推し活実践率3割でもコラボで好感度上昇7割超/星街すいせいが個人事務所設立で渋谷ジャック【週刊推し活ニュース 2026年4月3日号】

2026年3月27日〜4月2日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週のキーワードはファンとの共創でした。
アイブリッジが実施した1,000人調査では、「推し活」の実践率は30.0%でした。推し活総研の推計では、市場規模は約4.1兆円に達していました。コラボ商品の購入意向は4割強にとどまりました。一方で、「推し」コラボ企業への好感度が「上がる」と答えた人は7割強にのぼっていました。
政策面でも動きがありました。経済産業省は3月27日、コンテンツ産業戦略の改定方針として「売上3倍、投資3倍」の骨子案を示しました。関連予算も252億円から589億円へ、倍以上に拡大する方針でした。三菱UFJ銀行は3月31日、映画・アニメの製作資金調達環境を整備する経産省事業の事業者に採択されたと発表しました。VTuberの星街すいせいは3月22日、個人事務所「Studio STELLAR」の設立を発表しました。渋谷ハチ公前では広告ジャックも展開しました。
推し活マーケティングの効果が、調査とツールで裏付けられた
アイブリッジ — 推し活の実践率3割、企業コラボで好感度が上がる人7割超
アイブリッジは2026年2月27日、自社のアンケートツール「Freeasy」を使って推し活実態調査を実施しました。対象は15歳以上の男女1,000人です。「推し活」を行っていた人は30.0%で、普及理論の「キャズム」とされる16.0%を上回りました。推し活総研の2026年1月調査による市場規模は約4.1兆円で、国内清涼飲料市場(約4.7兆円)に迫る規模でした。コラボ商品の購入意向は4割強にとどまりました。一方で、「推し」コラボ企業への好感度が「上がる」と答えた人は7割強、「推し」起点の購買経験は6割にのぼりました(PR TIMES)。
月平均の推し活支出は1万円未満が多数派でした。毎月1万円超を使う人は約4人に1人でした。
研究所メモ: 実践率30%という数字は、推し活がニッチな趣味から日常的な支出行動に変わったことを示しています。企業への好感度上昇(7割強)は、コラボ商品の購入意向(4割強)を上回りました。ファンは「買うかどうか」より先に「その企業をどう見るか」を判断しています。推し活コラボは、短期の販促より中長期のブランド好感度施策として設計したほうが、効果を測りやすくなります。
エキサイト「FanGrowth」— 「ファンを育てる」発想がBtoBのリード獲得にも広がった
エキサイトは4月2日、ウェビナー支援サービス「FanGrowth」を導入した株式会社ファン・マーケティングの事例を公開しました。ファン・マーケティングは紹介や口コミに依存した集客から脱却するため、ハウスリストがほぼゼロの状態からウェビナー施策に着手しました。1年間を4フェーズに分けた「逆算型ロードマップ」を設計し、FanGrowthによる共催先開拓と運営支援を活用していました。その結果、導入から1年間で年間リード獲得数1万件超を達成しました(PR TIMES)。
ファン・マーケティングは「企業のファンを育成する」ことをミッションに掲げ、顧客と伴走する「密着軸」を強みとしています。
研究所メモ: 「ファン」という言葉が、BtoBの新規顧客獲得にも定着し始めています。紹介や口コミという属人的な集客から、ウェビナーという再現性のある仕組みへ移行した点が要点です。推し活市場でファンを育てる発想と、法人営業でリードを育てる発想は、根っこが同じです。エンタメ企業だけでなく、法人向けサービスを展開する企業にとっても「ファンをどう可視化し、育てるか」は共通の経営課題になっています。
ネット発のファン文化の作法を、企業広報が取り込んだ
「シル活」ブーム — ミツカン、鳥貴族が公式アカウントで便乗
シールを集めたり貼ったりSNSで見せ合ったりする「シル活」ブームが、企業公式アカウントに広がりました。デザイナーの「まと」氏がGoogle Gemini向けプロンプトを公開しました。Xのプロフィール画像を「ボンボンドロップシール」風に変換できたとして、話題になりました。Google Japan、紀文、中野物産「都こんぶ」、ミツカン、鳥貴族の公式キャラクター「トリッキー」などが次々に反応し、プロフィール画像をシール風に変換して投稿しました。ブームの背景には子どもの支持もあります。ニフティが2月26日に公開した調査(回答2,484人)では、7割以上の小学生がシール集めに「ハマっている」と回答しました(AdverTimes.)。
きっかけを作ったのは、フォロワー約6万人のフリーランスデザイナーでした。
研究所メモ: 各企業が広告費をかけずに、1枚の画像でファンとの接点を作った点が要点です。しかも仕掛けたのは企業ではなく個人のデザイナーでした。企業公式アカウントが個人発のフォーマットを素早く取り入れたからこそ、拡散が続いています。SNS時代の広報では、すでに起きているフォーマットに1日以内で反応する体制があるかどうかで差がつきます。
星街すいせい — 個人事務所「Studio STELLAR」設立、渋谷をジャック
VTuberの星街すいせいが3月22日の配信で個人事務所「Studio STELLAR」の設立を発表し、翌23日にメディア向け説明会を開催しました。星街のYouTubeチャンネル登録者数は280万人を超えていました。2018年にデビューし、2019年からホロライブに所属して活動してきました。渋谷ではJR渋谷駅ハチ公前広場の大型ビジョンを含む広告ジャックを展開しました。説明会では藤井貴彦アナウンサーがMCを務めました。演出を担当したNERDの大澤創太氏は「メディアのみなさんを巻き込んだ“体験の場”が必要だと感じた」と述べています。大澤氏は個別取材で、記者が星街の隣に座って取材する形式を採用しました(AdverTimes.)。
星街は次の目標として、東京ドームでのライブを掲げていました。
研究所メモ: VTuberが記者会見を開くこと自体が珍しいという前提から、演出を逆算していた点が興味深いところです。記者を「体験」に巻き込むことで、バーチャルとリアルの境界そのものを話題にしました。個人事務所の設立発表は、守りの広報になりがちな場面です。その場面を渋谷ジャックという攻めの広告に変えた設計は、タレントマネジメント全般に応用できます。
自治体やスポーツ団体が、推し活の作法を接点づくりに使った
JFA — 渋谷でSAMURAI BLUE POP UP、学生向け特別授業を実施
日本サッカー協会(JFA)は3月25日、東京・渋谷のMIYASHITA PARKで「SAMURAI BLUE POP UP」を開始しました。サッカー日本代表を応援する期間限定イベントです。オープニング企画では、高校生・大学生・専門学校生・短期大学生向けのトークイベント「SAMURAI BLUE OPEN CAMPUS」を実施しました。JFAは公式アプリ「JFA Passport」で参加者を公募し、抽選で約20人を選びました。講師は元日本代表の安田理大氏が務めました。生徒役には、「最高の景色を2026」オフィシャルアンバサダーのJI BLUEから白岩瑠姫、後藤威尊の両名が登壇しました(AdverTimes.)。
研究所メモ: サッカー日本代表という国民的コンテンツを、公式アプリの会員データと連動させている点が要点です。抽選対象を学生に絞り、人数も約20人に抑えたことで、参加者にとっては「選ばれた」体験になります。少人数の濃い体験は、大規模な動員より記憶に残りやすいものです。自治体や公的機関が推し活の作法を借りるとき、規模を追わない選択は参考になります。
しずおかフィナンシャルグループ — 元日本代表・長谷部誠さんをブランドパートナーに起用
静岡銀行を中核子会社に持つしずおかフィナンシャルグループ(SFG)は4月1日、静岡県出身で元サッカー日本代表の長谷部誠をブランドパートナーに起用しました。あわせて、新CM「KICK OFF your future.」対談篇の放映を始めました。長谷部は1984年静岡県生まれで、日本代表ではキャプテンとしてワールドカップ3大会を率い、2024年に現役を引退しました。今回の施策は、2026年4月に始動した第2次中期経営計画「Xover2.0」と連動していました。CMでは、SFGの柴田久社長と長谷部が静岡や挑戦、未来について語り合っていました(PR TIMES)。
研究所メモ: 地方銀行が商品訴求より、企業姿勢や地域との関わりを前面に出した点が特徴です。長谷部本人が静岡から世界へ出て、引退後も指導者として挑戦を続けている経歴は、ブランドプロミス「未来がはじまる場所になる。」と重なります。金融機関がスポーツ選手を起用するとき、知名度よりも本人のキャリアの軌跡がブランドの物語と一致しているかどうかが、説得力を左右します。
ホロライブ×アルビレックス新潟シンガポール — 日星外交60周年でVTuberがスタジアムに出演
日本とシンガポールの外交関係樹立60周年を記念する特別イベント「hololive production Special Day with Albirex Niigata FC (S)」の開催が、2月16日に発表されました。会場はシンガポールのJurong East Stadiumで、開催日は5月16日でした。アルビレックス新潟シンガポール対ヤングライオンズ戦に合わせ、ホロライブのさくらみこ、尾丸ポルカ、ホロライブインドネシアのこぼ・かなえる、ホロライブEnglishの森カリオペが出演しました。当日はスタジアムの大型スクリーンでの映像上映や、ハーフタイムパフォーマンスも予定されていました。タレントが描かれたレプリカユニフォームなどのコラボグッズも販売されると発表されました(Mogura VR、STRAIGHT PRESS)。
研究所メモ: 外交行事という公的な枠組みに、VTuberという民間IPを組み込んだ点が新しいところです。試合の放送権や興行とは別に、多言語対応のバーチャルタレントが橋渡し役として機能しています。スポーツクラブが海外でファン層を広げたいときは、現地の言語やSNS文化に強いIPと組む方法も選択肢の一つです。広告費をかけた単独プロモーションより、費用対効果が高くなる場合もあります。
食品メーカーが、ファンの声を製品と売り上げに変えた
グリコ×ケツメイシ — お菓子の“ザク音”を集めて楽曲をリミックス
江崎グリコは4月6日、「ジャイアントコーン」を食べる際の“ザク音”を集めるキャンペーン「ザク音レコーンディング」を開始しました。参加条件は、4月6日から6月28日までに購入したレシートと録音した“ザク音”をサイトに投稿することでした。先着39万名にPayPayポイント20円分、抽選でメジャーデビュー25周年のケツメイシとのコラボグッズが当たる内容でした。集まった“ザク音”は、ケツメイシが1月に発表した楽曲「どうしようも無いぐらいに」のリミックスに使われました。リミックスは6月上旬に発表すると発表していました(AppBank)。
研究所メモ: 商品を食べる音という、これまで販促の対象にならなかった要素を参加型企画の起点にしています。しかもファンが提供した音を、アーティストの楽曲のリミックスに組み込む企画です。ファンは「聴くだけ」から「素材を提供する」立場に変わります。リミックスの発表後は、自分の音が入っているかもしれないという理由で、再び商品を確認したくなります。録音という手軽な方法で参加できる点も、継続率を左右する要素です。
あおぎり高校×なりたけラーメン — 3,000杯達成で半年間の常設メニュー化
VTuberグループ「あおぎり高校」所属の音霊魂子と、背脂ラーメン店「こってりらーめん なりたけ」のコラボフェアが、4月16日から5月19日まで開催されました。会場は千葉・東京・福岡の全国6店舗です。コラボ限定メニュー「たまちゃん 好物もりもり 背脂こってり醤油らーめん」は1杯1,600円(税込)でした。期間中に全店舗合計で3,000杯を達成した場合、コラボメニューが約半年間にわたり常設販売される特別企画も実施するとしていました(Mogura VR、V-Tuber ZERO、viviON)。
研究所メモ: 「常設化」が決まるかどうかを、ファンの購買行動そのものに委ねている点が要点です。目標数値と達成条件を公開することで、ファンは「自分の1杯が常設化に近づく」という当事者感覚を持って来店します。期間限定コラボの多くは、終了とともに関係が切れます。この企画では、達成できるかどうかという緊張感が、期間中に来店する動機になっています。
味の素 — 1,400人のファンコミュニティと0から作った「アミノバイタルONE」
味の素は4月1日、新製品「アミノバイタルONE」ゼリードリンクを発売しました。スポーツ栄養ブランド「アミノバイタル」のファンコミュニティ「アミノバイタルアスリートクラブ」と共同で開発した製品です。同コミュニティは2024年に発足し、トライアスロンを中心にスポーツを楽しむ1,400名超が所属しています。試作は100回超に及びました。コミュニティメンバーは「持続的なエネルギー源」「電解質補給」「リカバーサポート」というニーズを挙げました。味の素はこれらのニーズを踏まえ、ブランド史上最大量となるアミノ酸10,000mgを配合していました。発売前日の3月31日には、渋谷のTRUNK HOTEL ONDENでファン向けお披露目会「THE NEXT」も開催しました(PR TIMES)。
研究所メモ: 100年を超える歴史を持つ味の素にとって、初めて「ファンコミュニティ共創」に踏み込んだ製品である点が重要です。開発の起点がヒアリングや対話であり、メンバーはオリンピック出場経験者を含む1,400人という規模でした。アンケートで意見を集めるのと、コミュニティと共に0から作るのとでは、完成後のファンの当事者意識が変わります。ブランド30周年の節目に共創を選んだ判断は、次の30年に向けた投資でもあります。
商業施設・小売が、IPとメタバースで来店動線を作った
ANYCOLOR — 西武渋谷店で「にじさんじ New Life POPUP」開催
ANYCOLORは3月30日、運営するVTuberグループ「にじさんじ」のポップアップストア「にじさんじ New Life POPUP ~せめよん&VOLTACTION~」を開催すると発表しました。会期は4月7日から5月10日まで、会場は西武渋谷店B館3階でした。グッズ販売や購入金額に応じたノベルティ配布のほか、会場限定の展示とフォトエリアも用意すると発表しました。入場は無料で、事前抽選制の整理券が必要でした。抽選応募は3月30日18時30分から4月2日23時59分まで受け付けていました(eeo)。
研究所メモ: 百貨店の一角を、抽選制のイベント会場として運用している点が特徴です。入場無料でも整理券制にすることで、来場者数を管理しながら「当選しないと入れない」という希少性を作っています。百貨店は、通常の物販フロアでは呼べない客層を期間限定で呼び込めます。テナント貸しではなく、集客企画そのものを共同設計する関係が広がっていると見られます。
SHIBUYA109 — Robloxにファッション対戦ゲームを公開
SHIBUYA109エンタテイメントは3月31日、オンラインゲームプラットフォーム「Roblox」にオリジナルゲーム『FASHION RUNWAY SHIBUYA109』を公開しました。ゲームの舞台は、渋谷の街並みとSHIBUYA109渋谷店の館内を再現したバーチャル空間でした。プレイヤーはファッションテーマに沿ってコーディネートを完成させ、ランウェイでのリズムゲームや他プレイヤーの評価、AI採点を経てスコアを競っていました。用意されたファッションアイテムは500点以上でした。一定ポイントを獲得すると「SHIBUYA109 VIPルーム」を利用できました。ゲームは無料でプレイできました(Mogura VR)。
研究所メモ: 実店舗の館内を、そのままゲームの舞台にした点が要点です。バーチャル空間での「コーディネートの正解」を競わせることで、実店舗のどの階にどんなブランドがあるかを、遊びながら覚えてもらえます。SHIBUYA109エンタテイメントは、若年層がすでに時間を使っているプラットフォーム上に店舗を再現しました。来店を促す広告枠を買うより、滞在時間そのものを広告に変える設計に近いものです。
長寿キャラクターが、企業の顔であり続けてきた理由
ダイキン — 「ぴちょんくん」誕生26年、大型サイネージが10周年
ダイキン工業のキャラクター「ぴちょんくん」は2000年春、ルームエアコン「うるるとさらら」のキャラクターとして誕生しました。当時のダイキンは業務用空調機で高いシェアを持つ一方、若年層や女性からのブランド認知が低いという課題を抱えていました。ぴちょんくんは、その課題を乗り越えるために生まれたキャラクターです。大阪・梅田に設置された高さ13メートル、横幅11メートルの巨大LED看板「大ぴちょんくん」は3月16日、点灯から10周年を迎えました。ダイキンはこの節目を記念し、新デザインの公募や特別アニメーションの投映、UNIQLO UMEDAとのコラボレーションなど、多彩なキャンペーンを展開しました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 特定製品の販促キャラクターから、街の「環境インフラ」と呼ばれる存在まで育てるのに26年かけている点が重要です。ぴちょんくんは短期のキャンペーンキャラクターと違い、グッズ展開やCDデビューなど、広告の枠を超えた展開を積み重ねてきました。10周年の節目にUNIQLOという異業種とコラボしたのも、単独では接点を持てない層に広げる狙いです。キャラクターは資産であり、育成には広告予算だけでなく年単位の時間がかかります。
立川バス — 新公式キャラクター「にゃちかわさん」が入社式でデビュー
立川バスは4月1日、福生営業所で新入社員の入社式を行いました。式では、サンエックスが手掛けた新公式キャラクター「にゃちかわさん」を新入社員の一人として初めて披露しました。にゃちかわさんは、サンエックスの企業キャラクター製作プロジェクト「キャラプロフレンズ」が初めて総合プロデュースした事例です。キャラプロフレンズは企画・ビジュアル開発だけでなく、PR設計やサイト製作、EV路線バスのデザインまで一貫して手掛けていました。立川バスは2007年から「リラックマ」や「すみっコぐらし」のラッピングバスを継続運行してきました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 他社IPのラッピングバスから、自社専属キャラクターの開発へ踏み出した点が転機です。他社IPを借りる施策は認知を借りられる一方、権利は自社に残りません。2007年から約19年かけてキャラクターとの相性を確かめた上で、今回は権利を持つオリジナルキャラクターに投資しています。地域の交通事業者にとって、キャラクターは広報物ではなく、長期的に育てる自社資産になり得ることを示す事例です。
政策と電機メーカーが、コンテンツ・VR産業の基盤整備に動いた
経産省・三菱UFJ銀行 — 映画・アニメの資金調達に「価値評価」の手法を整備
三菱UFJ銀行は3月31日、経済産業省の「コンテンツ産業成長投資支援事業(資金調達環境整備に関する調査研究事業)」の事業者に採択されたと発表しました。三菱UFJ銀行によると、2024年時点で日本発コンテンツの海外売上は約6.0兆円と、自動車産業に次ぐ規模に達しています。一方で同行は、実写映画やアニメでは融資を活用した資金調達事例が少なく、海外に比べて製作費の規模が小さいことを課題に挙げています。本事業では、融資検討に必要な「価値評価」と「完成保証」の手法を、日本の実情に合わせて設計すると発表しました。これらの手法は、大規模作品の製作を支える「フィルム・ファイナンス」の基盤と位置づけられていました。政府全体のコンテンツ関連予算は252億円から589億円へ倍以上に拡大する方針でした(ロイター)。
研究所メモ: コンテンツ産業の支援が、制作費の助成から金融インフラの整備に移った点が転換点です。海外の大型アニメ・映画は、融資を前提に予算規模を確保できます。日本は完成保証や価値評価の手法が整っておらず、製作委員会方式に依存してきました。これらの手法が整えば、IP単体を担保に資金を調達できる可能性が広がります。コンテンツを持つ企業にとっては、資金調達の選択肢が増えることを意味します。
シャープ — VRグラス「Xrostella VR1」に星井美希起用、クラウドファンディングも開始
シャープは3月27日、VRグラス「Xrostella VR1」のクラウドファンディングを「GREEN FUNDING」で開始しました。先着価格は199,900円から(40台限定)で、募集期間は5月31日まででした。重さ約198gのメガネ型デザインで、片眼あたり2,160×2,160の解像度、最大90Hz、視野角90度に対応していました。同時にVRChat上でショールーム「SHARP Xrostella World」も公開しました。3月29日には「アイドルマスター」の星井美希を起用したTVCMをTOKYO MXなどで放送しました。仕事終わりの星井美希がXrostella VR1を装着して海中ダイブを楽しむ内容です(Mogura VR、innovaTopia)。
研究所メモ: クラウドファンディング、VRChat上のショールーム、ゲームキャラクターのCMを同時に展開している点が要点です。対象は20万円弱という価格帯の新規デバイスです。シャープは一般消費者に売り出す前に、すでにVRやアニメキャラクターに親しんでいる層から支援を募っています。家電メーカーが新カテゴリーの製品を立ち上げるとき、既存のファンコミュニティを初期顧客として組み込む流れが定着しつつあります。
今週の所感
今週は企業がファンとの関係を、発信から共創へと移した一週間でした。
味の素は1,400人のファンコミュニティと0から製品を作り、グリコはファンが録音した“ザク音”を楽曲のリミックスに組み込む企画を発表しました。なりたけラーメンは3,000杯という達成条件をファンと共有しました。アイブリッジの調査では、「推し」コラボで企業への好感度が上がると答えた人が7割強に達しています。ファンを「買う人」として見るか、「一緒に作る人」として見るかで、企業が用意する接点の形は変わります。
一方、経産省と三菱UFJ銀行の資金調達支援やダイキン・立川バスのキャラクター育成は、もっと長い時間軸の話です。ダイキンは26年かけて「ぴちょんくん」を育てました。立川バスは19年間のラッピングバス運行を経て、オリジナルキャラクターに投資しています。両社に共通するのは、「一発の企画で終わらせない」という姿勢でした。共創の即効性と資産化の持続性のどちらが欠けても、推し活マーケティングは長続きしません。
自社のファンとどう向き合うか、推し活マーケティングの設計原則やファンマーケティングの基本とあわせて、今週の動きを見てみてください。
週刊推し活ニュースは、推し活×ビジネスの1週間を毎週まとめてお届けします。過去の号は推し活×ニュースカテゴリからどうぞ。



