ちいかわパークが7月28日開業へ/ダイドー×鬼滅の刃が中身から新開発【週刊推し活ニュース 2025年6月20日号】

2025年6月13日〜6月19日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週のキーワードは、体験を作り込むほど、ファンは列に並んでくれるでした。
池袋の常設体験型施設「ちいかわパーク」は入場を抽選制にし、6月16日に一次抽選の受付を始めました。表参道で3月に開かれたプリングルズの体験型レストランには、わずか5日間で1,356人が来場しました。そのうち688人が実際に体験に参加しました。今週は、制約を設けるほど参加したい人が増えるという傾向が、複数の事例に共通していました。
推し活総研の調査によると、家族で推し活をする人の年間消費額は1人あたり平均36万8,461円でした。同じ調査で、この額は自分だけで推し活をする人の2.8倍にのぼることも分かっていました(AdverTimes.)。ダイドードリンコは『鬼滅の刃』とのコラボを約5年ぶりに実施しました。前回は発売3週間で5,000万本を売り上げており、今回はその実績を踏まえて、パッケージだけでなく中身から新しく開発しました。XR技術を使ったバーチャルライブやMRショッピングなど、リアルな場での体験を技術で広げる動きも複数見られました。
商業施設がキャラクターと組んで来場のきっかけを作った
ムーミン×ニュウマン新宿 — 14ショップが連動した夏のコラボレーションフード
東京・JR新宿駅にまたがるファッションビル「ニュウマン新宿」が、『ムーミン』とのコラボ企画「MOOMIN|NEWoMan SHINJUKU -夏の小さな冒険-」を実施しました。期間は6月20日から7月31日まででした。エキナカの「Petrichor Bakery and Cafe」を含む総勢14ショップが参加し、ムーミン谷をイメージしたスムージーやピッツァなど期間限定のコラボフードを販売しました。館内には限定デザインのフォトスポットも設置されました(アニメ!アニメ!)。
7月19日には事前抽選制のグリーティング企画も予定されていました。応募には対象ショップでの購入が必要でした。
研究所メモ: 1つのキャラクターのコラボに、駅ビル全体の14店舗が同時に参加した点が目を引きます。単独のコラボカフェで終わらせず、フロア全体で企画に取り組んでいるため、来店者が館内の店を回って歩く設計になっています。商業施設にとってキャラクターは、1店舗の集客装置ではなく、フロア全体の周遊装置として機能します。
忍たま乱太郎×東武動物公園 — 「飼育実習」の設定でグッズと入園券を連動
アニメ『忍たま乱太郎』のコラボイベント「忍たま乱太郎×東武動物公園 ~みんなで飼育実習の段~」が、2025年7月26日から8月31日にかけて埼玉県の「東武動物公園」で開催されました。描き下ろしイラストのコンセプトは、忍たまたちの「飼育実習」です。このイラストを、入園ゲートで販売された「コラボ入園券」やスタンプラリー、トレーディンググッズ全般に使いました。園内レストランもコラボメニューを提供すると発表しました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 動物園という業態そのものを、作品の「飼育実習」という設定に重ねている点が丁寧です。グッズを売るだけでなく、入園券とスタンプラリーを組み合わせ、来園者が園内を隅々まで歩くように工夫しています。テーマパークがIPと組む際、施設本来の体験とストーリーをどれだけ重ねられるかが、周遊時間の長さを左右します。
Juice×ちいかわパーク — 抽選制の常設体験施設が7月28日に開業
Juiceが運営する常設体験型施設「ちいかわパーク」が、2025年7月28日に池袋・サンシャインシティ アネックスにオープンしました。前売券は予約サイト「アソビュー!」で販売され、全日が日時指定制でした。入場するには、事前に抽選へ申し込まなければなりませんでした。一次抽選期間は6月16日10時から6月23日23時59分まででした。入場料は一般3,500円、子供1,800円で、1アカウントにつき4枚まで申し込めました(インサイド)。
研究所メモ: 常設施設でありながら、入場を抽選制にしている設計が特徴です。いつでも入れる施設にせず、あえて「当たらないと入れない」状態を作り、話題づくりと混雑回避を同時に狙っています。常設のファン施設を作る企業にとっては、入場方式そのものも集客の演出に使えることを示す事例です。
老舗飲料・食品メーカーがIPで新しい接点を開いた
ダイドードリンコ×鬼滅の刃 — 中身から作り直した約5年ぶりの第2弾
ダイドードリンコが6月30日、アニメ『鬼滅の刃』とのコラボ商品「ダイドー 鬼滅の刃 アイスラテ」「同 みかん水無糖」を発売しました。デザインは自販機向け・店頭向けをあわせて全32種類です。パッケージだけでなく、中身も専用に開発しました。2020年の”鬼滅缶”は発売3週間で累計5,000万本を突破しました。今回は約5年ぶり2回目のコラボでした。中島孝徳社長は「ダイドーの自販機を利用する習慣のない方との接点創出が目的」と説明しました(AdverTimes.)。
自販機向けデザインは6月17日以降、一部自販機で先行発売されました。
研究所メモ: 前回の実績(5,000万本)をはっきり示したうえで、今回は「中身から新開発」という新しさを打ち出した点が丁寧です。パッケージだけを変える施策は一過性で終わりやすいものです。味そのものを変えれば、コラボ終了後もブランドが記憶に残ります。利用が頭打ちぎみの自販機にIPを使う判断も参考になります。狙いは、既存客よりも新しい層との接点づくりです。
日本ケロッグ×プリングルズ — ASMR演出で「Hi!CHEESE!」を五感に訴えた
プリングルズを展開する日本ケロッグは、定番フレーバー「Hi!CHEESE!」を五感で味わう体験型レストランを、表参道で期間限定で開きました。暗闇で咀嚼音のASMRを聴かせる演出や、独自開発の「チーズ砲」による香りの演出を用意し、各グループ4人という少人数制で接客しました。5日間で計1,356人が来場し、うち688人が体験に参加しました。日本ケロッグ スナック本部の大久保怜子氏は「五感全てを刺激する体験型エンタメコンテンツが、ブランドへの好意度や購買意欲に直結する」と語りました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 試食会や展示会とは違い、来場者がSNSで発信したくなる仕掛けを各部屋に用意した点が効果を上げています。複数のキー局の情報番組でも取り上げられ、広告費をかけずに情報が広まりました。単価の低いスナック菓子でも、体験の設計次第で1人あたりの接触時間と発信量を大きく伸ばせることを示す事例です。
渋谷のテーマカフェがキャラクターの誕生日を演出した
miffy café tokyo — 佐藤可士和デザインの店舗でバースデーメニューを提供
「ミッフィーのアートを食と共に感じ、体感できるカフェ」をコンセプトにした「miffy café tokyo」(東京・渋谷の代官山駅ビル1F)が、期間限定のバースデーメニューを提供しました。6月21日のミッフィーの誕生日にあわせたもので、期間は2025年6月19日から7月31日まででした。「バースデーバーガー」「バースデーケーキ」「バースデーカフェラテ」の3品を用意し、購入者には折りたたむとケーキが飛び出す「オリジナルバースデーカード」を贈りました。店舗のロゴやデザインは佐藤可士和が手がけました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 2023年開業の常設カフェが、6週間の期間限定メニューを通じて、キャラクターの誕生日を季節の行事にしています。常設店だからこそ、年に一度の記念日メニューがリピート来店の理由として有効です。ファンビジネスの店舗運営では、通年営業の中に定期的な「小さな祭り」を組み込めるかが、来店頻度を左右します。
アパレルと物販がキャラクターを日常品に落とし込んだ
サマンサタバサ×わんわん物語 — ディズニー映画の名シーンを全6アイテムに
「Samantha Thavasa Petit Choice」が、ディズニー映画『わんわん物語』のトランプとレディを描いた「『わんわん物語』コレクション」を発売すると発表しました。ラインナップは折財布(22,000円)、ショルダーバッグ(20,900円)など全6アイテムです。6月13日に公式オンラインショップで先行予約を始め、6月20日から取扱店舗で販売しました。金具やチェーンのディテールに、作中で2匹がスパゲッティを分け合うシーンをあしらいました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 1955年公開の原作を、現行のバッグブランドの通常ラインの商品にしている点が特徴です。懐かしさを売りにせず、日常使いできる価格帯とデザインに寄せています。そのため、原作を知らない人が財布として選ぶ可能性も残しています。長寿IPをアパレルに使う際、ノスタルジー訴求と実用品としての完成度は両立させる必要があります。
アニメイト×鬼滅の刃 — 店員姿の描き下ろしで約2か月のコラボ
アニメ『鬼滅の刃』とアニメイトのコラボが、2025年7月11日から9月10日まで全国のアニメイトおよびアニメイト通販で開催されると発表しました。描き下ろしイラストでは、竈門炭治郎、竈門禰豆子、我妻善逸、嘴平伊之助、冨岡義勇の5人が店員の衣装を着ていました。アクリルスタンドやキャラバッジコレクションなどのコラボ商品を販売したほか、コラボショッパーやアニメイトアプリの着せ替えも実装されました(超!アニメディア)。
研究所メモ: キャラクターを「店員」に設定し、実際の店舗とグッズの世界観をそろえている点が丁寧です。約2か月の開催期間には劇場版第一章の公開(7月18日)が含まれ、話題を長く保てます。小売店がIPと組む際は、店舗という現実の場をどう物語に組み込むかが重要です。
グッドスマイルカンパニー×初音ミク — カフェ店員姿のキャラクターくじ
グッドスマイルカンパニーは、9月5日より「グッスマくじ 初音ミク 2025 Autumn」を順次発売すると発表しました。描き下ろしのテーマは「カフェの店員さんになったら」で、初音ミクをはじめとするピアプロキャラクターズが登場していました。ねんどろいどやぬいぐるみマスコットなど、全7等級を用意していました。ハズレなしのキャラクターくじで、価格は1回880円(税込)です(インサイド)。
研究所メモ: 「カフェ店員」という設定は、キャラクターの通常の姿とは違う一面を見せる定番の切り口です。等級を細かく分けてハズレなしにすれば、1回だけ引いた人も満足でき、全種類を集めたい気持ちも高まります。低単価のくじ商品でも、設定とラインナップの作り込みで購買の継続率を上げられます。
自治体とVTuberがタレント起用で発信力を広げた
広島県×吉川晃司・奥田民生 — 還暦の同郷ユニットが県産食材をアピール
広島県は、首都圏在住者をターゲットにした観光誘致プロジェクト「OK!!広島(おいしいけぇ、ひろしま)」を始動しました。“応援団長”には、広島県出身で同学年の吉川晃司と奥田民生が結成したユニット「Ooochie Koochie」を起用しました。交通広告や動画、飲食店との連携を通じて、広島の食をアピールしていました。県は6月17日に東京都内で記者発表会を開き、湯﨑英彦知事のビデオメッセージも上映しました。スペシャルムービーは6月17日からYouTubeで3本公開すると発表されました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 2人が2025年に迎える還暦を、キャンペーンの起点にしている点が丁寧です。有名タレントを単に起用するだけで終わらせず、“同郷・同学年・還暦”という本人たちの背景そのものを企画の中心にしています。自治体のPRでタレントを起用する際、経歴や年齢といった本人の事実が、演出よりも説得力を持つことがあります。
日本マクドナルド×赤見かるび — VTuberの食レポキャラクターを動画に起用
日本マクドナルドが6月18日、公式Xアカウントで新商品「ジュラシックワールド バーガーズ」とVTuberの赤見かるびのコラボ動画を投稿しました。動画では、P丸様。のオリジナル楽曲の歌詞を一部変え、サビで「マックやべぇじゃん」というフレーズを使っています。赤見かるびは自身のYouTubeチャンネルで、マクドナルドをはじめ複数のハンバーガーチェーンの新商品を食べ比べる「食レポ」動画を多数公開してきました(Mogura VR)。
研究所メモ: 起用の理由は、本人が普段から発信している「ハンバーガー愛」そのものです。マクドナルドは新しいキャラクターを作らず、ファンの間ですでに知られている発信者の持ち味を、公式アカウントの投稿にそのまま生かしています。VTuberを広告に起用する際は、本人の既存コンテンツと商品の相性を確認するだけで成立する場合があります。
XRとバーチャル技術がファンの購買・観戦体験を広げた
バンダイナムコ×アイドルマスター シンデレラガールズ — シリーズ過去最大規模のXRライブ
「アイドルマスター シンデレラガールズ」シリーズの新イベント「CINDERELLA GIRLS fes. Once Upon a St@rs」が開催されました。会場は幕張メッセで、日程は2025年11月29日・30日でした。公演は、声優が生身で登壇せず、ゲーム内の3DバーチャルアイドルをXR技術で現実の舞台に投影する「XRライブ」形式でした。出演者数は過去最多になると発表されました。全4公演構成で、現地とストリーミングをセットにしたチケットは1公演8,800円(税込)でした(Mogura VR)。
研究所メモ: 声優本人が舞台に立たないからこそ、出演キャラクター数を過去最多まで増やせるのがXRライブの強みです。出演者のスケジュールに縛られないため、興行の規模そのものを大きくできます。ライブ市場が拡大するほど、演者の身体的な制約を技術で外せるかどうかが、興行の上限を左右する要因です。
カバー×ホロライブEnglish — NY公演のチケットは95〜160ドル
英語圏VTuberグループ「ホロライブEnglish」の3回目の全体ライブ『hololive English 3rd Concert -All for One-』が開催されました。会場は米国ニューヨークの「Radio City Music Hall」で、日程は現地時間8月23日・24日でした。会場チケットは95米ドルから160米ドルでした。2025年8月に3Dモデルを初披露する予定の新グループのメンバーも出演しました(Mogura VR)。
研究所メモ: 日本発のVTuberグループが、ニューヨークの著名会場を単独で押さえる規模になりました。配信で増えたファンが、現地でこの価格帯のチケットが売れるだけの需要につながっています。海外展開を考える企業にとっては、まず配信で継続的にファンを増やし、そのうえで現地公演を開く順序が参考になります。
Puma×Meta — WebXRでバスケットシューズを試着できる購買体験
スポーツブランドのPumaがMetaと提携していて、Meta Quest向けのショッピング体験を公開しました。この体験ではWebXR技術を使い、最新バスケットボールシューズ「All Pro Nitro」を実物大で現実空間に表示していました。色やサイズを自由に設定できて、足のサイズを測定して適切なサイズを提案する機能もありました。選んだ色に合うPumaのアパレルを紹介するガイドも用意されていて、そのままPuma公式サイトで購入できました(Mogura VR)。
研究所メモ: 試着という物理的な制約が最も大きい商材であるシューズで、MRによる仮想試着を実装した点が挑戦的です。見るだけでなく、サイズ提案から購入までを一続きにしています。ファン向けグッズのオンライン販売でも、試着・試用できない不便さを技術でどう補うかで、購入率が大きく変わる可能性があります。
マダム・タッソー東京 — VRアトラクション2種を7月に導入
お台場の等身大フィギュア施設「マダム・タッソー東京」が、2025年7月11日にVRアトラクション「スリル・コースター」「シャーク・ダイブ」を導入すると発表しました。前者は360度のバーチャル空間でジェットコースターに乗る体験、後者はカリブ海のバハマ海域を舞台にサメと遭遇する体験です。チケット料金は1回1,500円、2回2,500円で、乗車には身長90cm以上が条件です(PR TIMES)。
研究所メモ: 蝋人形という静止した展示を主力にしてきた施設が、動きのあるVRアトラクションを追加した点が興味深いところです。既存の展示だけでは滞在時間が伸びにくい施設に体験型コンテンツを足し、もう一度来る理由を作っています。展示型施設がファンの滞在時間を延ばす手段として、VRは比較的低コストな追加投資になり得ます。
今週の所感
今週は、「今すぐ行かなくても良い」仕掛けが逆に来場理由を生んだ週でした。
ちいかわパークの抽選制、プリングルズの少人数体験、ムーミン×ニュウマン新宿の7月19日限定グリーティング。いずれも、いつでも参加できる状態をあえて避け、参加できるタイミングを絞っていました。忍たま乱太郎×東武動物公園やアニメイト×鬼滅の刃のように、1〜2か月の開催期間を区切る例も目立ちました。常時開放より、期間と人数を区切ったほうが、1人あたりの参加意欲は高まります。
一方で、XRライブやMRショッピングのように、身体的な制約そのものを技術で外す動きも進んでいます。ホロライブEnglishは、ニューヨークの著名会場を単独で埋められる規模になりました。シンデレラガールズのXRライブは、声優のスケジュールに縛られず、過去最多の出演者数で開催すると発表されました。制約を作る施策と、制約を外す施策が同じ週に並んだことに、この市場の設計の幅広さが表れています。
自社のファンに、どんな制約を課し、どんな制約を外すのか。今週の動きは、推し活マーケティングの設計原則やコラボカフェの作り方とあわせて読むと、その判断の参考になります。
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