サンリオ×JO1ポップアップに1日4,000人/リンツ「診断」施策で来店6,000人【週刊推し活ニュース 2025年4月18日号】

2025年4月11日〜4月17日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
この1週間は、企業が診断やポップアップをファンの来店につなげた事例が報じられました。
リンツ&シュプルングリージャパンは、バレンタイン期間の1月6日から「ご褒美リンツ診断」を実施しました。参加者数は約7.6万人で、店頭でのクーポン引き換えによる来店人数は約6,000人に達しました。診断コンテンツを作って終わらせず、店頭誘導まで設計している点が特徴です。
サンリオとJO1が共同開発したキャラクター「JOCHUM」も、渋谷のポップアップで1日約4,000人を集めました。山善はゴーゴーカレーとのコラボ電気圧力鍋をMakuakeで先行販売し、初日に応援購入金額約140万円を集めて目標金額を達成しました。ユニクロとGUは、ガンダム・マリオ・ポケモンという人気IPとのコラボ商品を順次発売しました。
大阪・関西万博でも動きがありました。開会式では、バーチャルヒューマンのimmaが司会進行役を世界で初めて務めました。「ガンダムメタバース」は、万博の実物大ガンダム像を空間内に登場させた第4回を4月21日から開催しました。
缶コーヒーとエナジードリンクが、ゲームIPで購買動機を刺激した
サントリーBOSS×ポケモンカードゲーム — “ex”シリーズで缶コーヒーに人を呼び戻した
サントリー食品インターナショナルは2月4日、コーヒー「BOSS」と「ポケモンカードゲーム」のコラボ商品「ボス ex 進化の微糖」を発売しました。主力5商品も「集めるポケカ缶」デザインにリニューアルしました。対象6缶パックの購入や2次元コードから応募できるキャンペーンも実施していました。「ボス ex 進化の微糖」は3種類、「集めるポケカ缶」は17種類とラインアップを充実させていました(AdverTimes.)。
コラボを機に久しぶりに缶コーヒーを飲んだという声や、「思っていたより数段おいしい」という反応も見られました。
研究所メモ: 17種類という缶デザインの数が肝です。コンプリートしたい欲求を刺激するには、コラボ商品を1種類で終わらせず、選ぶ楽しさを作る量が必要になります。缶コーヒーという習慣消費の商品に、収集という別の動機を加えた設計です。
モンスターハンターワイルズ×レッドブル — 池袋のコラボカフェで無料メニューとクエスト挑戦
レッドブルと『モンスターハンターワイルズ』のコラボカフェイベントが、池袋のCafe&Bar RAGE STで4月19日・20日に開催すると発表しました。来場者は4種のコラボメニューから1種を無料で選べるほか、抽選でタイムアタック形式のクエストチャレンジにも参加できるとしていました。来場者全員に限定ノベルティも配られるとしていました(インサイド)。
研究所メモ: エナジードリンクとゲームの相性の良さは、今に始まった話ではありません。今回は無料提供と抽選チャレンジを組み合わせ、飲むだけでなく遊ぶ体験まで用意しています。商品をただ配るより、遊んでもらってから配るほうが来店の理由になります。
ユニクロとGUが、人気IPで店頭を塗り替えた
ユニクロUT — 「ガンダム」45周年Tシャツと「スーパーマリオ」の復刻を同時展開
ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」は4月14日、『機動戦士ガンダム』45周年を記念したTシャツコレクションを発売しました。メカニカルデザイナー・大河原邦男氏の描き下ろしイラストを含む全4柄で、価格は各1,990円(税込)です。発売にあわせてAR企画も始動し、4月14日からは国内7店舗でGPS連動の等身大ガンダムが出現する企画も実施していました。あわせて「UTアーカイブ スーパーマリオ」も4月29日から発売しました。ドット絵のマリオやヨッシー、クッパを描いたメンズ・キッズ各6柄です(超!アニメディア、インサイド)。
研究所メモ: 45周年記念コラボと過去ヒット作の復刻を、同じ4月に並べているのが見どころです。新規ファンには最新の45周年アートを、懐かしさを求める層には過去のヒットデザインを用意しています。1つのブランドで2つの動機に応える品揃えの組み方は、単価の低いアパレルほど有効です。
GU — 「ポケットモンスター」コラボアパレルを4月25日発売
GUは4月25日、『ポケットモンスター』とのコラボレーションアパレルを発売しました。「ポケモンとの出会い」と「冒険」をテーマに、ピカチュウやリザードン、ミュウツーらを懐かしのドット絵でデザインしました。価格帯はグラフィックTシャツ各1,290円、ラウンジセット各2,990円など幅広く、キッズ向けアイテムもありました。マロニエゲート銀座店、渋谷店、名古屋ゲートタワー店では4月11日から先行展示とウィンドウ装飾を実施しました(インサイド)。
研究所メモ: 先行展示を発売の2週間前に置き、店頭での認知を先に作ってから販売を始める順番です。ユニクロが最新作と復刻の2軸なら、GUは懐かしのドット絵という1つの表現に絞っています。同じグループ内でも、ブランドごとに狙う年代とIPの見せ方を変えています。
クラウドファンディングと診断コンテンツが、来店行動を生んだ
山善×ゴーゴーカレー — コラボ家電のクラファンが初日に目標を達成
山善は2月4日、ゴーゴーカレーグループとのコラボ商品「毎日カレーが食べたくなる電気圧力鍋」をMakuakeで先行販売しました。初日の応援購入金額は約140万円に達し、目標金額を達成しました。目標販売台数665台のうち、Tシャツまたは銀皿のオリジナルグッズ付き限定版各55台は2月6日時点で完売していました。調理スタートボタンにはゴーゴーカレーのロゴを使用しており、店舗では食べられない「推しアレンジレシピ」を5つ収録しました(AdverTimes.)。
山善の家電開発チームがゴーゴーカレーのファンだったことから、山善側がコラボを打診したといいます。するとゴーゴーカレー側も開発時に山善の調理家電を使っていたことが分かり、コラボに至ったそうです。
研究所メモ: 主婦層以外に客層を広げたい山善と、20〜40代男性という客層を持つゴーゴーカレーの相性が合った事例です。汎用性の高い家電は、魅力を伝えきれないことがあります。ファンダムを持つ食ブランドと組めば、具体的な使い方まで一緒に伝えられます。
リンツ — 「ご褒美リンツ診断」でクーポン来店者数が約6,000人に
リンツ&シュプルングリージャパンは1月6日から、バレンタイン限定のプロモーション「ご褒美リンツ診断」を展開しました。数問の質問に答えると、チョコレート「リンドール」のおすすめフレーバーや運気が分かります。店頭で1粒試食できるクーポンも表示されました。診断結果は占い師のぷりあでぃす玲奈氏が監修しました。1月29日時点で、診断への参加者数は約7.6万人、クーポン引き換えによる来店人数は約6,000人でした。X上で診断結果を投稿するキャンペーンには約2,000件の投稿がありました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 参加者7.6万人に対し来店6,000人という転換率から、診断コンテンツの設計の質が分かります。エンタメ性の高い性格診断から始めて、店頭での試食という具体的な行動まで、1本の導線で誘導しています。診断結果をSNSに投稿してもらう仕掛けも、来店を増やす役割を果たしました。
商業施設とアミューズメント施設が、IPで新しい客層を呼び込んだ
サンリオ×JO1 — 共同開発キャラ「JOCHUM」の部屋を渋谷で初公開
JO1とサンリオが共同開発したキャラクター「JOCHUM」のポップアップイベントが、SHIBUYA TSUTAYAで1月3日から19日まで開催されました。「JOCHUMの部屋が見たい」というファンのリクエストに応え、11キャラクターそれぞれの部屋を再現したフォトスポットを設置。渋谷スクランブル交差点に面した高さ4.5メートルのウィンドウにも11キャラクターをデザインしました。期間中、JOCHUMコーナーへの来場者は1日で約4,000人を超えた日もあったといいます(AdverTimes.、マイナビウーマン)。
研究所メモ: 渋谷のど真ん中という立地そのものを、告知を見ていない通行人への広告として使っています。無料配布のバルーンがSNSで話題になり、長蛇の列ができたのも計算外の効果でした。2022年に生まれたキャラクターを3年かけて育て、世界観ごと立体化してきたことが伝わってきます。
バンダイナムコアミューズメント×学園アイドルマスター — 全国約150店舗でキャンペーン
バンダイナムコアミューズメントは、『学園アイドルマスター』とコラボした「HOP! STEP! JUMP! SPRING!キャンペーン in ナムコ」を4月25日から5月25日まで、全国約150店舗のアミューズメント施設で開催すると発表しました。4月29日に誕生日を迎える「藤田ことね」の”ゴールドの輝きver.”フィギュアなど、限定プライズを用意していました。対象クレーンゲーム機に1,000円を投入すると、特典がもらえる仕組みも設けました(インサイド)。
研究所メモ: 全国150店舗という規模の大きさが、単発のポップアップと違う点です。1つのキャラクターの誕生日という小さな出来事を軸に、全国のクレーンゲーム機という既存の設備を使って集客しています。新しい会場を用意しなくても、既存のアミューズメント施設網で人を集められます。
アトレ川崎とアトレ秋葉原 — 商業施設が期間限定でポケモンと東方を掲げた
アトレは『ポケモンカードゲーム』の拡張パック「ロケット団の栄光」の発売にあわせ、アトレ川崎で「ポケモンカードストア」を4月18日から5月6日まで開催すると発表しました。プロモカード「イーブイ」がもらえるポケモンカードゲーム教室なども実施すると発表しました(4Gamer.net)。アトレ秋葉原では、『東方Project』の「博麗神社~春祭り2025」が4月16日から30日まで開催されました。ファンクラブ団体「博麗神社崇敬会」が著作権元の許諾を得て開催し、運営はタブリエ・マーケティングが担当していました。会場では、「東方花映塚20周年記念」をテーマにした描き下ろしグッズを販売していました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: どちらも入場無料で、商業施設の集客をIP側のファンコミュニティが担う構図です。東方のように、ファンクラブ団体が版元の許諾を得て企画する形もあります。どちらの事例も、自前でIPを持たない商業施設に、既存のファン組織と組む選択肢があることを示しています。
大阪・関西万博で、キャラクターとimmaが本番を担った
「ガンダムメタバース」第4回開催 — 万博の実物大ガンダム像と初音ミクライブ
機動戦士ガンダムシリーズのメタバース空間「ガンダムメタバース」の第4回期間限定オープンが、4月21日15時から5月20日13時まで実施されました。今回はモバイル端末のブラウザからもアクセスできるようになり、大阪・関西万博の「実物大ガンダム像」も空間内に登場しました。初音ミクとのコラボレーションライブ第2弾も4月23日から5月18日まで、1日2回開催されました(Mogura VR)。
研究所メモ: モバイル対応は地味な改善ですが、実は最も効果の大きい拡張です。実物大ガンダム像や初音ミクライブのような話題性の高い企画は、人を呼ぶきっかけになります。それでも、アクセスできるデバイスを広げなければ、そこに人は集まりません。目玉企画と基盤整備は、常にセットで動かす必要があります。
バーチャルヒューマンimma — 大阪・関西万博の開会式で司会進行
4月12日に開催されたEXPO2025大阪・関西万博の開会式で、バーチャルヒューマンのimmaが司会進行役として登場しました。immaは万博のスペシャルサポーターに就任していて、来賓紹介や式典進行を担当しました。バーチャルヒューマンが公式行事の司会を務めるのは世界初の試みでした。immaは株式会社Awwがプロデュースしています。これまでに、東京2020パラリンピック閉会式やカナダのTED Talkにも登場してきました(Mogura VR)。
研究所メモ: 国家的な式典の司会という、最も間違いが許されない役割にバーチャルヒューマンを起用した点が異例です。エンタメの分野で積み上げた実績が、公式行事という別の分野での信頼につながっています。バーチャルヒューマンの起用先を考えるとき、参考になる前例です。
VTuber市場の輪郭を、調査と資金調達のデータが描いた
矢野経済研究所 — VTuberファンの68.6%に「推し」がいると判明
矢野経済研究所は、VTuberに関する消費者アンケート調査を実施しました。調査は2024年10月から11月にかけて、国内の15〜44歳男女37,353名に行いました。そのうち、動画視聴が趣味で「VTuber」を好きな動画に選んだ1,200名を詳しく分析しました。「推しがいる」と答えたのは68.6%、「推しはいない」は18.3%でした。年齢層が低いほど「切り抜き・編集動画等」の回答率が高く、年齢層が高いほど「ライブ配信等」の割合が高くなる傾向も明らかになりました(Mogura VR)。
研究所メモ: 3万7千人規模の調査から、1,200人のVTuberファンを抽出しています。母数が大きいため、結果の信頼度も高まります。若年層ほど切り抜き動画を選ぶという結果は、タイムパフォーマンス重視の傾向をよく表しています。年齢層によって最初に見せるコンテンツの形式を変える必要があることを、数字が裏付けています。
メタバースサービスのUrth — 追加調達で累計1億円を突破
メタバースサービス「metatell」を運営する株式会社Urthが、追加の資金調達を実施し、累計調達額が約1億600万円に達したと発表しました。今回は、2024年10月のシードラウンドに続くシードラウンド2ndクローズで3,100万円を調達しました。資金は、国内メタバース市場の拡大とアジア市場の開拓に活用する方針でした。代表取締役の田中大貴氏は元建築家で、国内建築士のリソースをメタバース領域で活かすことを目指していました(Mogura VR)。
研究所メモ: 建築デザイナーが設計した3D空間という打ち出し方が、Urthの独自性になっています。メタバース事業者が乱立するなかで、誰が空間を作っているかという専門性そのものを差別化要因にしています。企業向けメタバース導入を検討する側にとっても、発注先を選ぶ基準の1つになります。
今週の所感
今週は、企業が見せるだけでなく、来店や購買という行動まで設計した事例が報じられました。
リンツの診断には7.6万人が参加し、そこから6,000人が来店しました。山善のクラファンは初日で目標金額に到達し、サンリオ×JO1のポップアップには1日4,000人が渋谷に集まりました。いずれも、ファンを呼び込む入口(診断・クラファン・SNS)と、実際に足を運んでもらう出口(店舗・クーポン・ポップアップ)を分けて設計しています。
一方で、大阪・関西万博は、リアルとバーチャルの境界そのものを実験する場になっています。immaの司会起用や、ガンダムメタバースの実物大ガンダム像がその例です。矢野経済研究所の調査によれば、VTuberファンの約7割に「推し」がいます。この市場は、今後もこうした実験を受け入れていくはずです。
自社の顧客接点のどこに「入口」と「出口」を置くか。推し活マーケティングの設計原則や推し活イベントの企画術とあわせて、今週の動きを見てみてください。
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