神戸製鋼が120周年アニメを自主制作/鬼滅の刃×ファミマが240万個突破【週刊推し活ニュース 2025年8月1日号】

2025年7月25日〜7月31日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週のキーワードは周年を企業自身のコンテンツで祝うでした。
神戸製鋼所は2025年9月1日の創業120周年に向け、オリジナルアニメ『あしたのありか』を自主制作しました。脚本は2026年NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の八津弘幸氏、キャラクターデザインは『となりのトトロ』の佐藤好春氏が手掛けました。声はイメージキャラクターの奈緒が担当しました。同じ週に、不二家はマスコット「ペコちゃん」の75周年をポップアップで祝いました。サンシャインシティプリンスホテルは、開業45周年の記念にコラボ企画を打ち出しました。
数字の面でも動きがありました。ファミリーマートと『鬼滅の刃』のコラボ商品は、開始2週間で累計販売数240万個を突破しました。サンリオはXR企業Gugenkaを子会社化し、グローバルIPプラットフォーム戦略を加速させていました。ゲーム企業では、スパイク・チュンソフトがキャラクター宛プレゼントの受け付け終了を発表しました。ファンの気持ちを受け取る方法を作り直す動きでした。
老舗企業が、120周年をアニメと広告で自ら祝った
神戸製鋼 — 大河ドラマ脚本家とトトロ作画監督が挑む120周年アニメ
神戸製鋼所(KOBELCO)は、2025年9月1日に創業120周年を迎えました。同社はオリジナルアニメーション『あしたのありか -KOBELCO120周年記念アニメーション-』を制作し、9月2日に特設サイトで公開しました。主人公はKOBELCOで働く「明日実」でした。脚本は、2026年NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』や『半沢直樹』を手掛けた八津弘幸氏が務めます。総作画監督・キャラクターデザインは『となりのトトロ』の佐藤好春氏、声はイメージキャラクターの奈緒が担当しました。同社は、総合職新入社員の投票結果も踏まえてタイトルを決めました(AdverTimes.)。
同社は周年プロジェクトとして、高校ラグビーへの協賛や神戸市の登山プロジェクトへの賛同なども並行して進めていました。
研究所メモ: 神戸製鋼所は、120年分の社史を外部の著名クリエイターに物語にしてもらいました。周年施策は社史冊子や式典で終わりがちです。社員が主人公のアニメにすることで、社内の誇りと愛着という形のない目的を、社外の人にも見える形にしています。新入社員の投票をタイトルに反映させた点も、社員の当事者意識を高める方法として参考になります。
集英社と電通が、環状8号線をOOHで「怪獣」化させた
「少年ジャンプ+」で連載された『怪獣8号』は、2025年7月18日に最終回を迎えました。集英社と電通は、翌19日からのアニメ第2期の放送開始と8月末リリース予定のゲームの告知を兼ねて、東京・環状8号線沿いにOOH広告を展開しました。「怪獣来ル」をキーワードに、大田区や世田谷区など6区にまたがる23か所に、建物が破壊されたかのようなデザインの看板を掲出しました。周辺の8駅にもポスター広告を出し、X上では現実世界に怪獣が出現したかのような動画5本も公開しました。クリエイティブディレクターを務めた電通の花田礼氏は「実際に怪獣が現れる世界線を表現した」と企画意図を語りました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 看板の色味を実際の建物に合わせ、破壊の痕跡まで本物らしく作った点が、話題になるきっかけでした。SNSには「散歩中に見つけた」という反応がありました。広告だと気づかせない作り込みが、発見と拡散につながっています。コンテンツの世界観を現実の街に染み出させる手法は、ジャンルを問わず応用できる余地があります。
コンビニと菓子店が、周年とコラボで数字を伸ばした
ファミリーマート×鬼滅の刃 — コラボ開始2週間で240万個突破
全国のファミリーマート約16,300店舗で、コラボ企画「ファミマで炭治郎たちとひと休み」が開催されていました。『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の公開を記念した企画でした。コラボ商品の累計販売数は、2025年7月15日の開始から2週間で240万個に達しました。商品は「炭治郎&義勇 二人の絆おむすび」や「胡蝶しのぶの藤色メロンパン」など、スイーツ・パン・チルド飲料の全9種でした。対象商品を買うとufotable描き下ろしの限定グッズが当たる企画も実施していました(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 2週間で240万個という販売数は、全国16,300店舗に商品を届けられる配荷力の広さによるものです。ポップアップやイベントは、行ける人が限られます。一方でコンビニコラボは、近所で買えることが最大の強みです。ファンの母数が大きいIPほど、体験型の限定施策と並行して、日常の買い物の場にどれだけ商品を置けるかが販売数を左右します。
不二家 — ペコちゃん75周年、創業の地・横浜でポップアップ
不二家は、マスコットキャラクター「ペコちゃん」が2025年で誕生75周年を迎えるのを記念し、「不二家ペコちゃんPOPUP」を開催しました。会期は7月30日から8月5日まで、会場は横浜高島屋です。不二家は1910年に横浜・元町の洋菓子店として創業し、ペコちゃんはその40年後の1950年に誕生しました。先行発売の「横浜元町×ペコちゃんオリジナルバターサンド」や、75周年ロゴ入りの限定商品を毎日75袋限定で販売する「PEKO 75th Happy Bag」などを展開していました(アニメ!アニメ!、横浜で暮らそう、AppBank、キャララボ)。
研究所メモ: 不二家は75周年の企画として、記念商品の全国販売に加え、創業の地である横浜で期間限定ポップアップを開きました。ブランドの発祥地に人を集める設計は、周年施策を値引きや増産だけで終わらせない方法です。地域に根差した創業ストーリーを持つ企業ほど、発祥地で周年を祝うこの方法を使えます。
ビーレジェンド×呪術廻戦 — 微炭酸プロテインで“呪力”を体感
プロテインブランド「ビーレジェンド」が、TVアニメ『呪術廻戦』とのコラボプロテイン第2弾を発表しました。主人公・虎杖悠仁の“呪力”をイメージした「呪力ソーダ風味」と、必殺技“黒閃”をイメージした「黒閃コーラ風味」の2種でした。2025年8月1日12時から、各5,000袋の数量限定で発売しました。販売先はビーレジェンド公式オンラインストア、Amazon、楽天、一部店舗を除くドン・キホーテです。価格は900g・約30食分で税込3,980円です(アニメ!アニメ!、電撃オンライン)。
研究所メモ: ビーレジェンドが、プロテインという実用品の風味でキャラクターの必殺技という物語の一場面を表現した点は独自です。日用品カテゴリーのコラボは、パッケージを変えるだけになりがちです。味という体験そのものにIPの設定を反映させると、ファンは飲むたびにブランドと接することになります。
アパレルがIPコラボで「着る推し活」の入口を広げた
ユニクロUT — ポケモンカードとアプリ「ポケポケ」に初コラボ
『ポケモンカードゲーム』と、そのアプリ版『Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)』が、ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」と初コラボしました。ピカチュウが23枚集合したアートデザインや、拡張パックの主役「メガサーナイトex」デザインなどをメンズ・キッズ向けに展開しました。発売日は2025年8月11日でした。ユニクロ全店とオンラインストアで扱いました。価格はメンズTシャツが各1,500円、キッズTシャツが各990円(税込)でした。発売を記念し、店舗限定で特製プレイマット仕様の「UTmagazine」特別号も配布予定と発表されました(クランクイン!)。
研究所メモ: カードゲームとアプリという2つの異なる接点を持つIPを、ひとつのUTコレクションにまとめた設計です。アプリ利用者とカードゲーム利用者は、一部が重なり、一部が異なります。そのため両方のデザインを揃え、どちらの利用者も選べるようにしています。複数の接点を持つIPと組む際は、どの層に向けたデザインかを分ける発想が参考になります。
グラニフ×ゴジラ — 平成・VSシリーズを一着に凝縮
アパレルブランド「グラニフ」が、『ゴジラ』とのコラボアパレルコレクションを8月12日に発売しました。商品は、「ゴジラ(1984年)」から「ゴジラVSデストロイア」までの平成・VSシリーズをモチーフにしていました。ビオランテやキングギドラなどライバル怪獣も含め、Tシャツやセットアップなど全13アイテムがありました。価格は1,200円のソックスから7,900円のセットアップまででした。公式オンラインストアでは、8月11日23時59分まで予約を受け付けていました(インサイド)。
研究所メモ: グラニフは、単体の怪獣ではなく「平成・VSシリーズ」という一時代をまとめて商品化しました。この点が単発コラボとの違いです。長期シリーズを特定の時代でまとめると、その時代を追っていた世代に狙って届けられます。IPの歴史が長い企業ほど、特定の時代を取り上げる企画は繰り返し使える方法です。
ホテルと入浴施設が、非日常な空間をIPに明け渡した
サンシャインシティプリンスホテル×エヴァ — 開業45周年で1フロア丸ごと
東京・池袋のサンシャインシティプリンスホテルが、開業45周年特別企画「45の体験できること」の一環として『エヴァンゲリオン』とのコラボイベントを開催しました。ホテルは、1フロア20部屋と4つの共有スペースからなるコンセプトフロア「IKEPRI25」をエヴァ仕様にしました。渚カヲルがホテルコンシェルジュ姿になったビジュアルや、「鈴原家」「北の湖の廃墟」から選べるコンセプトルームステイプランも用意しました。料金は1名23,000円から(ツインルームBタイプ1室2名利用時)で、期間は8月30日から11月29日まででした(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: ホテルは周年企画とIPコラボを重ね、単発イベントで終わらせずに、フロアという恒常的な資産として活用しています。客室だけでなく共有ラウンジも含めてテーマを統一すると、フロア全体で作品の世界観を体験できます。周年とIPコラボの時期を合わせるだけで、双方の話題性を足し合わせられる好例です。
極楽湯×鬼滅の刃 — 第4弾は夜限定“鬼”メニューまで
スーパー銭湯チェーン「極楽湯」が、『鬼滅の刃』とのコラボ第4弾「ととのえ!みんなで極楽な休日」を8月18日から9月9日まで開催すると発表しました。ufotable描き下ろしイラストのグッズやコラボメニューに加え、5種類のコラボ風呂、17時から提供された“鬼”モチーフの夜限定メニューも用意していました。入館時の限定セット購入者にはマフラータオルが1つランダムで付きました。X投稿キャンペーンも実施しました(インサイド)。
研究所メモ: 極楽湯のコラボは第4弾まで続いています。この実績から、入浴施設は長時間・低頻度の消費行動を、コラボによって短期・高頻度の来店動機に変えられる業態だと分かります。夜限定メニューで時間帯を分けると、施設の稼働率が下がりやすい時間帯に客を呼ぶ効果もあります。設備投資を伴う施策ほど、継続シリーズ化でコストを回収する発想が必要です。
ゲーム企業が、ファンとの受け取り方を組み替えた
スパイク・チュンソフト — キャラ宛プレゼント受付を終了、新しい形を模索
スパイク・チュンソフトが、同社のゲームタイトルおよびキャラクター宛に贈られるプレゼントについて、2025年8月以降受け取りを終了すると発表しました。公式X・公式サイトで「長きにわたっていただいた皆さまからの気持ちのこもったプレゼントには、スタッフ一同深く感謝しております」とした上で、「今後は、タイトル及びキャラクターに対する皆さまの“推し”の気持ちを、別の形で受け取らせていただく仕組みを考えてまいります」とコメントしました。なお手紙は、返信対応はしないものの、引き続き受け付けるとしていました(インサイド)。
研究所メモ: 同社は物品の受け取りを止める一方で、手紙の受け付けは続け、新しい仕組みを検討中だと明言しました。ファンからの贈り物は感謝を伝える手段ですが、企業には保管や管理の負担も生じます。それでも受け取りをゼロにせず、別の形で気持ちを受け取ると約束したことで、ファンとの関係を保ったまま運用コストだけを見直せています。
カプコン×横須賀市 — 20万円のスカジャンとメタバースの二正面の作戦
カプコンは、『モンスターハンターワイルズ』と横須賀市のコラボを発表しました。現実世界向けには、スカジャン(税込202,400円)とプリントTシャツ(税込11,000円)の受注を7月25日に始めました。同時に、横須賀市がVRChat上で展開する「メタバースヨコスカ」でもコラボを実施しました。「DOBUITA & MIKASA WORLD」など2つのワールドには、モンスターのアートパネルを設置していました。3種類の3Dスカジャンや無料アクセサリーは、配布サイト「BOOTH」で配布していました。メタバースヨコスカの累計訪問者数は20万人を超えていました。3Dスカジャンの累計ダウンロード数は5万件に達していました(インサイド、Mogura VR、PR TIMES)。
研究所メモ: このコラボは、20万円の実物と無料の3Dモデルを同時に用意しています。高単価商品でブランドの本気度を示しながら、無料のバーチャルアイテムで参加のハードルを下げています。実物とメタバースで役割を分けることで、使える金額が異なるファン層の両方を呼び込んでいます。自治体が観光PRの手段としてメタバースを継続運用している実例としても参考になります。
企業がIPとVTuber領域に、資本と新規事業で踏み出した
サンリオ — XR企業Gugenkaを子会社化
サンリオが2025年7月28日付で、XR・メタバース領域を専門とする株式会社Gugenkaを子会社化しました。Gugenkaは新潟市に本社を置く2005年設立の企業です。アニメ作品などを活用したデジタルグッズの企画・制作・販売を得意とし、サンリオ主催のバーチャルイベント「Sanrio Virtual Festival」の制作も担当してきました。従業員数は2024年12月時点で81名でした。子会社化後も三上昌史CEOを中心とした経営体制は維持され、他社IPとの連携や既存事業も継続されました。サンリオは「世界的なIPを展開する企業」を長期ビジョンに掲げ、今回の子会社化をその接点への投資と位置づけていました(Mogura VR)。
研究所メモ: サンリオは自社でXR技術を育てず、すでに実績のある制作会社をグループに加えました。バーチャルイベントは専門性が高く、社内育成には時間がかかります。サンリオは子会社化によって、制作能力と、Gugenkaが培ってきた他IPとのネットワークを同時に手に入れました。デジタル領域への参入速度を優先した投資です。
バーチャル・エイベックス — バーチャルアイドルフェス、10回目の開催へ
バーチャル・エイベックス株式会社が、バーチャルアイドルフェス「Life Like a Live!10〜ハイテンションハロウィン〜」を10月10日から12日までオンラインで開催しました。このフェスは2020年の初開催から累計20万人以上を動員しており、今回で10回目でした。総合プロデューサーのUMAFF氏は、「オンラインでもリアルなフェスに来たような感覚を味わえるライヴを開催したい」という想いでスタートしたと振り返っています。また、事務所の枠を越えたバーチャルアイドルたちの共演が続いていることも紹介されました(Mogura VR)。
研究所メモ: 2020年のコロナ禍に始まった企画を、5年かけて10回まで続けてきた成果が、動員数に表れています。単発の話題作りで終わらせず、事務所を横断した共演の仕組みを毎回用意し続けたことが、累計20万人という動員につながりました。バーチャル領域のイベントでは、単発の派手さより、回を重ねる設計があるかどうかで動員の伸び方が変わります。
ゲシピ「eスポーツ英会話」— 30万回受講、学童・専門学校にも拡大
ゲシピが運営するオンライン英語学習サービス「eスポーツ英会話」の累計受講回数が30万回を突破しました。このサービスでは、『Minecraft』や『Fortnite』などのゲーム内でボイスチャットを通じて英語を学んでいました。受講回数は2024年10月に20万回を突破し、そこからわずか8か月で30万回に達しました。個人受講が中心だった利用者層は、学童施設や専門学校、地域クラブ、自治体などにも広がっていました。同社は、これまでに英検合格者を127名以上輩出しており、2次対策レッスン受講者の合格率は95%だとしていました(インサイド)。
研究所メモ: このサービスが伸びた理由は、ゲームというファン活動の時間を、そのまま学習時間に使える点にあります。20万回から30万回までの期間は、20万回に達するまでの期間より短くなっています。この成長ペースは、個人利用に加えて教育機関への導入という新しい販路が効いていることを示しています。ゲームIP企業にとって、教育分野との連携は、作品が遊び尽くされた後もファンとの関係を続けられる数少ない方法です。
今週の所感
今週は、企業が自社の周年を自分たちの手でコンテンツにする動きが目立ちました。神戸製鋼所は、大河ドラマの脚本家とジブリの作画監督を招いて120周年アニメを一から作りました。不二家は、ペコちゃん75周年の企画の一つとして、創業の地・横浜でポップアップを開きました。サンシャインシティプリンスホテルは、開業45周年特別企画の一環として、8月30日からコンセプトフロア「IKEPRI25」でエヴァンゲリオンとのコラボを開催する予定だと発表しました。周年という一過性のタイミングを、資産として使い切る動きが重なっています。
一方で、成果が数字で示された週でもありました。ファミリーマート×鬼滅の刃は2週間で240万個、メタバースヨコスカは累計20万人、eスポーツ英会話は30万回の受講を記録していました。いずれの数字も、一度の話題ではなく、店舗網や継続運用の積み重ねから生まれています。サンリオのGugenka子会社化も、単発のコラボではなく、今後何年も使い続ける技術と人材への投資でした。
スパイク・チュンソフトがキャラクター宛のプレゼント受付を終えた判断も、同じ文脈で読めます。同社はファンとの接点を減らすのではなく、続けられる形に組み替えようとしています。企業コラボの設計原則や推し活の市場規模とあわせて、今週の動きを確認してください。
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