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内閣府×KONAMIが​桃鉄で​52自治体を​集結/​雪花ラミィの​日本酒が​世界大会で​全種受賞​【週刊推し活ニュース 2025年5月30日号】

2025年5月23日〜5月29日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。

今週のハイライト

今週は、キャラクターが、これまでとは違う業種の企業や団体と組む動きが目立ちました。

大阪・関西万博では5月28日、「地方創生SDGsフェス」が始まりました。内閣府地方創生推進室とKONAMIが手を組み、『桃太郎電鉄』の世界観で52自治体が出展していました。教育版『桃鉄』は、すでに全国の小学校の約37%に導入されていました。ゲームと行政が、実際につながっていることが分かります。

ホロライブ所属VTuberの雪花ラミィさんと茨城県水戸市の酒蔵・明利酒類は、2021年から日本酒「雪夜月」シリーズを共同開発してきました。同シリーズは、世界的な酒類コンペ「IWC」で、2025年の受賞により3作目までの全商品がメダル受賞となりました。カルビーは、「じゃがりこ」のバーチャル空間をRobloxに開設していました。不二家の「ペコちゃん」は誕生75周年を機に、同じく75周年の埼玉西武ライオンズと組んで始球式に登板していました。各社が自社のキャラクターやIPを本来の売り場や配信画面の外に出し、自治体・酒蔵・スポーツ球団・メタバースへと活動の場を広げた1週間でした。

食品と飲料の企業が、周年をきっかけに新しい客層と出会った

不二家×埼玉西武ライオンズ — 75周年が重なった球場で始球式

不二家は、誕生75周年を迎えたキャラクター「ペコちゃん」と、同じく今シーズンで75周年の「埼玉西武ライオンズ」のコラボ施策を展開していました。5月28日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦では「ペコちゃんスペシャルナイター」を開き、ペコちゃんが始球式に挑戦しました。選手直筆サイン入りの75周年記念ユニフォームなどが当たるガラポン抽選会も実施しました。ペコちゃんは4月19日の福岡ソフトバンクホークス戦でもセレモニアルピッチに登板しました(AdverTimes.)。

担当者は「ペコちゃんの歴史や親しみやすさを再認識してもらう機会になる」とコメントしました。

研究所メモ: ペコちゃんは4月19日と5月28日、異なる球団の試合で複数回セレモニアルピッチに登板しました。1回限りで終わらせず、同じ企画を繰り返し実施して、ファンとの接点を積み重ねています。周年という「双方に共通の理由」があるコラボは、単発の話題作りより、継続登板のような繰り返し施策に踏み切りやすくなります。

サントリー天然水×コジコジ — 髙橋藍がアニメキャラで初共演

サントリー食品インターナショナルは、「サントリー天然水 きりっと果実」とさくらももこ原作「コジコジ」のコラボWebCMを5月12日から公開しました。バレーボール選手の髙橋藍がアニメキャラクターとして登場し、「コジコジ」たちと「メルヘンの国」で共演する内容でした。マスメディアだけではリーチが難しい層へのアプローチを狙っていました。同ブランドは2022年から出演する香取慎吾に加え、新たな出演者として髙橋選手を起用しました(AdverTimes.)。

研究所メモ: どちらも「すでに周年やCM起用が決まっている枠」に、ファンを持つキャラクターを後から加えています。新しい企画を1から作るより、動いている祭事にIPを合流させるほうが、意思決定のコストは低くなります。周年施策やタレント起用を年間で持つ企業ほど、この合流の余地を探す価値があります。

アパレルが、着る接点でアニメキャラクターとの距離を縮めた

ユニクロ×シルバニアファミリー — 「赤ちゃんコレクション」をUTに

ユニクロは、「シルバニアファミリー」とのUTコレクションを2025年7月下旬に発売すると発表しました。近年人気の「赤ちゃんコレクション」をコンセプトにしていました。ショコラウサギの赤ちゃんと仲間たちをデザインした全4種で、価格は各1,500円(税込)です(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: ユニクロは発売のおよそ2ヶ月前に発表し、価格も1,500円と手に取りやすく設定しています。「赤ちゃんコレクション」という近年人気のテーマに絞り込むことで、既存ファン以外にも訴求しやすくしました。低価格・早期告知・絞り込んだテーマという組み合わせは、幅広い客層を狙うアパレル企業が参考にしやすい型です。

アース ミュージック&エコロジー×ふたりはプリキュア — 受注生産で変身ヒロインを普段着に

TVアニメ『ふたりはプリキュア』と、earth music&ecologyのコラボレーベル「Japan Label」がタッグを組みました。5月23日から、ECサイト「STRIPE CLUB」でコラボアイテムの予約を受け付けていました。美墨なぎさと雪城ほのかをモチーフに、ニットカーディガン4,999円、ニットキャミソール3,999円などを展開しました。受注期間は6月9日23時59分までで、9月中旬〜下旬に発送すると発表されていました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 1,500円のUTと、5,000円前後の受注生産ニットは、同じ「着る」商品でも価格帯と製造方式が対照的です。UTは即日買える手軽さを、受注生産ニットは待ってでも欲しい特別感を打ち出しています。アパレル企業がIPと組むときは、この2つの軸のどちらを取るかで、狙う客層がはっきり分かれます。

鉄道と商業施設が、キャラクターの世界観を接客の現場に持ち込んだ

小田急×紫雲寺家の子供たち — 声優2人が駅のスタッフとして仕事

TVアニメ『紫雲寺家の子供たち』と小田急電鉄のコラボレーション企画が、5月15日から開催されていました。小田急電鉄の成城学園前駅は、作中で紫雲寺家の7兄弟姉妹が利用する設定の駅です。初日には、紫雲寺万里役の安済知佳さんが1日駅長、紫雲寺南役の菱川花菜さんが1日乗務員を務めました。2人は、朝礼や発車合図などの業務を体験しました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 声優本人が朝礼や発車合図といった実際の駅務を体験しており、撮影会やグッズ販売にとどまりません。作中で描かれる設定の駅を実在の駅と重ね合わせ、声優にその役の日常業務を担わせました。これにより、フィクションと現実の接点が生まれています。自社の通常業務そのものをコラボの体験価値にできるかどうかが、鉄道・インフラ系企業の見せ場です。

ルミネエスト新宿×リロ&スティッチ — 24ショップと2つのPOP-UPで展開

ルミネエスト新宿は6月1日から、「GOOD MOOD ~STITCH COLLECTION~」を開催すると発表しました。館内24ショップとPOP-UP SHOP2店の計26ショップで、限定デザインのアイテムを展開するとしていました。館内に登場すると発表されていたのは、ディズニー映画『リロ&スティッチ』のオリジナルキービジュアルです。一部商品はルミネのネット通販「アイルミネ」でも販売するとしていました(アニメ!アニメ!、アニメージュプラス)。

研究所メモ: 声優を駅員に、館内BGMをディズニー音楽に。どちらも、「作品世界に入る」ための仕掛けを、現場の従業員やインフラごと作り替えています。グッズを並べるだけの企業も多い中、接客そのものを作品の一部にできるかどうかが、施設型ビジネスの差別化になります。聖地巡礼の設計思想に近い発想です。

外食とカフェが、ゲームコラボで来店の理由を作った

ピザーラ×ゼンレスゾーンゼロ — 対象メニューの注文で限定アイテム配布

HoYoverseは5月23日、『ゼンレスゾーンゼロ』とピザチェーン「ピザーラ」のコラボを発表しました。開催期間は5月27日〜6月18日でした。指定のコラボメニューを注文すると、限定アイコンやゲーム内通貨などがセットになった「味覚満点パック」を入手できました。コラボメニュー以外のセット購入でも別パックを獲得できるチャンスがありました(インサイド)。

研究所メモ: コラボメニューに加えて、対象外のセット購入でも別パックを獲得できるチャンスがあるため、来店のきっかけが一段広がっています。特典は、ゲーム内アイコンや通貨といった、その場で消費しきれないが所有欲を満たすものです。景品そのものには原価をかけていません。外食チェーンがゲームIPと組む際、特典をデジタルにする選択肢は在庫を持たずに来店動機を作れる点で参考になります。

コメダ珈琲店×ポケモンセンターナゴヤ — 即完売の商品を抽選で再販

株式会社ポケモンは、「コメダ珈琲店×ポケモンセンターナゴヤ」商品のうち6点を抽選販売しました。2024年10月に発売して即完売した商品で、受付期間は5月23日〜27日16時59分でした。対象は、ソフィア用ジョッキ5,940円、ブーツグラス3,300円などです。5月30日〜6月3日にはポケモンセンターナゴヤの店舗でも入場抽選付きで販売すると発表されました(インサイド)。

研究所メモ: ゲームの通貨がもらえる食事と、初回発売から約7か月後の再販売。どちらも「今すぐ食べたい」より「このコラボだから注文する」という動機を作っています。外食業がIPと組む際は、割引や新メニューより、ファンにしか価値の分からない付帯物を用意するほうがリピートにつながりやすくなります。

小売とテーマパークが、グッズと限定展示でファンを呼び込んだ

ドン・キホーテ×ポケモン — 全17種のTシャツを全国展開

タカラトミーアーツは、TVアニメ「ポケットモンスター」のアパレルアイテムを5月24日から全国のドン・キホーテ店舗で順次発売しました。ラインナップは、前面にモンスターボールをあしらった5種と、前面のみにポケモンをデザインした12種の計17種です。価格はメンズM/L/LLで、各2,199円(税込)です(インサイド)。

研究所メモ: 17種類というラインナップの多さと、全国のドン・キホーテという買いやすいチャネルが特徴です。デザインは種類ごとに違っても、価格は2,199円に統一されています。店頭で選ぶ楽しさを作りながら、購入の判断は複雑にしていません。種類の豊富さで飽きさせず価格をシンプルに保つ設計は、量販店向けグッズ展開の基本形です。

アルペン×ウマ娘×NEW ERA — 帽子ブランドとのコラボ第2弾

アルペンは、『ウマ娘 プリティーダービー』の作中プロジェクト「BoC’z we\n」と「NEW ERA」がコラボした限定アイテムの予約を受け付けていました。2025年4月に始動した同プロジェクトとの第1弾が好評だったことを受けた第2弾にあたります。3チーム分のヘッドギアやアパレルを展開すると発表されました。予約は6月3日まで、発送は9〜11月を予定していました(インサイド)。

研究所メモ: 第1弾の好評を受けて第2弾に進んでいる点、そして予約から発送まで3〜5ヶ月かかる受注生産である点が特徴です。作中プロジェクトは2025年4月に始動したばかりですが、すでにシリーズ化できています。第1弾の反応を見てから次を作るという、段階的な展開ができているからです。反応を確かめてから拡大するやり方は、新しいIPコラボを始める企業のリスク管理として参考になります。

東武ワールドスクウェア×デレマス — 栃木出身アイドルのミニパネルを限定展示

「アイドルマスター シンデレラガールズ×レジャフェス」は、全国11か所で合同開催されるイベントでした。東武ワールドスクウェアは6月4日から、栃木県の施設としてこのイベントに参加すると発表しました。栃木県出身のアイドル「日野茜」のミニキャラパネルは、同施設限定の展示でした。グッズ販売や、アイドルボイスの園内放送も行うと発表されました(アットプレス)。

研究所メモ: 全国どこでも買えるTシャツ、期間限定の帽子、その施設でしか見られないパネル。同じ「グッズ展開」でも、入手できる場所の広さがまったく違います。小売は広さで、テーマパークは狭さで勝負しています。どちらも限定特典の設計として理にかなっています。

政府とプラットフォームが、ファンの熱量を地域と個人の発信力に変えた

内閣府×KONAMI — 『桃鉄』で52自治体が集う地方創生フェス

大阪・関西万博のEXPOメッセ「WASSE」では5月28日に開幕した「地方創生SDGsフェス」が、6月1日まで開催されました。KONAMIと内閣府地方創生推進室がコラボしたイベントです。『桃太郎電鉄』の世界観をモチーフに、北海道から沖縄まで52自治体が出展し、地域の魅力を発信していました。KONAMIの担当者は「教育版『桃鉄』が日本の小学校の約37%に導入されている」と明かしました(Game*Spark)。

研究所メモ: 教育版『桃鉄』は、すでに全国の小学校の約37%に導入されています。この実績があったからこそ、内閣府という行政機関との連携が実現しています。ゲームとしての知名度に加えて、教育現場への浸透という娯楽以外の実績が、行政との協業を後押ししたと考えられます。企業がIPを行政や公共分野に展開する際は、娯楽面とは別の社会的な実績を積んでおくことが交渉材料になります。

ミラティブ — 個人VTuber支援の新規事業「All for Streamers」

株式会社ミラティブは新規事業発表会で、事業「All for Streamers」を発表しました。自社アプリの枠を超え、YouTubeやTwitchなど外部プラットフォームで活動する配信者を支援する事業でした。特に、企業に所属しない個人VTuberへの支援を厚くする方針でした。配信演出ツール「CastCraft」や、キャスティングサービス「ぶいきゃす」を提供していました。テンセントやスクウェア・エニックスとの実績もあると説明していました(Mogura VR)。

研究所メモ: KONAMIはゲームを自治体の広報に、ミラティブは配信ノウハウを個人クリエイターの支援に転用しています。両社とも、自社が本来の事業で蓄積したデータや仕組みを、外部の主体にそのまま貸し出す構造です。両社の例は、ファンビジネスの実務経験を自社だけで抱えず開放したほうが、市場が広がることを示しています。推し活マーケティングの設計にも通じる視点です。

食品企業がメタバースへ、酒蔵がVTuberと新商品を開発

カルビー×Roblox — 「じゃがりこ」がメタバースにバーチャル空間開設

カルビーは5月22日、オンラインプラットフォーム「Roblox」に「じゃがりこ」の専用バーチャル空間を公開しました。空間の名前は「じゃがりこ かくれんぼ!キリンたちを探せ!」です。家の中を舞台に、隠れた11匹の「じゃがりこキリン」を探す探索ゲームです。パッケージを模したアバターアイテムの販売も、同時に始めました(Mogura VR)。

研究所メモ: カルビーは、空間を作るだけで終わらせていません。探索ゲームというプレイする理由と、パッケージを模したアバターアイテムという購入する理由を、同時に用意しています。メタバース上のコラボは、空間があるだけでは滞在時間が生まれにくく、遊びと課金の両方を設計して初めて機能します。食品メーカーがメタバースに進出する際は、体験と収益化を一体で設計する必要があります。

明利酒類×雪花ラミィ — 「雪夜月」シリーズ全種がIWCメダル受賞酒に

ホロライブ所属VTuberの雪花ラミィさんと、茨城県水戸市の酒蔵・明利酒類は、日本酒「雪夜月」シリーズを共同開発していました。そのうち「微発泡 雪夜月」が、世界的な酒類コンペティション「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2025」の日本酒スパークリング部門でシルバーメダルを受賞しました。このプロジェクトでは、雪花ラミィさん本人が原料米や酵母の選定から酒蔵と相談していました。仕込みも、水戸市の酒蔵で行っていました。2022年・2023年に続く受賞で、シリーズ全商品がIWCでのメダル受賞を達成しました(Mogura VR)。

研究所メモ: 探索ゲームと酒造りは、どちらもVTuberや商品を「見せる」より「作る過程に本人を関わらせる」構造です。特に「雪夜月」は5年がかりの継続企画で、1回の受賞にとどまらず、シリーズ全商品の受賞という積み上げが評価につながりました。単発のコラボ商品では得られない信頼を、時間をかけて獲得した好例です。

今週の所感

今週は、企業が自社のIPや配信ノウハウを本来の事業の外に出し、別の業界の仕組みに組み込みました。

『桃鉄』は自治体の広報ツールに、雪花ラミィさんは酒蔵の共同開発者に、ミラティブの配信ノウハウは個人VTuber支援のサービスになりました。いずれも、企業が持つIPやキャラクターを「グッズ化して売る」段階から一歩進め、相手先の業務プロセスそのものに組み込んでいます。コラボを商品単位ではなく、機能単位で考える発想が、この週には目立ちました。

一方で、ユニクロやドン・キホーテのように、全国どこでも買える手軽なアパレル展開も同時に進んでいます。1,500円のUTと、5年がかりの日本酒。手が届く広さと、時間をかけた深さのどちらを選ぶかは、自社がファンとどれだけの期間つき合うつもりかで決まります。推し活マーケティングやファンマーケティングの設計原則とあわせて、自社のコラボがどちらの軸にあるのか、今週の動きから点検してみてください。


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