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ポケモンが​1025匹すべてを​ロゴ化/日産が​命名権を​5年6.5億円で​更新​【週刊推し活ニュース 2026年3月6日号】

2026年2月27日〜3月5日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。

今週のハイライト

今週のキーワードは、「誰かの1番」を全部拾いにいく周年施策でした。

ポケモンが30周年を迎え、全1025匹分の記念ロゴを1つずつデザインして全国5都市の屋外広告に展開しました。代表取締役COOの宇都宮崇人氏は「どのポケモンも誰かにとっての1番好きなポケモンであり、かけがえのないパートナーだからです」と説明しました。

長く続く企業の節目も重なりました。イオンは株式会社化100年を機に、新スローガン「CHANGE for GOOD, Together.」を制定しました。横浜市は日産自動車と5年総額6.5億円で、日産スタジアムの命名権契約を更新しました。日産は経営再建の途上にありながら、単年契約案から一転して5年契約で合意しました。

「誰かの1番」を全部拾いにいく、ポケモン30周年の設計

ポケモン — 1025匹すべてに、それぞれの記念ロゴを作る

ポケモンは、1996年2月27日発売の『ポケットモンスター 赤・緑』から30周年を迎えました。同社は全1025種類のポケモンそれぞれに、30周年ロゴを個別にデザインしていました。2月23日から3月1日まで、東京(新宿・池袋・秋葉原・渋谷)、大阪(なんば・梅田)、名古屋、福岡(天神)、札幌の全国5都市で屋外広告を掲出しました。Xキャンペーンでは、公式投稿から参加すると1025匹分のロゴアイコンからランダムで1つがリプライで届きました。2月27日のPokémon Dayからは、特設サイトで全アイコンをダウンロードできました(AdverTimes.)。

1996年当時のポケモンは151種類でした。代表取締役COOの宇都宮崇人氏は「すべてのポケモンたちと、それを支えてきていただいた皆様への感謝と敬意を込めて、今年はこれらすべてのロゴとともにアニバーサリーを盛り上げてまいります」と述べました。

研究所メモ: 1025種類を1つずつ作るという手間のかけ方そのものが、メッセージになっています。人気キャラクターだけを並べたほうが効率は上がります。ポケモンがそうしなかったのは、推しが主役級でないファンを取りこぼさないという判断からです。2月13日号で取り上げたCITEN×サンリオは、9キャラクター全員分を揃えました。ポケモンは同じ発想を、桁違いの規模で実行しています。

イオン — 株式会社化100年、「お客さま株主」の歴史を掲げる

イオンが2026年に株式会社化100年を迎え、新スローガン「CHANGE for GOOD, Together.」を制定しました。同社は1926年9月に「株式会社岡田屋呉服店」として改組しました。その後、1973年に社員持株制度、1985年に株主優待制度を導入しました。「お客さま株主」という概念と「開かれた総会」を歴史として掲げていました。今後は1926年に関する商品や、同じく創業100年を迎える企業の監修商品・コラボ商品を展開すると発表しました(AdverTimes.)。

研究所メモ: 株主優待を1985年から続けてきた企業が、顧客を株主として位置づけ直しています。買う人が支える人でもあるという関係は、ファンマーケティングの理想形です。周年を機に自社とファンの関係の歴史を言葉にしておけば、次の10年の施策を考える手がかりになります。

昭和産業90周年 — 堂本剛が4か月かけて監修した「うすーくてちーちゃい」

昭和産業が創立90周年(2026年2月18日)を機に、堂本剛さんプロデュースの「俺が好きなうすーくてちーちゃいやつ。ホットケーキミックス」を3月1日に発売しました。開発には、2025年8月頃から4か月以上をかけました。ホットケーキは直径約8センチ、厚み1センチ以下で、表裏約1分半ずつ合計約3分で焼けました。TVCMは、試食やネーミング会議など商品完成までのプロセスに密着する構成でした。特設サイトでは開発ドキュメンタリーを公開していました(マイナビニュース)。

研究所メモ: 昭和産業はタレントの名前を冠するだけでなく、開発の過程も見せています。4か月かけたという事実そのものが、商品の価値になります。1月16日号で取り上げた、森永ラムネが13ミリの粒に手描きした話と同じです。手間を可視化することが差別化につながる局面が増えています。

スタジアムの名前と観光の看板が、長い付き合いのまま更新された

日産スタジアム — 経営再建中でも5年6.5億円で更新

横浜市が2月27日、日産自動車と日産スタジアムなど3施設の命名権契約を更新すると発表しました。期間は2026年3月1日から2031年2月28日までの5年間で、総額は6.5億円です。前回契約(2021年3月〜2026年2月)は5年総額6億円だったため、今回は増額となりました。2025年秋には「1年間・年額5000万円」の更新案が提示されましたが、市議会などの指摘で再検討されていました。日産は業績不振のなかにあり、2025年5月には経営再建計画「Re:Nissan」を発表しました。日本発条とのニッパツ三ツ沢球技場の命名権契約も、5年総額2億円で継続しました(AdverTimes.、毎日新聞、FOOTBALL ZONE、Qoly)。

研究所メモ: 業績が厳しい局面でこそ、地域との長期契約をどう扱うかが問われます。日産は2005年から「日産スタジアム」の名を維持してきました。命名権は広告枠というより、地域のファンとの関係を保つ手段です。単年契約に切り替えれば費用は減りますが、20年かけて定着した呼び名は一度失うと簡単には戻りません。

松江市 — 朝ドラを地域振興に使い、ロゴを無料開放

山陰広告賞のグランプリに、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』を活用した松江市のキャンペーン「あげ、そげ、ばけ。小泉八雲とセツが出会った松江」が選ばれました。ロゴマークとキャッチコピーは、市に申請すれば無料で使えました。ロゴは挿絵画家ウェルドンの作品「ニューヨークを旅立つ八雲」をモチーフに、八雲とセツの後ろ姿を描いていました。松江市は2024年10月に観光振興課へ「小泉八雲・セツのドラマ応援室」を設置しました。今回の応募は過去最高の12部門・計229点でした(AdverTimes.)。

研究所メモ: 松江市がロゴを無料で開放した判断は効果的です。使用を制限すれば統制は取れますが、地元の店や事業者が自発的に使う量は圧倒的に減ります。権利を守ることと使われる範囲を広げることの、どちらを優先するかが分かれ目です。ドラマの放映期間という限られた時間で成果を出すなら、開放を選ぶのは合理的です。

キャラクターの活躍の場が、玩具から時計や寝具まで広がった

サンリオ×人生ゲーム — 83作品目にして初の「推し活」テーマ

タカラトミーが「サンリオキャラクターズ 人生ゲーム」を2026年4月下旬に4,950円(税込)で発売すると発表しました。「人生ゲーム」の歴代83作品目で、シリーズ初の“推し活”をテーマにした内容でした。プレイヤーは18種類の推しキャラカードから1つを選びました。ハートポイントを一番多く集めた人の推しが勝利する仕組みでした。「ステージイベント」エリアではルーレットで座席チケットを抽選し、座席によって獲得ポイントが変わりました。「人生ゲーム」は1968年9月に初代が発売され、累計販売個数は1,600万個を超えていました(超!アニメディア)。

研究所メモ: 座席によって得られるものが変わるというルールが秀逸です。前方の席を引けるかどうかで体験が変わる点は、実際のライブと同じです。タカラトミーは、推し活の作法をゲームのルールに置き換えています。58年続くボードゲームが、いまの遊ばれ方を取り込んで83作目を出す。定番商品の更新の仕方として参考になります。

すみっコぐらし×セイコー、サンリオ×ワコール

通販サイト「PREMICO」が、『すみっコぐらし』とセイコーのコラボ腕時計の予約を受け付けていました。限定2,000点で、価格は44,800円(税込49,280円)でした。裏蓋にはエディションナンバーを刻印し、10気圧防水の日本製でした。発送は2026年6月下旬から順次始まると発表されていました(NEWSCAST)。ワコールの「睡眠科学」は、サンリオキャラクターズとのコラボパジャマを16,500円(税込)で販売していました。二重ガーゼ素材で寝返りしやすい立体設計に、ハローキティ・シナモロール・ポムポムプリンをプリントしていました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 4万円台の腕時計も1万6千円台のパジャマも、キャラクターを外しても成立する本体性能を持っています。1月2日号で取り上げたノリタケのカップ&ソーサーと同じ構図です。老舗の技術とIPへのファンの強い支持が結びつくと、単価は大きく上がります。自社に長く磨いてきた製造技術がある企業ほど、この組み合わせは効きます。

サンリオ×もち吉、黒執事×JR東海

創業97年のもち吉が、サンリオキャラクターズとのコラボ缶第2弾を3月1日から発売しました。価格はポムポムプリン缶・ポチャッコ缶・シナモロール缶が各1,200円、3缶セットが3,600円、新登場のハローキティ缶が2,000円(税込)です。各缶に、全6種類からランダムでステッカーが1枚入りました(アニメ!アニメ!)。『黒執事』とJR東海「推し旅」のコラボでは、セバスチャンやシエルが駅員姿になった描き下ろしグッズが登場しました。通販サイトAMNIBUSで3月25日まで予約を受け付けていました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 黒執事の駅員ver.は、2月27日号で触れたCCさくら×JR東海と同じ「推し旅」の枠組みです。JR東海は、複数のIPで同じ形式のコラボを続けています。一度作った仕組みは、相手を替えて何度も使えます。コラボのたびに座組みを組み直している企業は、この差で消耗しています。

体験の場が、カフェと百貨店とXRへ同時に広がった

名探偵コナンカフェ — 全国6都市8会場、劇場版公開に合わせる

「名探偵コナンカフェ」が2026年4月10日から全国6都市8会場で順次オープンしました。会場は渋谷・池袋・東京ソラマチ・神奈川・名古屋・大阪・宮城・北海道です。会期は会場ごとに異なり、最長で8月2日までです。テーマは“港町レトロ”で、「蝶ネクタイ型ライスセット」「堕ちゆくライスカレー〜黒き堕天使〜」などを提供します。グッズは、缶バッジがランダム12種で各605円、蝶ネクタイ型ブランケットが3,850円(税込)です。カフェは劇場版第29弾『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』の4月10日公開に合わせた企画です。前作『隻眼の残像』は興行収入147.4億円でした(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 8会場それぞれで会期をずらしています。同時に始めて同時に終えれば運営は楽ですが、話題が一度に消えます。地域ごとに時期をずらせば、SNS上の言及が長く続きます。コラボカフェを多店舗展開する企業にとって、会期設計は集客そのものです。

京王百貨店「キン肉マンFESTIVAL」 — 300点以上を百貨店の地下1階に

京王百貨店新宿店が、2026年3月19日から31日まで「キン肉マンFESTIVAL」を開催しました。アパレル・フィギュア・雑貨を計300点以上販売し、等身大フィギュアのフォトスポットも用意しました。税込5,000円以上の購入で撮影会の整理券(1会計1枚)、2,000円以上でノベルティステッカーを進呈しました。『キン肉マン』はシリーズ累計8,500万部、「キンケシ」は1.8億体以上を販売してきました(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 1.8億体という販売実績を持つ消しゴムのブランドが、いま百貨店の催事として成り立っています。当時の子どもが購買力を持つ年代になったという、単純な理由もあります。しばらく展開していなかったIPを再び売り出すなら、ファンの年齢が上がった時期を狙うのが定石です。

Flow Studio、赤坂の芸者ホログラム、崩壊:スターレイル×フォートナイト

オートデスクの「Flow Studio」は、専用スタジオやトラッキング機材なしで実写映像とCGアバターを合成できるブラウザアプリです。VTuber「おむらいす食堂」が実際のキッチンで撮影した動画をもとに、このアプリを検証した記事がありました。記事は、同時に撮影できる人数がプランに応じて2〜4名であることなどを紹介していました(Mogura VR)。赤坂Bizタワーでは2月28日から、透明ディスプレイ「ホロボックス」に芸者の赤坂育子さんを等身大で投影する展示が無料で行われていました(Mogura VR)。『崩壊:スターレイル』は2月26日から『フォートナイト』とのコラボを開始し、カフカと刃のコスチュームを配信しました(Mogura VR、PR TIMES、電撃オンライン)。

研究所メモ: 赤坂の展示は、伝統文化とXRの組み合わせとして分かりやすい形です。芸者を等身大で見られる機会は限られており、この展示はヘッドセットも要りません。2月27日号ではEpic Games×Meshcapadeの買収を取り上げました。これと合わせると、人を立体で再現する技術のコストが下がり続けていると分かります。

今週の所感

今週のニュースに共通していたのは、関係を長く持つ企業ほど判断がぶれないという点でした。

ポケモンは30年で1025匹に増えたキャラクターを、1匹も落とさずロゴにしました。イオンは100年前からの株主との関係を掲げ直しました。日産は経営再建の最中でも、20年続く「日産スタジアム」の名前を5年分買い直しています。

一方で、単年で費用対効果を測れば、どの判断も成り立ちません。1025匹分のデザイン費も、5年6.5億円も、短期のリターンでは説明できません。それでも各社が実行するのは、ファンとの関係は積み上げでしか作れないと知っているからだと思います。

自社が何年その関係を続けるつもりなのか。推し活マーケティングの設計原則とあわせて、今週の動きを見てみてください。


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