」と定義し直した発想が独自です。ファンの応援行動という能動的な参加を条件に情報が配信されるため、受け身の広告接触より記憶に残りやすい。音声メディアの広告枠は、「ながら接触」が多いぶん敬遠されがちです。しかし、応援の対価として設計すれば、むしろ聞かれる広告になり得ます。
パルコ「GOMES」30年ぶり復刊 — セール依存からの脱却
パルコは7月17日、サブカルチャー系フリーペーパー「GOMES by PARCO」の配布を全国15店舗で始めました。1989年から1996年まで発行していた「GOMES」を、30年ぶりに復刊しました。第2号は9月発行予定で、Webでは公開せず店頭限定で配布すると発表しました。パルコは「PARCOの宣伝の役に立たないフリーペーパー」を掲げ、テナントやセールの情報は載せません。パルコは今夏、約50年続けた全店共通の大型セール「グランバザール」を中止しました。川瀬賢二社長は日本経済新聞の取材で、値下げより面白い企画の方が来店のきっかけになりやすいとの見方を示しました。旧GOMESは1989年の創刊から1996年までに計80号を発行し、1号あたり最大10万部を全国のパルコで配布しました。誌面にはタナカカツキと天久聖一の「バカドリル」や岡崎京子らの作品が載り、辛酸なめ子らが活動を広げるきっかけにもなりました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 大型セールの中止とフリーペーパーの復刊が同じ年に重なったのは偶然ではないはずです。パルコは値引きで人を呼ぶ発想をやめ、自社が何を面白がる会社なのかを見せる方向に転換しました。売上に直結しない媒体をあえて残したのは、短期の集客より長期のブランドへの愛着を選んだためだと考えられます。
今週の所感
今週は企業が「どこで推しと会えるか」を、リアルとバーチャルの両方に増やした週でした。
ケンタッキーやローソンは、ゲーム内実装や店舗掲出でウマ娘との接点を作りました。栃木県や横須賀市、大阪府は、RobloxやVTuberという「場」そのものを観光PRに活用しています。ロッテのAIグッズメーカーや「ぶいなで!」は、ファンが推しに「触れる」感覚をテクノロジーで再現しています。接点の作り方は違っても、狙いは同じ「もう一度会いに来てもらう」ことです。
一方で、Hamaru Strategyの調査は、ランダムグッズについて「作り手側の84.3%が嫌い」という実態を示しました。パルコは、セールという接点を自ら手放しています。これらの例から、接点を増やすだけが正解ではないことも分かります。増やした接点をどう質に変えるか、この週の動きはその両方を映していると思います。
企業がファンとの接点をどう設計するかは、推し活マーケティングの設計原則やランダムグッズと推し活消費、聖地巡礼という手法とあわせて見てみてください。
週刊推し活ニュースは、推し活×ビジネスの1週間を毎週まとめてお届けします。過去の号は推し活×ニュースカテゴリからどうぞ。



