VTuber市場が2025年度に1,260億円へ/サンリオに4つの周年が重なる【週刊推し活ニュース 2025年5月2日号】

2025年4月25日〜5月1日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週は、老舗ブランドが「周年」を機に、キャラクターとファンを同時に動かしました。
サンリオは、マイメロディの50周年、クロミの20周年、リトルツインスターズの50周年、機関紙「月刊いちご新聞」創刊50周年が重なる「ミラクルイヤー」を迎えていました。マリモクラフトは、大型ショッピングイベントを4月29日の銀座三越から12月まで全国の百貨店で巡回させました。同じ週には、「シルバニアファミリー」の発売40周年を記念した展覧会がサンシャインシティで始まっていました。松屋銀座は5月1日に開店100周年を迎えました。
海外展開にも動きがありました。USJ発のイベント「ユニバーサル・クールジャパン」10周年を機に、『ONE PIECE』と『呪術廻戦』の体験型コンテンツがアメリカ・ハリウッドに初上陸しました。市場データでは、矢野経済研究所がVTuber市場の2025年度規模を前年度比20%増の1,260億円と予測していました。同研究所のデータでは、グッズ販売が市場の55.6%を占めていました。
化粧品とアパレルの大手が、IPコラボで動員力を示した
資生堂×ポケモン — 渋谷に全長22メートルの交通広告
資生堂のサンケアブランド「アネッサ」は4月21日、「ポケモン」とのコラボレーション商品「アネッサ パーフェクトUV スキンケアミルク NA」を発売しました。コラボしたのはピカチュウ、ポッチャマ、ニャオハの3匹です。4月28日から1週間、渋谷駅道玄坂ハッピーボードに全長22メートルの交通広告を掲出しました。ポケモンの選定からパッケージデザイン、店頭POPまで資生堂クリエイティブが一貫して企画していました。「アネッサ」とポケモンのコラボは2021年以来4年ぶり、通算2回目でした(AdverTimes.)。
コラボ商品は、ドラッグストア・GMS・化粧品専門店・資生堂オンラインストアで数量限定で発売していました。
研究所メモ: 4年前と同じIPを再起用した点が目を引きます。新規のコラボ相手を探すより、一度成果が出た組み合わせを”再演”するほうが、ファンの記憶とブランドの再認知を同時に得られます。長期コラボは1回で終わらせず、周期的に戻ってくる設計が有効です。
ユニクロ×ディズニー — 藍染職人監修の「Disney in Blue」
ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」は、藍師・染師BUAISOUが監修した「Disney in Blue」コレクションを発売しました。ディズニー・ピクサー・マーベル・スター・ウォーズとユニクロの「LifeWear」が融合するプロジェクト「MAGIC FOR ALL」の一環です。型染めや絞り染めで制作した原画を、プリントや刺繍で再現していました。ラインナップはMEN・WOMEN・KIDS各4柄のTシャツ(990円〜1,990円)に加え、男女兼用シャツやショートパンツも展開していました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: ミッキーマウス本体ではなく、“藍染職人としてのミッキー”というテーマ設定に手間をかけている点が特徴です。キャラクターを主役にするだけでなく、職人の技法をIPの世界観に取り込んでいます。このコレクションは、大量生産のアパレルコラボでも、ものづくりの背景を伝えられることを示しています。
出版社とデパートが、訪日客と記念日で新しい客を呼んだ
講談社 — MANGA MANNERSが新幹線5駅に拡大
講談社は、広告「MANGA MANNERS」を4月24日から6月30日まで、JR東海の東京・品川・名古屋・京都・新大阪の5駅に展開していました。セーラームーンやAKIRA、進撃の巨人、東京リベンジャーズなど、世界的に人気の漫画17作品のキャラクターが日本のマナーを紹介する広告でした。2024年10月に成田空港第2ターミナルで始めた企画の拡大版でした。東海道新幹線向けの新規マナー6種類を加え、計17マナーを発信していました(AdverTimes.)。
同社コミック営業部の上ケ市亜矢氏は、外国人観光客への実用性を狙いに挙げていました。背景には、過去最大のインバウンド客数と、大阪・関西万博でさらに増える訪日客があるといっていました。
研究所メモ: 単なる企業広告ではなく、「使える情報」として設計している点が効果的です。ブランドを見せるための広告と、旅行者が実際に助かる広告は両立しにくいものです。漫画のキャラクターがマナーを教えるという形式なら、その両方を同時に満たせます。IPを広告の”顔”だけでなく、“機能”として使う発想です。
松屋銀座 — 開店100周年を限定グッズと投票企画で祝う
松屋銀座は5月1日に開店100周年を迎え、4月29日から5月13日を「アニバーサリーウィーク」として展開していました。正面玄関には、ポップアップショップ「MATSUYA GINZA Souvenir Store」を設けていました。社章「松鶴マーク」や開店当時のロゴを復刻したグッズを販売していました。公式LINE登録者に向けた「100個のありがとうプレゼント」や、最も支持される商品をWeb投票で選ぶ「みんなの!松屋銀座 大賞」も実施していました。同店は近年、インバウンド需要の伸びで過去最高業績を記録しており、次の100年に向けて次世代顧客の開拓を掲げていました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 100周年の企画を「感謝セール」にせず、社章や旧ロゴの復刻グッズ、投票企画といった参加型の仕掛けにしている点が特徴です。歴史の長さを一方的に語らず、顧客が選んだり集めたりできるようにして、周年そのものをコンテンツにしています。老舗であるほど、歴史を参加型の企画に置き換える作業に価値があります。
テーマパークと玩具会社が、周年と海外進出で沸いた
USJ×ワンピース・呪術廻戦 — ハリウッドに”クールジャパン”上陸
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)発のイベント「ユニバーサル・クールジャパン」10周年を機に、『ONE PIECE』と『呪術廻戦』の体験型コンテンツがアメリカに初上陸しました。4月25日(現地時間)、ロサンゼルスの「ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド」で期間限定イベント「UNIVERSAL FAN FEST NIGHTS」が開幕しました。5月18日まで、週末の夜に開かれました。イベントでは、ルフィら麦わらの一味が登場するキャラクターグリーティングが行われました。2022年にUSJで初コラボした『呪術廻戦』のシアター・ショー・アトラクションも、アメリカで初めて公開されました(アニメ!アニメ!)。
なおUSJでは、「ワンピース・プレミア・サマー2025」を7月1日から10月6日まで開催しました。
研究所メモ: USJで培った体験を、そのまま海外パークに輸出する動きです。新規IPを一から開拓するのではなく、国内で成果を確かめた”型”を海外に持ち込んでいます。10年かけて改良してきた企画を海外に広げるので、単発コラボより投資回収の見通しを立てやすくなります。
万博ガンダムパビリオン — 文具雑貨シリーズを4店舗限定販売
サンスター文具は、大阪・関西万博の会場内オフィシャルストア4店舗限定で、『ガンダム』シリーズの文具雑貨を発売していました。商品はクリアファイル5枚セット(2,750円)からアクリルスタンド(各1,980円)、うちわ(770円)まで、全10アイテムでした。バンダイナムコホールディングスが出展するパビリオン「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」では、屋外に約17メートルの実物大ガンダム像を設置していました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 会場限定・店舗限定という制約が、そのまま来場動機になっています。万博という一度きりの機会に合わせてグッズの販路を絞ることで、「ここでしか買えない」という価値を作っています。自社イベントを持たない企業でも、大型催事に期間限定で相乗りする形は再現しやすい打ち手です。
老舗キャラクター企業が、周年イベントでグッズを広げた
サンリオ「ミラクルイヤー」 — 4つの周年が重なる巡回イベント
マリモクラフトは、大型ショッピングイベント「Sanrio characters Special Anniversary Market」を開催すると発表しました。マイメロディの50周年、クロミの20周年、リトルツインスターズの50周年、機関紙「月刊いちご新聞」創刊50周年が重なる、特別な1年を記念した企画でした。4月29日の銀座三越を皮切りに、仙台・札幌・京都・大阪・福岡など全国の百貨店を2026年1月まで巡回しました。会場限定商品として、マスコット(各2,860円)や燕三条ステンレスタンブラー(11,000円)などを展開していました(超!アニメディア)。
研究所メモ: 4つの周年を別々に祝わず、「ミラクルイヤー」という1つの名前にまとめた点が巧みです。単独のキャラクターの周年だけでは、単発の話題で終わりがちです。複数の節目を重ね、1年を通じた巡回イベントという大きな企画にしています。周年は個別に消費せず、まとめて資産化するという発想です。
シルバニアファミリー展40th — ドラマやレストランと連携
『シルバニアファミリー』は、1985年の発売から40周年を迎えました。記念展覧会「シルバニアファミリー展40th」が、4月25日からサンシャインシティで開かれていました(東京会場は5月18日まで)。会場には、2024年放送のTBSドラマ『西園寺さんは家事をしない』の劇中部屋を再現したコーナーがありました。サンシャイン60スカイレストラン4店舗では、コラボメニューを提供していました。デザイナーのtanakadaisukeやブランドJennyFaxなどアーティストとのコラボ作品展示もありました(リセマム)。
研究所メモ: 玩具単体の展示にとどめず、ドラマ・飲食・アートという畑違いの3方向に接点を広げています。40年間のブランド資産を、ドラマ視聴者やレストラン利用者など、ファン以外の人にも見てもらう設計です。周年展示を”ファンのための場所”で終わらせない工夫として参考になります。
すみっコぐらし — 推し活グッズと明記した新テーマ「しっぽず」
サンエックスは、『すみっコぐらし』の新テーマ「夢みるしっぽず」を展開していました。えびてんのしっぽが、えびふらいのしっぽとあじふらいのしっぽを誘い、アイドルユニットを結成するという設定でした。応援うちわが入る「フリルトートバッグ」(3,740円)や「しっぽカチューシャキーホルダー」(各1,210円)などが並んでいました。サンエックスは、公式発表で「推し活グッズがラインナップします」と紹介していました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: メーカー自身が「推し活グッズ」という言葉を商品説明に使っている点が象徴的です。キャラクターをアイドルという設定にすれば、応援うちわやカチューシャなど、実際のアイドル現場の作法をそのままグッズにできます。既存のファン行動の型に商品を合わせる発想は、他のキャラクタービジネスにも転用できます。
飲料メーカーが、ゲームとVTuberでファンに接近した
コカ・コーラ×原神 — 対象商品購入で限定グッズと原石
コカ・コーラは、HoYoverseのオープンワールドRPG『原神』とのコラボキャンペーン「原神とゴクゴクチャージ!」を4月28日から開始しました。全国のスーパーやドラッグストアで対象商品を4本購入すると、キャラクターを描き下ろした限定巾着ポーチがもらえました。Coke ONアプリでは、600円の回数券セットでゲーム内アイテムの原石を入手できました。抽選で200名に当たるステンレスボトルも用意されていました(Game*Spark)。
研究所メモ: リアルの購買行動とゲーム内アイテムを直接つないでいるのが特徴です。ポーチという物理グッズと、原石というゲーム内通貨を同じキャンペーンで用意しています。スーパーやドラッグストアでの購買層とゲーム内課金層の両方に応える設計です。飲料のような日常消費財ほど、こうした二重の報酬設計が有効です。
サイバーエージェント×ホロライブゲーマーズ — エナジードリンク発売
サイバーエージェントは4月29日、VTuberユニット「ホロライブゲーマーズ」(白上フブキ、大神ミオ、猫又おかゆ、戌神ころね)のオリジナルエナジードリンク「ホロチャージ! Vol.1」を発売しました。価格は281円で、描き下ろしイラストのパッケージは全4種でした。商品に貼付されたキャンペーンシールを集めるとアクリルスタンドなどが抽選で当たる購入者キャンペーンも実施していました(インサイド)。
研究所メモ: 281円という缶飲料の価格帯のまま、VTuberグッズを手に取るきっかけを作っている点が実践的です。高額なイベントチケットやフィギュアに手が出ない層でも、コンビニでの1回の購入がファン活動になります。単価を下げて接点の回数を増やす設計は、推し活をする人の層を広げる王道の手法です。
ゲーム会社が、デバイスとルールでファンを囲い込んだ
ふもっふのおみせ×にじさんじ — ライバー12名監修のゲーミングデバイス
ゲーミングデバイス専門店「ふもっふのおみせ」は、自社ブランド「ふもコレ」とVTuberグループ「にじさんじ」のコラボレーションを発表しました。第1弾(6月予約開始)は葛葉さん、叶さんら6名、第2弾(12月予約開始)はローレン・イロアスさんら6名の計12名が監修すると発表しました。ライバー完全監修のキーボードや撮り下ろしイラストのマウスパッド、付け替えキーキャップなどを展開すると発表しました(インサイド)。
研究所メモ: 実際に使う道具に推しを組み込んでいる点が特徴です。飾るためのアクリルスタンドと違い、毎日手に触れるキーボードやマウスパッドは使用頻度がはるかに高くなります。実用品にIPをあしらえば、ファンは日々の生活の中で”所有する理由”を感じ続けられます。
Cygames — ウマ娘の二次創作ガイドラインに商用禁止を追加
Cygamesは4月28日、『ウマ娘 プリティーダービー』の二次創作ガイドラインを更新しました。新たに「商業利用または営利を目的とするもの(いわゆる同人活動の範囲を超えるもの)」の禁止を明示しています。前日の4月27日には、同作のSteam版と英語版を6月26日にリリースすると発表していました。今回の更新は、プラットフォーム拡大と英語圏展開に合わせたルール強化とみられます(インサイド)。
研究所メモ: 英語版の配信前にガイドラインを更新した順番が重要です。市場を広げる前にルールを固めておかないと、後から線引きを変えることになり、ファンの反発を招きます。Cygamesは二次創作を許容する文化そのものは維持しつつ、境界線だけを事業拡大のタイミングで明確にしました。IPを長く育てる企業ほど、この順序管理が問われます。
Xross Stars — CRとぶいすぽが挑む新しい推し活のカタチ
Crazy Raccoon(CR)代表の高野大知氏と、開発プロデューサーの久保敦俊氏(Game & Co.)が、新作TCG「Xross Stars(クロススターズ)」について語りました。CR・ぶいすぽっ!・Neo-Porteなど、合計24名がカード化される作品です。描き下ろしイラストは150枚超だと話しました。4人のリーダーカードを選んでデッキを組む仕組みで、CRカップなど過去の名場面を”追体験”できる設計だと話しました。開発側は本作を「新たな推し活の形」と位置づけていました(インサイド)。
研究所メモ: 実際の配信で起きた場面をカードの題材にしている点が独自です。既存のトレーディングカードが「キャラクターの絵」を売るのに対し、この作品は「あの配信で起きた出来事」を売っています。ライブ配信という一過性の体験を、後から手元で振り返れる形にする発想は、配信文化を持つ企業全般に応用できます。
市場データと店舗展開が、VTuber経済圏の拡大を示した
矢野経済研究所 — VTuber市場、2025年度は1,260億円と予測
矢野経済研究所は、2025年度のVTuber市場が前年度比20%増の1,260億円に達するとの予測を発表しました。2023年度の市場規模800億円の内訳は、グッズが445億円(55.6%)、ライブストリーミングが160億円(20.0%)、BtoBが131億円(16.4%)、イベントが64億円(8.0%)でした。グッズ販売が中心の収益構造であることが分かります。2024年度は1,050億円、2025年度は1,260億円になる見込みでした(Mogura VR)。
研究所メモ: 市場の半分以上をグッズが占めています。この構造は、VTuberが配信業というより、実質的にキャラクターグッズビジネスであることを示しています。ライブ配信を”入口”、グッズを”収益源”と捉えると、他のキャラクタービジネスとの相性は良好です。企業にとっては、コラボ商品を出す条件がすでに整っている市場です。
にじさんじ「にじさんじ ぬいストア」 — 横浜にぬいぐるみ専門の実店舗
にじさんじのぬいぐるみグッズを集めたポータルサイト「NIJI×BUDDY(にじバディ)」が、4月25日にプレオープンしました。あわせて、横浜ビブレに常設店舗「にじさんじ ぬいストア」がオープンしていました。VTuberファンの間では、推しのぬいぐるみを持ち歩いて撮影する「ぬい撮り」文化が広がっていました。店舗では、ファンに人気の「にじぱぺっと」「にじぬい」シリーズを中心に販売していました(Mogura VR)。
研究所メモ: ファンがすでに自主的にやっていた「ぬい撮り」という行動に合わせて、公式が後から店舗とサイトを用意した事例です。企業が新しい遊び方を考え出したわけではありません。ファンの中で自然に生まれた習慣に向けて、専門の売り場を整えています。ファンダムの動きを観察してから投資判断をする、堅実な展開の仕方だと思います。
今週の所感
今週は、企業が周年という節目を使って、キャラクタービジネスを一段引き上げました。
サンリオの4つの周年、シルバニアの40周年、松屋銀座の100周年、ユニバーサル・クールジャパンの10周年。単発のコラボと違い、周年には「これまで積み上げてきた歴史」という裏付けがあります。松屋銀座は復刻ロゴのグッズを作り、シルバニアはドラマやレストランと組みました。どちらも、この裏付けを新しい客層に伝わる形にする作業でした。
一方で矢野経済研究所のデータを見ると、VTuber市場は2025年度に1,260億円規模になると予測されています。2023年度の実績では、その過半をグッズが占めました。キャラクタービジネスの市場が、すでに大きく育っていることが分かります。にじさんじは「にじさんじ ぬいストア」で実店舗を出し、Cygamesは、ウマ娘の英語版配信前に二次創作ガイドラインを更新しました。どちらも、市場が育った先に必要になる整備でした。歴史の長いブランドも、急成長するVTuber市場の企業も、同じ週に「積み上げたものを、どう次の客層に渡すか」という同じ問いに向き合っていました。
推し活の市場規模や二次創作との向き合い方とあわせて、今週の動きを見てみてください。
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