Robloxが同時接続3000万人を記録/ポケモンの1泊27万円ステイ【週刊推し活ニュース 2025年6月27日号】

2025年6月20日〜6月26日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週は、バーチャル空間の拡大を、企業がインフラ投資で追いかけた週でした。
Roblox上のゲーム「Grow a Garden」が、最大同時プレイヤー数2,160万人でギネス世界記録に認定されました。Robloxのプラットフォーム全体でも、同時接続が3,000万人を突破していました。同社は24か所のエッジデータセンターと2つのコアデータセンターを運用し、最大2年先までキャパシティを予測する体制に移行していました。この動きと軌を一にするように、電通と電通アニメソリューションズは6月16日、アニメの海外展開を専門とする新ブランド「das」を立ち上げました。事業パートナーのひとつには、Roblox社を挙げていました。
リアルの場でも、企業が推し活の場を用意する動きが続きました。JR東海は「ブルーロック」とのコラボで、東海道新幹線の車内限定でボイスドラマを聴ける企画を用意しました。グランドハイアット東京は「ポケモン」とのコラボで、1泊27万円のスイートステイを1日1室限定で提供していました。ユニクロが発売した「ちいかわ」×ナガノのくまのUTは、キッズ向けが1点990円という手に取りやすい価格帯でした。
VTuber領域では、ココナラがVTuber関連取引の流通高について、5年で4.2倍に伸びたと発表しました。カバー株式会社は複数拠点をまとめた新物流センターの運用を始めました。REALITYは累計ダウンロード数2,000万を突破していました。
Robloxの同時接続3000万人が、広告業界を巻き込んだ
Roblox×「Grow a Garden」— 同時接続3,000万人を支えるインフラの舞台裏
Roblox上のゲーム「Grow a Garden」が、同時プレイヤー数2,160万人でギネス世界記録「最も同時にプレイされたビデオゲーム」に認定されました。Robloxのプラットフォーム自体も、同時接続3,000万人を超える新記録を打ち立てました。同社は世界24か所のエッジデータセンターと2つのコアデータセンターを運用し、レイテンシを最小化する仕組みを作っていました。以前は1〜2年先のキャパシティを年1回のペースで計画していましたが、現在は最大2年先まで予測する手法に移行しました。マッチメイキングはピーク時に毎秒40億通りの組み合わせに対応し、テキストフィルターは毎秒25万リクエストを処理していました。本番環境では、300以上のAI推論パイプラインが稼働していました(インサイド)。
研究所メモ: Robloxは3,000万人の同時接続に、利用者を待たせたり制限したりせず、システムの再設計で対応しました。ファンが殺到する瞬間に上限を設けず、殺到そのものを前提にインフラを組む発想は、キャンペーンやライブ配信で急激なアクセス増を抱える企業にも参考になります。推し活の市場規模が拡大するほど、この種の備えが問われます。
電通グループ「das」— Robloxとのネットワークを軸にアニメの海外展開へ
電通と電通アニメソリューションズは6月16日、日本のアニメコンテンツの海外展開を支援する新ブランド「dentsu anime solutions(das)」を立ち上げました。北米・中国・東南アジアを中心に、アニメを軸としたグローバルなマーケティングソリューションを提供する方針を示しました。両社は、これまで築いてきたクライアントとの関係に加え、事業パートナーとのネットワークも活用するとしていました。パートナーには、没入型ソーシャルプラットフォームを運営するRoblox社などが含まれていました。日本のアニメ関連市場は2023年に国内外合わせて3兆円を超え、過去最高額を記録しました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 電通がパートナーとして名指ししたのがRobloxだった点は見過ごせません。電通は、ファンが集まる場所そのものを海外展開の営業資産として扱っています。自社のファンコミュニティがどのプラットフォームに多く集まっているかを把握しておくことが、海外展開を検討する企業にとって最初の確認項目になりそうです。
IPを生かすビジネスの裏側で、データと物流基盤が広がった
スパイスマート調査 — シリーズ展開した33タイトルのうち21タイトルが5年以内に後続作を配信
スパイスマートは、アプリゲームのシリーズ展開傾向を調査した結果を公開しました。シリーズ展開が確認できた全33タイトルのうち、約70%にあたる23タイトルが「同規模以上の続編」または「別ジャンル作品」として展開していました。全体の約66%にあたる21タイトルは、配信開始から5年以内に1作目の後続作品をリリースしていました。リリース時期では4〜5年目が最多でした。2016年配信の「シャドウバース」の後継作「Shadowverse: Worlds Beyond」は、2025年6月の配信開始と同時にセールス・フリー両ランキングで1位を記録しました(インサイド)。
研究所メモ: 4〜5年目という数字は、ファンの盛り上がりが一度落ち着いたころに次の展開を準備する目安として読めます。惜しまれながら終わる前に続編を出すのではなく、需要が緩やかになる時期を見越して仕込む。IPを長期で運用する企業にとって、この期間設定は投資判断の参考になります。
ココナラ、カバー株式会社、REALITY — VTuber経済圏の拡大を、データと基盤が裏付けた
ココナラは、VTuber関連サービスの取引状況を調査したトレンドレポートを公開しました。2025年4月時点の取引件数・購入ユーザー数は2020年4月比で約2.1倍、流通高は約4.2倍に拡大していました。自治体のプロモーションや教育現場での活用も広がっているとしました(Mogura VR)。ホロライブプロダクションを運営するカバー株式会社は6月23日、複数拠点をひとつにまとめた新物流センターの運用を始めました。同社はトランスコスモス株式会社の協力を得て、ロボットで出荷作業の効率化とリードタイムの改善を目指していました(Mogura VR)。スマートフォン向けメタバース「REALITY」は、累計ダウンロード数が世界で2,000万を突破したと発表しました。海外ユーザー比率は70%で、22〜29歳が全体の38%を占めていました(Mogura VR)。
研究所メモ: データの伸び、物流の再編、ダウンロード数の更新が同じ週にそろったのは偶然ではありません。VTuber関連ビジネスが、話題性で語る段階から、取引量や配送効率といった経営指標で語る段階に移っています。ファンビジネスの担当者だけでなく、物流・データ分析の部門も巻き込む必要が出てきています。
食品メーカーが、ファンの熱量とバーチャルタレントを結びつけた
ミツカン×超特急×「Fibee」— 目標「8888リポスト」でファンのUGCを引き出す
ミツカンは6月24日、発酵性食物繊維ブランド「Fibee」と男性アイドルグループ「超特急」のコラボレーションを開始しました。コラボには、腸内細菌をモチーフにしたキャラクター「Fibees」を擬人化した「腸特急」が登場します。公式Xのキャンペーン投稿が8,888リポストを達成すると、超特急の楽曲をアレンジした特別バージョンのミュージックビデオが公開されました。目標数の8,888は、超特急のファンの総称「8号車」にちなんで設定されました。「Fibee」は2024年のテスト販売段階で、小売店・ECモールの販売金額が計画比約140%(出荷ベース)を記録していました(AdverTimes.)。
研究所メモ: ミツカンはリポスト数の目標を設定し、目標に届くまでファンが自発的に拡散する仕組みを作りました。ファンの行動そのものを、コンテンツ公開までの過程に組み込んでいます。企業が一方的に配信する形とは異なります。UGCの発信が盛んなファン層を持つIPほど、この形式は効きやすいはずです。
ロッテ「クーリッシュ」×ゴー☆ジャス — お笑い芸人がVTuber化して商品を売り込む
ロッテは6月24日、飲むアイス「クーリッシュ」の新しいWeb動画を公開しました。動画では、お笑い芸人のゴー☆ジャスさんが3DCGのVTuber「クー☆リッシュ」に変身し、自身の定番ネタをアレンジしたセリフを披露します。モーションキャプチャ撮影には32台のカメラと77個のマーカーを使用しました。ゴー☆ジャスさんは「芸歴25周年を超えて、もうVの世界に移行した方がいいのかなって自分でも思っていまして」と語りました(Mogura VR)。
研究所メモ: 芸人本人のネタをVTuberの姿に載せ替える発想は、キャラクターを新規に作るより低コストで、既存のファンをそのまま連れてこられます。すでに固定ファンを持つ人物をバーチャル化する手法は、ゼロからキャラクターを立ち上げるより着地が早いという点で、コラボ設計の選択肢のひとつになります。
鉄道とホテルが、企業の推し活の受け皿になっていった
JR東海×「ブルーロック」— 新幹線車内を「推し旅」の舞台にする
TVアニメ「ブルーロック」とJR東海の「推し旅」によるコラボイベントが開催されました。期間は2025年7月2日から8月17日で、会場は東海道新幹線の車内と大阪市内の各施設です。新幹線車内限定でキャラクターのオリジナルボイスドラマを聴くことができ、聴くと1日1枚「オリジナルスマホ壁紙」がもらえました。新幹線乗車と大阪市内5か所の計6か所を巡るデジタルスタンプラリーも行われ、全スタンプをコンプリートするとキャストサイン入りポスターの抽選に応募できました。「ブルーロック」は全世界累計の単行本発行部数が4,000万部を突破していた人気作でした(超!アニメディア)。
研究所メモ: 移動そのものを推し活のコンテンツに変えている点が独自です。移動中の新幹線内で完結する体験を用意し、遠征のあいだの時間も推し活に使えるようにしています。移動時間が長い交通・観光事業者にとって、応用しやすい設計だと思います。
ホテルニューオータニ×「名探偵コナン」— 全国4ホテルのコラボビュッフェ
アニメ「名探偵コナン」とホテルニューオータニによるコラボビュッフェ「SUPER SWEETS BUFFET」が、2025年8月から順次開催されました。会場は東京・幕張・大阪・鳥取の全国4ホテルです。料理は江戸川コナンや毛利蘭、安室透らをイメージしたケーキやサンドウィッチ、カレーなどでした。来場者にはランチョンマットなどのノベルティも用意されました。料金は東京会場の場合、平日が大人9,000円、土日祝が10,500円でした。予約受付は7月1日からと発表されました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 全国4ホテルで順次展開しており、料金も会場ごとに変えている点に注目しました。首都圏だけでなく鳥取まで含めた展開からは、地方のファンにも同じ体験を用意する意図が読み取れます。全国チェーンのホテル・飲食業にとって、拠点数の多さそのものがファンビジネスの強みになる好例です。
グランドハイアット東京×「ポケモン」— 1泊27万円のスイートステイ
「ポケモンコラボレーションサマー2025」が、グランドハイアット東京にて6月20日から8月31日まで開催されていました。プランは1日10室限定のスタンダードルームと、1日1室限定のスイートルームの2つです。どちらの部屋も、ポケモンのオリジナルデザインで装飾されていました。宿泊者にはラプラスやピカチュウのぬいぐるみ、アメニティグッズが贈られました。料金は1室2名利用でスタンダードが66,000円から、スイートが270,000円からでした(インサイド)。
研究所メモ: 1日1室という限定性があるから、27万円という価格でも商品として成り立っています。数を絞って体験の密度を保ち、価格への納得感を生んでいます。ホテル業界でこの「1日1室」という型が、ひとつのフォーマットとして定着しつつあるように見えます。
異業種と老舗が、キャラクターで新しい客層に会いにいった
永賢組×ano — 建設業が重機と土地をアーティストのMVに提供
建築・土木・不動産業を手がける永賢組(愛知県春日井市)は、アーティストの表現活動を支援するファンド「NAGAKEN EXTREME FUND」を創設しました。ファンドの特徴は、重機の貸し出しだけでなく、建築物の解体や岩盤の爆破といった演出もできた点でした。第1弾としてアーティスト「ano」とコラボし、高所作業車を使ったMV「Past die Future」を6月18日に公開しました。同曲は6月4日発売の「ano」セカンドアルバム「BONE BORN BOMB」に再録された楽曲です(AdverTimes.)。
研究所メモ: 建設業界の日常の作業も、エンタメの現場では非日常の演出です。この点に気づいた企業は、業界の外でも知名度を高める手段を得られます。自社の設備や技術を「見せ方を変えれば何になるか」という視点で見直す方法は、業種を問わず応用できます。
ジャパネットたかた×「鬼滅の刃」— 通販の顔がテーマソングをカバー
劇場用最新作の公開を前に、「鬼滅の刃」と通販大手「ジャパネットたかた」の一夜限りのコラボが発表されました。長崎県佐世保市の同社本社スタジオで収録され、竈門炭治郎役の声優・花江夏樹さんが「ジャパネットたかた」のテーマソングをカバーして番組内で披露しました。番組「ジャパネットきめつ」は6月29日21時30分からTOKYO MXで放送されました。7月18日公開の劇場グッズを紹介する内容でした(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 通販番組という型を変えずに、中身だけアニメに置き換えたのが巧みなところです。視聴者にとって馴染みのあるフォーマットだからこそ、違和感なくコラボを受け止められます。企業の看板コンテンツの形式をそのまま貸し出す発想は、他業種との協業でも応用できます。
MLBの「ご当地マンホール」— 大谷翔平選手ら12選手を故郷の街に刻む
メジャーリーグベースボール(MLB)は、リーグで活躍する日本人選手12人を讃えるオリジナルデザインのマンホールカバーを制作しました。マンホールカバーは、各選手の出身地や通っていた学校など、キャリアに関わる場所に設置されました。設置は6月16日、大谷翔平選手(奥州市)ら岩手県出身の3選手のマンホールから始まりました。12種類はそれぞれ異なるアーティストがデザインしていました(AdverTimes.)。
研究所メモ: マンホールという生活のなかの構造物を、ファンが訪れる観光資源に変えた例です。特別な施設を新設しなくても、すでにある街の設備にデザインを施すだけで聖地が生まれます。地域振興を検討する自治体・企業にとって、初期投資を抑えたファン誘致の方法として参考になります。
アパレルと雑貨が、即完売から次の一手を仕込んだ
ユニクロ×「ちいかわ」×ナガノのくま — UTコレクションを発売
ユニクロは6月23日、「ちいかわ×ナガノのくま」のUTコレクションを発売しました。デザインには、イラストレーター・ナガノ氏が手がける「ちいかわ」と「ナガノのくま」のキャラクターが集合していました。ラインナップはレディース向け4種・キッズ向け4種の全8種です。価格はレディース向けが各1,500円、キッズ向けが各990円(いずれも税込)です(インサイド)。
研究所メモ: 990円というキッズ向けの価格は、子ども自身のお小遣いでも手が届く水準です。大人向けと子ども向けで価格帯を分けることで、子どもも自分で買うかどうかを決められます。ファミリー層を持つIPにとって、価格設計そのものが顧客層の広さを左右します。
サンリオ×「ちいかわ」— 即完売アイテムの受注販売を発表
サンリオは、6月13日に発売され即完売となった「ちいかわ×サンリオキャラクターズ」シリーズについて、受注生産販売の実施を発表しました。受注期間は7月10日から7月18日まででした。販売はサンリオオンラインショップ本店のみでした。ぬいぐるみやマスコットホルダー、ポシェットなど全21アイテムが対象でした。ぬいぐるみは各3,696円でした(インサイド、サンスポ、オトナンサー)。
研究所メモ: 即完売という結果を、追加販売の告知だけで終わらせず、受注生産という形で機会損失を回収している点が堅実です。人気商品ほど、初回完売後の「次の一手」を事前に用意しておく価値があります。
大型ゲームイベントが、協賛撤退と観戦需要の明暗を見せた
ahamo — 「にじさんじ甲子園2025」協賛を直前に取りやめ
NTTドコモが提供する「ahamo」は6月24日、公式Xで「にじさんじ甲子園2025」への協賛を中止すると発表しました。「ANYCOLOR社と慎重に協議を重ねてまいりましたが、諸事情により、やむを得ず中止とさせていただく」としており、6月25日から予定していたコラボキャンペーンも中止となりました。ahamoは前年開催の「にじさんじ甲子園2024」にも協賛し、壁紙セットが当たるキャンペーンを実施していました(KAI-YOU)。
研究所メモ: 開催まで1か月というタイミングで撤退が発表されたことから、スポンサー企業の判断は直前まで変わりうると分かります。協賛を前提にキャンペーンや商品展開を組んでいたパートナー企業にとって、代替プランをどれだけ早く用意できるかが問われる場面です。
「にじさんじ甲子園2025」— 六本木でのライブビューイングは予定通り開催
VTuberグループ「にじさんじ」のゲームイベント「にじさんじ甲子園2025」で、ライブビューイングが開催されました。会場は六本木一丁目の泉ガーデンギャラリーで、7月25日から27日の本戦にあわせて開かれました。座席は各日700席の全席自由席で、チケットは税込3,850円でした。販売はコナミデジタルエンタテインメント運営の「コナミスタイル」で、6月27日午前10時に始まりました(Mogura VR)。
研究所メモ: 協賛企業が撤退しても、ファンが会場に集まる仕組みそのものは変わっていません。企業からの協賛と、ファンからのチケット収入は別の収益源だと改めて示した形です。イベントを設計する際は、協賛収入とファン課金のどちらか一方に依存しない構成が、こうした急な撤退への備えになります。
今週の所感
今週は、ファンが集まる規模を、企業がインフラや物流の投資で追いかけた週でした。
Robloxは同時接続3,000万人を支えるために、データセンターとキャパシティ計画を刷新しました。電通グループは、そのRobloxを海外展開のパートナーに位置づけています。ココナラのデータもカバー株式会社の物流再編も、方向は同じです。VTuber・バーチャル領域は、話題性よりも取引量や配送効率という経営指標で語られる段階に入っています。
一方で、リアルの現場では「限定性」を強みにする動きが目立ちました。グランドハイアット東京の1日1室、サンリオの受注生産、JR東海が新幹線車内という限られた空間で完結させたボイスドラマ。数や場所を絞ることで、価格や希少性への納得感を作る手法は、業種を問わず共通していました。
そしてahamoの協賛撤退で、協賛収入に頼りきらない設計の必要性が明らかになりました。にじさんじ甲子園のライブビューイングが予定通り進んだように、ファンからの直接収益を持つイベントは、企業の事情に左右されにくいのが強みです。自社のファン接点がどこにあるかは、推し活マーケティングの設計原則や企業コラボの作り方とあわせて見直せます。
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