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カバー売上346億円/BOOTHの​3Dモデルが​100億円突破​【週刊推し活ニュース 2026年2月13日号】

2026年2月6日〜2月12日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。

今週のハイライト

今週のキーワードはファンビジネスの数字が、決算と市場統計で見えるようになったことでした。

カバーの2026年3月期第3四半期累計売上高は、346億8,100万円(前年同期比20.2%増)でした。マーチャンダイジングは183億1,700万円と28.5%伸びた一方、営業利益は5.7%減りました。カバーが成長投資の局面にあることが、数字に表れていました。ピクシブのBOOTHは、3Dモデルカテゴリの年間取扱高が前年比約179%(約79%増)の104億円となり、初めて100億円を超えました。2019年の3.1億円から、6年で30倍以上に増えています。

供給側の失敗を公表した企業もあります。ワークマンは、リカバリーウェア「メディヒール」の品薄対策について「失敗に終わった」と自ら発表しました。

決算と市場統計で、ファンビジネスの規模が見えてきた

カバー — 売上346億円、営業利益は5.7%減の投資局面

カバーの2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月累計)は、売上高346億8,100万円で前年同期比20.2%増、純利益39億2,700万円で4.0%増となりました。一方、営業利益は52億2,500万円で5.7%減です。分野別ではマーチャンダイジングが183億1,700万円(28.5%増)、ライセンスが50億400万円(23.3%増)、配信・コンテンツが69億7,900万円、ライブが43億8,000万円(14.6%増)です。カウントダウンライブの最大同時接続数は23万を超えました。同社は中期目標として、2030年3月期に売上高1,000億円を掲げていました(Mogura VR)。

同社は当時を「将来の成長に向けた事業構造強化期間」と位置づけており、オーディション継続、海外収益基盤の確立、物流効率化、経営構造改革に取り組むとしていました。

研究所メモ: カバーは増収なのに、営業利益は減りました。いまは利益を削ってでも先行投資する段階だという判断の表れです。物流効率化を課題に挙げている点も重要です。前号までに見たとおり、ファンビジネスでは供給体制が売上の上限を決めます。ファンの需要があっても、商品を届けられなければ機会損失になります。この構造は業種を問いません。

BOOTH — 3Dモデルが年間104億円、6年で30倍以上に

ピクシブがBOOTHの3Dモデルカテゴリに関する白書を公開しました。2025年の年間取扱高は前年比約179%(約79%増)の104億円で、初めて100億円を突破しました。2019年時点の3.1億円から、6年で30倍以上に拡大していました。注文件数は約774万件、注文者数は28.1万人、1ユーザーあたりの平均注文数は27.4件で前年から大幅に増えました。価格帯別の注文件数では5,000円〜6,999円が最多です(メタカル最前線)。

10万円以上を支出するコア層に加え、5万円未満のライト層も大幅に増えました。モデルを買った人が衣装などの関連商品を継続購入する傾向が強まっていました。

研究所メモ: 平均27.4件という数字から、この市場の性格が分かります。購入者は1つ買って終わりにせず、アバターの着せ替えを重ね続けています。価格帯別の注文件数で5,000〜6,999円が最多というのも、痛バッグなどのリアルグッズと近い水準です。デジタルだから安いとは限らず、自己表現に使うものには相応の額が使われます。

生成AI利用者の64%が、要約だけで検索をやめている

NTTドコモ モバイル社会研究所が2月5日、「ゼロクリック検索」に関する調査結果を発表しました。全国15〜79歳の生成AI利用者を対象にした2025年11月の調査で、AI要約だけで満足して検索をやめる人は合計64%でした。内訳は「ほとんど(9割以上)やめる」10%、「よく(7〜8割)やめる」19%、「ときどき(4〜6割)やめる」35%です。10〜20代女性と50〜70代女性では、「ほとんど/よくやめる」の合計が約4割にのぼりました(AdverTimes.)。

研究所メモ: 自社サイトへ辿り着く前に、AIの要約で済ませる人が3人に2人います。企業はこの前提で、情報発信を考え直す必要があります。ファンが検索するのは商品名やイベント名です。その検索で、AIが正確な情報を拾えるかどうかが重要になります。公式サイトの構造化データや、一次情報の出し方を見直す時期に来ています。

売れすぎて届かなかった失敗を、企業が自分から公表した

ワークマン — 実売20日で完売、しかし「顧客満足度は地に落ちたまま」

ワークマンが2月9日の新製品発表会で、リカバリーウェア「MEDiHEAL(メディヒール)」の品薄対策について「失敗に終わった」と発表しました。2025年9月1日に一般向け販売を開始したものの、想定を超える需要で約4か月の販売期間中、実売20日間で完売しました。2025年9月から約4か月間の販売実績は、約319万点、販売金額約55億円でした。品切れの主因は女性向け需要の読み違いで、同社は男性向けを中心に生産していました。2026年は2,100万着規模(前年比約7倍)、販売金額約350億円を見込んで増産すると発表しました(AdverTimes.)。

専務取締役の土屋哲雄氏は、2025年9月時点で「45年ぶりの本気」と語っていましたが、今回の発表会では「顧客満足度は地に落ちたまま」と述べました。

研究所メモ: ワークマンが売れすぎた事実を成功として語らず、買えなかった人の不満として語っている点が誠実です。ファンビジネスでは、品切れは話題づくりになると考えられがちですが、実際には客の離脱を招きます。しかも同社は、女性向け業態がリカバリーウェア売上の4割を占めることを読み違えていました。誰に売れているかを、把握できていなかったことになります。需要予測の精度は、そのまま信頼の問題になります。

a16z — 日本発のAI VTuber開発「Shizuku AI」へシード出資

米ベンチャーキャピタル最大手のアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が2月10日、日本発のスタートアップ「Shizuku AI」へのシード出資を発表しました。a16zをリード投資家とする、日本のスタートアップとしては初となる資金調達です。Shizuku AIは国内にAI研究拠点を新設し、最先端AIと日本のキャラクター文化を融合させた次世代AIコンパニオンの開発に取り組むと発表しました。同社の原点は、2023年1月に登場したAI VTuber「しずく」です。開発者のあき先生氏は、リアルタイム画像生成論文「StreamDiffusion」の筆頭著者で、MetaやLuma AIで研究職を務めた経歴を持ちます(Mogura VR)。

あき先生氏はXで「日本から、世界で一番愛されるAIキャラクター、そして日常に寄り添い、支えとなるAIコンパニオンを全力で作っていきます」と述べました。

研究所メモ: 世界最大級のVCが、日本のキャラクター文化を投資テーマとして選んだ意味は小さくありません。1月16日号で触れたキズナアイ×フォートナイトと同じく、日本発のバーチャルキャラクターが、グローバル市場で評価される対象になってきました。技術と文化の両方を持つ企業にとって、海外資本は現実的な選択肢です。

アパレルとコンビニが、価格帯を大きく振り分けた

推しの子×CONVERSE、ハローキティ×Ameri — 1万円超の本気コラボ

『【推しの子】』とCONVERSEの初コラボが2月13日に発売されました。商品はB小町のルビー、有馬かな、MEMちょ用の3モデルと苺プロダクションスタッフ用の特別モデルです。価格は厚底の「ALL STAR LIGHT PLTS」ベースが各13,200円、「ALL STAR OX」が10,890円(税込)です。ABC-MART限定で、リボンやフリル、ファットレースで各メンバーの個性を反映していました(超!アニメディア)。レディースブランドAmeriは、ハローキティとの初コラボ商品全5型を2月27日に発売すると発表しました。価格はスウェットが20,350円、ロングTシャツが13,200円(税抜)などでした(ファッションプレス)。

研究所メモ: どちらも1万円を超える価格帯で、キャラクター商品というより本体ブランドの新作として作られています。CONVERSEの厚底モデルもAmeriのスウェットも、キャラクターを外しても成立するデザインです。前号で触れた「価格帯の両端を持つ」議論でいえば、上限側の商品です。

サンリオ×CITEN、Poppy Playtime×ZOZOTOWN — 中価格帯で数を揃える

ユナイテッドアローズが展開するCITENが、サンリオキャラクターズとのコラボ商品全27種を2月14日以降に順次発売しました。Tシャツ9種が各4,950円、トートバッグ9種が各2,530円、フラットポーチ9種が各1,980円(税込)で、シナモロールやハローキティなど9キャラクターを揃えていました(PR TIMES)。ZOZOTOWNは2月6日から、『Poppy Playtime』のカレッジ風アイテムを展開していました。価格はTシャツ5,500円、フーディー8,800円(税込)などでした。大阪・あべのハルカスで2月26日から一部を展示しました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: CITENの27種という数は、9キャラクター×3アイテムの掛け算です。どのキャラクターが推しでも、必ず1つは選べる状態を作っています。キャラクター数の多いIPを扱うとき、全員分を揃えられるかどうかは満足度に直結します。誰かの推しが欠けていれば、その人にとってその企画は存在しないのと同じです。

ファミリーマート×mofusand、ローソン×おぱんちゅうさぎ

ファミリーマートが2月10日から、約16,400店舗で「mofusand わっふれ〜む」を250円(税込)で発売しました。商品はワッフルの凹凸をフレームに見立てた生地に全10種類のイラストをプリントしたもので、全12種類のシールが付いていました(超!アニメディア)。ローソンは2月10日から、「可哀想に!」とのキャンペーンを開始しました。対象菓子3点購入で、アクリルヘアゴム全5種をその場で進呈していました。マグカップ付きゼリーが968円、ぬいぐるみが3,850円(税込)などを展開していました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: ファミリーマートは、250円のスイーツに12種類のシールを付けました。この設計は、コンビニのIP施策として最も効率がいい形です。商品単価は上げずに、集める理由だけを加えています。ランダムグッズへの批判が強まるなか、確定で1枚もらえるおまけは受け入れられやすい選択肢になります。

体験できる場所が、無料と有料の両側で増えてきた

and ST TOKYO — 原宿で無料の没入型アトラクション

アンドエスティが運営する「and ST TOKYO」(原宿)で、2026年2月13日から3月4日まで、巨大LEDスクリーンを使った没入型アトラクションが登場しました。アトラクションでは、「Virtual Sanrio Puroland」の「サンリオバーチャルパレード」特別編集版全3種を上映しました。来場者は、ハローキティやクロミが歌って踊るライブを体験できました。参加費無料、事前予約不要です(Mogura VR、PR TIMES)。

研究所メモ: 無料・予約不要という条件は、通りがかりの人を呼び込むための設計です。1月9日号のImmersive Journeyや1月23日号の東京タワーのVR展は、有料の体験を売っています。一方こちらは、店舗に人を集めるための施策です。同じ没入体験でも、収益化の位置を施設側に置くか体験そのものに置くかで設計が変わります。

エヴァ30周年 — 一番くじとCASETiFYが同時に走る

『新世紀エヴァンゲリオン』の30周年施策が重なりました。「一番くじ 新世紀エヴァンゲリオン 30th Anniversary」は1回790円(税込)で、A賞は全高約43センチの初号機フィギュアです。セブン‐イレブンやイトーヨーカドーなどで展開していました(超!アニメディア)。CASETiFYはコレクション第2弾を2月20日に発売しました。価格はスマホケースが6,050円から、テックアクセサリーが5,280円から(税込)でした。名前やイニシャルを入れられるカスタマイズ機能も用意していました。2月21日から23日には、横浜アリーナで開催されたフェスイベントに特設ブースを出展しました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 790円のくじと6,050円のカスタムケースが、同じ周年施策として並んでいます。しかもCASETiFY側は名入れができるので、同じ商品でも一つひとつが違うものになるのが特徴です。周年施策を充実させるなら、価格だけでなく「自分だけのものになるか」という軸も用意すると、重複を感じさせずに買ってもらえます。

今週の所感

今週はファンビジネスの数字が外から見えるようになった週でした。

カバーの346億円、BOOTHの104億円、ワークマンの319万点。これまで感覚で語られてきた領域の数字が、決算や市場統計の形で並びました。同時に見えたのは、どの数字も供給と体制の話に行き着くということです。カバーは物流効率化を課題に挙げ、ワークマンは需要の読み違いを公表しました。

もう一つ、ドコモの調査で分かった「64%がAI要約で検索をやめる」という事実も、これから企業に影響してきます。ファンが情報に辿り着く経路そのものが、変わりつつあります。自社の一次情報が、AIに正しく拾われる形で置かれているか。この点は、早めに対策を打つべき領域だと思います。

推し活の市場規模やファンマーケティングとあわせて、自社の数字という視点で今週の動きを見てみてください。


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